2014年7月6日日曜日

アメリカ連邦議会下院歳入委員会デイヴ・キャンプ委員長が6月 19日「グローバル・ビジネス対話」に寄せた所見(文書)

オバマ大統領が「年内合意のための文書」について記者会見で述べた前日の6月19日、議会の重鎮であり、またTPA法案の共同提出者である下院歳入委員会の委員長であるディビッド・キャンプ議員(共和党)が“グロ-バル・ビジネス対話”に所見を寄せ、TPA、TPP、更にはTTIP環大西洋貿易投資パ-トナ-シップ協定、TISA(WTO有志国・地域によるサービス貿易協定)に関する考え方を展開しています。

6月から7月冒頭に掛けて、豪州、ニュージ-ランド、チリの首脳が米国を訪問し、TPPについて発言をしています。

カナダのオタワで始まった首席交渉官会合の行方、更にはその後の展開を読みとる上でポイントとなる記事の一つと思われます。(翻訳:磯田宏・戸田光子/監修:近藤康男)

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アメリカ連邦議会下院歳入委員会デイヴ・キャンプ委員長が6月 19日「グローバル・ビジネス対話」に寄せた所見(文書)


おはようございます。サラさん、ご紹介ありがとうございます。モリス審査員及び「グローバル・ビジネス対話」に対しても、アメリカ通商課題の将来について話をさせていただく機会をいただいたことに感謝申し上げます。「グローバル・ビジネス対話」は有益な計画と分析を通して貿易政策を大いに前進させてきました。私は本日参加させていただきうれしく思っています。

私が下院の歳入委員会委員長になって以来、私たちは自由貿易協定の実施に大成功を収めてきました。米国内における実績のある効果的な雇用の創出―これはここ米国内で生産された物とサービスが世界中に輸出されうることを保証するものです。私たちはすでにコロンビア、韓国そしてパナマとの協定から相当の利益を享受しています。このことは超党派の強い支持を得ています。なぜなら議会とアメリカ国民が最優先と考えるものをこれらの協定が反映しているからです。

アメリカが通商協定の交渉に際して我々の潜在力を全面的に開花させることを保証するための鍵は、貿易促進権限であり、それは過去2年間、通商問題における私の最高の優先事項であり続けました。我々は現在、3つの大きな通商交渉の最中にあります。すなわち TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ協定)、および TISA(WTOの有志国・地域によるサービス貿易協定)の交渉です。しかしもし貿易促進権限がなければ,我々はこれらの協定がアメリカにもたらしうる大きな景気の押し上げを実現できないことになるでしょう。

理由は簡単です。貿易促進権限がなければ,わが国の交渉官達は手を縛られたままとなるからです。貿易促進権限なしでも確かに交渉を前進させることはできますが、どんな政権もそれなしにアメリカ人にとって完全な実現しうる最善の協定を得ることはできません。貿易促進権限型の法律制定が繰り返された80年の歴史は、貿易促進権限なしに主要な通商協定を妥結することができたことは一度たりともなかったことを物語っています。連邦議員としての 20年間に、私はNAFTAを含む、それ以降の全ての通商協定に賛成してきました。私は民主党政権と共和党政権にまたがってUSTRと密接に協力し働いてきました。これらの経験から、実現しうる最善の協定は貿易促進権限なしには達成できないことは明らかなのです。

フランクリン・ルーズベルト以来全ての大統領は、貿易相手国に対して、貿易促進権限があるがゆえに連邦議会が自分のパートナーであると述べ、そしてそれら貿易相手国に、アメリカ政府は真剣であり、形ばかりのポーズを取ったり気弱なオファーをするのは止める時が来たと明示することができました。しかしオバマ大統領は、残念ながらまだそうすることができていません。それは当然のこととして、オバマ大統領が最善の協定を妥結できないことを意味します。要するに、我々にとっての優先諸事項を反映し、わが国の製造業、サービス業、農業者、労働者の利益を創出するような最善の通商協定に至る唯一の道は、貿易促進権限だということです。

これは何を意味するのでしょうか?TPPのような主要な通商諸協定を妥結する前に、貿易促進権限が審議されなければならないということです。さもなければ、議会がそのような協定を支持しないであろうし、支持するべきではないという、非常に現実的なリスクを生み出すことになります。それには2つの理由があります。

第1に、どうして我々がアメリカ国民にとって実現しうる最善の協定以外のものを承諾しようとするでしょうか?

第2に、議会は貿易促進権限を欠いたまま通商協定を妥結することは、議会の優先権と( ※貿易促進権限法に書き込まれる)協定交渉の諸目的をないがしろにし、さらに議会の憲法上の役割を無視するものだと見なすだろうからです。

そこで私は問わなければなりません。オバマ大統領はなぜ彼の自由になるあらゆる手段を講じて交渉を妥結するよう試みないのか?
大統領は、なぜ協定交渉に有用な手段を持たないまま妥結しようとするのでしょう?オバマ政権は、最善の協定ではないような協定を本気で結ぼうとしているのでしょうか?私はそうでないことを望みます。そして議会も同様です。我々はアメリカ国民にとって最善のものを求めます。アメリカ国民はまさにそれにふさわしい国民です。

以下のことをはっきりさせておきたいと思います。もしオバマ政権が私の TPPへの支持を望むなら、政権は TPP妥結前に議会で貿易促進権限法を成立させることを確実にすべきです。もし私に貿易促進権限を支持して欲しいなら,その(法成立)前に TPPを妥結させてはなりません。私の見解に疑問を持たれる方には、私は議会下院歳入委員の仲間や、共和党の指導部や、下院議員の過半数が同じ考えであることをはっきり示すことができます。

