2013年12月26日木曜日

米国議員によるTPA反対連続演説「この協定の透明性の欠如は類をみない」

米国下院でのTPPに関する反対派議員の演説の記録からの翻訳です。11月には160人を超える民主党議員、20数人の共和党議員が、TPP交渉の秘密性を批判し、協定締結の権限が議会にあることを強調してTPA(貿易促進権限法)に反対する書簡を大統領に送ったのに続き、今度は議会の一般演説で多くの議員が重ねて反対する演説を続けました。日本の議員の皆さんの奮闘を期待するものです。

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米国下院:一般(自由)演説
 
2013年12月4日(水)
TPPに関する討論:マーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)ロサ・デローロ議員(コネチカット州、民主党)、ジャレド・ポリス議員(コロラド州、民主党)


マーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)
「…アメリカの労働者に関する議員進歩派の特別許可演説(注:下院の自由発言時間)でとりあげたい2つ目の課題は、早ければこの年末にも決定されようとしている貿易協定、環太平洋連携協定についてだ。我々は本日、重労働に対して適正な賃金を保証する必要性について多く語ってきた。一方、我が国の労働者が不当な扱いを受ける可能性についても憂慮している。アメリカの産業に打撃を与え、雇用が海外に流出してしまう不公正な貿易協定に関するものだ。不幸にも、巨大な、秘密に包まれた、非常に有害な不公正貿易協定が身近に迫っているように思える。環太平洋連携協定、TPPであり、アメリカと他の11カ国間で協議されている、NAFTA(北米自由貿易協定)型の協定だ。大部分が秘密裏に交渉されており、過去の過ちをなぞらえるばかりでなく、もっと悪いものになりそうな協定である。

来週、TPP交渉官はシンガポールで再び会合を行い、1ヶ月にも満たない年末までに協定を妥結する計画を立てている。つまり、内容を我々がまったく知らない協定が妥結される、30日足らずしか残されていないことを意味する。協定の内容を知ることはできないが、一方で我々に対して今までなされた約束については十分承知している。ほとんどが、全米、そして我がウィスコンシン州の人々に対して今までの大規模貿易協定―NAFTAからCAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)、米韓自由貿易協定に至るまで―で約束されてきたことだ。自由貿易はアメリカに雇用拡大をもたらし、貿易赤字を縮小させ、輸出を拡大し、ひいては世界中の人権および労働基準の改善をもたらすだろう、というものだ。残念ながら、これらの約束は1つも満たされていない。ウィスコンシン州では、NAFTAのような自由貿易協定によって地元の製造業および雇用が破滅的な影響を受けるのを目にしている。

実際、労働統計局によれば、NAFTAの成立以来500万人のアメリカ人が製造業での雇用を失った。また最近の報告からは、アメリカからメキシコに流出した純雇用の数は70万人にのぼることが判明している。小さな会社を経営する私自身、従来アメリカ国内で利用したり、作られたりしていた多くのアメリカ製品の数が減少しているのを見ている。

貿易黒字の数字も同様に痛手を受けている。NAFTAが発効する前年、メキシコとの物品貿易は16億6千万ドルの黒字だった。ところが昨年になると、我が国は62億ドルの赤字を計上した。米韓FTAが発効したわずか1年後の2012年3月、韓国との物品貿易における赤字は550億ドルまで増加し、46%上昇した。またその間、メキシコからコロンビアそして(ここで彼が述べた国名は聞き取れず・・・バーレーンか? 16:55現在)に及ぶ国々では、労働条件の改善が約束されていたものの、ヒューマンライツウォッチ、アムネスティーインターナショナル、そして米国務省の報告にあるような、しばしば悪化の方向に進んでいるという言葉に置き換わってしまった。