では貿易促進権限法を成立させるために何をしなければならないか?今年1月に私がハッチ上院議員と当時の上院議員ボーカス氏とともに提案した貿易促進権限法案は史上最強のものです。それは我が国の輸出に対する障壁に対処するための、超党派の合意を反映した交渉諸目的を設定しています。それは政権が、議会およびアメリカ国民と十分かつ効果的に(合意に至る)協議をすることを確保しています。しかしオバマ大統領は未だに沈黙を守っています。我々はオバマ大統領が積極的かつ個人的にも献身的に取り組まない限り、同法案を議会で成立させるつもりはありません。さらに法案それ自体が答えを出していない疑問など、何一つ提示されていません。前下院議長のペロシ氏の意見はごもっともですが、私は人々に法案に何が書いてあるかを是非知って欲しいのです。そうすれば我々はそれを成立させることができます。―その逆ではありません。

しかし成立のためには、共和党、民主党、ホワイトハウス、および財界が取り組まなければなりません。財界の多くの人々が、オバマ政権があまりに受け身なので、(これら通商協定から)熱意を失いつつあることを認めています。しかし大統領が集中力を失っているからといって、財界がそのレーザー光線の焦点を捨て去るべきだということにはなりません。そんなことをしたら、我々はグローバル競争で生き残ることができなくなるだけです。大統領も財界も、議会民主党に対して( ※貿易促進権限法に)しっかり取り組むよう圧力をかけるための鍵となります。

私は上院財政委員会ワイデン委員長(民主党)と協力して、超党派による法案に早急に取りかかることができるよう前進する道を見いだすことを望んでいます。民主党の中には(貿易権限法審議を)中間選挙後にしたいと望む議員もいますが、我々は党の主要な支持者が困惑するかも知れないというだけの理由で、アメリカ経済を留め置くことはできません。我々が後れを取っている間に他の諸国が機会をうまく利用するのを、わきに座って見ているわけにはいかないのです。もし仮に貿易権限法案が議会の「死に体会期」( ※事実上 8月 1日~ 9月7日の夏休み終了後,再開された議会は,中間選挙投票前は何も大きなことは決められない)までは審議されないとしても、中間選挙終了後直ちに動くことができるように今の時点で支持陣営を固めておかなければなりません。

政権が、議会と密接に協力し、情報への完全なアクセスを議会に供与するとともに交渉の対等なパートナーとして扱えば、議会に通商協定を通過させ、実施させることに成功することは出来ます。我々(議員)の役割はパートナーとして、政策と戦略の観点から議会とアメリカ国民が支持するような分析と指針を提供することです。そのためには、何が今起こっているかを我々は知る必要があります。そうでないと、我々は憲法上の役割を果たすことはできません。平たく言えば、政権は通商政策に関して議会から受けた憲法上の代理権限の下で交渉に当たるのであって、その逆はありえないのです。

私は今日、通商促進権限についてだけ話に来たわけではなく、まずはこれを取り上げなければならないということです。そうしなければその他の保留中の通商諸問題に移れないのです。その重要な問題の一つがTPPです。TPPは大きく前進を遂げていますが、“高水準”の内容に合致しない諸国との協定を妥結してはなりません。

とりわけ私は、日本が自国の農産物と自動車市場へのわが国の参入を阻害している厳しい規制の全面的撤廃をかたくなに拒否していることに、深い懸念を抱いています。日本はあまりにも長く閉鎖的でしたが、ついにそれらの市場への本格的な参入を実現する時がきました。我々は、日本が農産物関税を完全に撤廃する約束をしない限り、日本を含めた TPPを前に進めることはできません。関税撤廃からの例外は議会の反対を意味し、非農業分野も含めた協定の広範な領域に渡る強い期待をつぶすことになります。

加えて、わが国の自動車メーカーが直面している日本の複雑で執拗な障壁に対処するための日本との自動車協議における合意が、議会の支持を得るには必須です。その合意は我々にとってのモデルである米韓 FTAにおける自動車条項を基にして構築されるでしょう。また市場参入で問題があるのは日本だけではありません。カナダは―正当性もなく―乳製品と家禽類に対する険しい障壁の維持を主張しています。

さらに問題を広げれば、国有企業、 ISDS(投資家対国家の紛争解決)、越境データフロー、知的財産権保護、および為替操作規制のような決定的に重要な諸問題に対処するための規則に関する諸条項についても、まだ相当になすべき作業が残っています。我々はTPP協定への議会の支持を得るためには、高水準の内容を達成しなければなりません。好ましくない協定は議会を通過しないし、させるべきでもありません。

(以下, TTIPについては省略し、TISAについて続ける)

TISA(WTO加盟有志国・地域により昨年来進められている新サービス貿易協定)はアメリカ国内の雇用創出と経済成長に計り知れない潜在力を持っています。全世界に対するサービス提供におけるわが国の主導的役割を考えれば、TISAはわが国の巨大なサービス産業に、さらにはそれらサービスが支えている製造業や農業に、膨大な機会を約束します。他の諸協定と同様、その水準を満たす意思と能力を持つことを示すことの出来る国々だけが、協定に参加すべきです。中国は未だそれが出来ていません。私は我々の水準が満たされない限り中国の加入を支持することはないでしょう。

これら3つの協定交渉に加えて、他の分野においても、米国の物品・サービスに対してグローバル市場を開放すべく、我々は着実な前進を続けています。

(以下, WTOの ITA情報技術協定・環境商品貿易交渉・貿易円滑化境地・紛争処理での勝訴,アメリカの特恵関税制度・アフリカ成長機会法 AGOAについては省略)

(翻訳:磯田宏・戸田光子/監修:近藤康男)

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