したがって、我々の背後にあるこうしたすべての実例や、我が国経済が金融危機から緩やかな回復を続けているという事実に照らしてみれば、アメリカの産業を促進させ、アメリカの労働者を保護し、すべての中産階級家庭の経済的利益を改善させることこそ、透明性ある貿易政策の遂行によって我が国が最優先すべき事項なのである。しかしすでに述べたように、TPPは過去の協定よりも決して良いものとは言えず、さらに悪くさえなりそうなものだ。ここで私は、コネチカット州選出の私の仲間に時間を譲りたい。政策運営委員会の共同議長であり、労働、保健、人的サービスおよび教育の歳出に関する分科会の上級委員であり、長年にわたる国会議員であり、また下院議会における私の尊敬する人、ロサ・デローロ議員です。」

ロサ・デローロ議員 (コネチカット州、民主党)
「…このような努力を払っている中での(ポーカン議員による)TPPの特徴はきわめて的確だ。この協定に関して言えば、ご存じのとおり12カ国の通商担当閣僚が来週シンガポールで会合を行うことになっている。アメリカの交渉団はこの連携協定すなわちTPP協定を引き続き推進し、なんとか事態を動かしたいとしていることから、我々は今年の末までに何かをなさなければならない。(ポーカン議員が)すでにその要点を指摘してきた。

この協定は新しい機会となりうるものだった。繁栄を共有しつつ、経済的発展を推進する新たな、持続可能な規範となる何かを生み出すための努力の表われだった。しかしご存じのとおり、残念ながら協議は以前の貿易協定と同様の道筋に帰着している。製品輸出の拡大ではなく、さらなる雇用の流出、安全でない輸入品、公衆衛生への不安などだ。(ポーカン議員が)そのことを明らかにしてくれた。我が国は、北米自由協定(NAFTA)以来、500万人以上の製造業の雇用と多数のサービス部門の雇用を失った。NAFTAおよび世界貿易機関(WTO)に反対票を投じたことを私は誇りにしているとここで申し上げたい。しかし、それらはともに発効し、500万人以上の雇用喪失を現実に見たのである。

一方、再度言うが、ポーカン議員の指摘のとおり、アメリカの賃金は低下し、経済的不平等は拡大した。経済的な不平等である。そのことに関しては本日多くが語られた。これは抽象的な概念ではない。公共施策の結果アメリカ国内の経済的不平等が助長された。そして、過去の協定の結果としてさらに拡大した。
最近の韓国との貿易協定は、我々がこれ以上同じことを続けることがいかに許されないかを確信させるものだ。初年度、韓国からの輸入が増加したのに反して、アメリカからの韓国への輸出は10%も落ち込んだ。韓国との貿易赤字はわずか1年で37%にまで激増し、およそ4万人以上のアメリカの雇用の純喪失に相当するものとなった。

国民にとって非常に困難な今日の経済情勢下、雇用喪失、賃金低下、アメリカの家庭にとっての更なる経済的不安定と危険を助長するような公共政策を、なぜアメリカは進めるのだろうか。これは間違った考えである。

環太平洋連携協定は、かつてないほど広い分野に及んでおり、アメリカの労働者やその他の国民にとって不当な協定にはならないと信じるに足る理由がない。
この協定は従来の貿易関連分野に含まれるよりはるかに広い領域に及ぶ規則を確立するものであると、大統領自身が述べている。ここで次の言葉を引用したい。「将来重要になりうる新たな貿易問題に関わる全分野が含まれる。すなわち技術革新、規制の整合性、我々はインターネットおよび知的財産権についてどう考えるか」

この協定は次のようなものを含む多数の分野に関して、将来も議会を拘束する政策になるだろう。その分野とは、労働、特許および著作権、土地利用、食品、農業および製品の基準、天然資源、環境、国有企業、政府調達政策、また同様に、金融、医療、エネルギー、電気通信およびその他サービス分野の規制である。到底、関税問題だけにはとどまらない。私が強調したとおり、範囲は信じがたいほど広い。またこの協定の透明性の欠如は類をみない。産業界はすでに(協定の)経緯や交渉内容について熟知しているが、上下両院の議員はこの協定に関して同様の情報を入手するということが出来ないでいる。私たちには、国会議員として貿易協定を承認するという憲法の権限がある。これ以上、局外に置かれる訳にはいかない。我々はこんなことを黙って見過ごさないだろう。

この協定によって、たとえばベトナムやマレーシアからのエビやその他魚介類の輸入が増加するだろう。これは私の仲間がよく知っていると思うが、他の人にも知ってもらいたいので申し上げると、2012年にベトナムから輸入された海産物は206回も汚染問題で搬入を拒否された。一方、マレーシアの輸出業者は、FDA(米国食品医薬局)の警告と反ダンピング義務の双方を逃れる目的で、中国産のエビを移送するような行動をとってきた。こうしたことはを何故防いできたのか?不潔な産品、汚染された産品、抗生物質漬けの産品だからだ。アメリカに住む人々の健康を危険に晒す。そして、加盟国の食品安全法制が改善されるのではなく、この協定によって、FDAのような機関が確実に他国と協議してこうした問題を解決できるようにするため、その資源を枯渇させる羽目になるかもしれない。この協定は重要なアメリカの食品安全規制を脅かしさえするのだ。

また、最近漏洩した条文から、“最近漏洩した”とあえて言うが、それは「われわれは情報に接することができない」と繰り返し言っているとおりのことである。われわれは条文を入手することも、誰かに示してもらうこともできない。我が国の通商交渉団による提案内容を含む漏洩文書には、貿易相手国にとって、安全でより安価な薬品の入手が妨げられる不公正な知的財産権条項が示されている。このことは、海外の医薬品価格を上昇させ、多くの国民が必要な医療を受けることを妨げるばかりか、国際的な成長のためそして国内での更なる雇用を生み出すために必要なアメリカ企業の輸出の可能性も制約するものだ。

信じがたいことだが、政府は予算上、商標のある生物学的医薬製剤の独占(競合品の取扱制限条項)の期間を12年から7年に修正する案によって、ここアメリカの消費者のためには薬品価格の低下を提案さえしているのに、貿易相手国に対しては、その臨床データに関する独占を12年と要求しており、その国の人々がより安価な薬品を入手する権利を否定しているのだ。

こんなことでアメリカはこの分野にいられるのか? 道義的に受け入れがたい。命を救う薬品、それが海外の人々にとって一層入手しにくくなるのだ。これは国民としてのわれわれのあるべき姿ではない。われわれが価値をおくべき姿でもない。これらの、またその他の重要分野が、十分な議会審議なしに交渉されている。憲法で、議会―行政府にはない―は「外国との通商を統制する」ための独占的な憲法上の権能を有し、そして国の法律を立案するところだ、と言っているにもかかわらず、である。この数十年、大統領はファスト・トラック権限(大統領貿易促進権限・早期一括採決権限)という仕組みを利用して、これら権能の双方の行使力を強めてきた。まさにその行為は、先ほど述べたとおり、関税に留まらない分野を包含する自由貿易協定の中身を決めるという、議会の機能を侵食するものである。この貿易協定の内容決定に関して、ファスト・トラック権限を与えるということであれば、その時は、ウィスコンシン州選出の私の仲間がよく知っているが、議会は修正案を出す能力を持たないという現実を意味することになる。ただ集まり、黙って承認印を押すだけとなってしまう。

それはもう許されない、許されるものではない。

2007年に期限切れとなったが、ファスト・トラック権限が繰り返される間も、アメリカの通商交渉に当たっては事前および最中にさまざまな段階で議会審議が求められてきた。しかし、環太平洋連携協定に関しては、それにふさわしい最低限の議会審議さえ行われていない。それこそが、私自身、そしてウィスコンシン州選出のポーカン議員を含むその他多くの仲間、そして上下両院がともに、次のことを訴えてきた理由である。つまり、20世紀に行われたファスト・トラック権限と、協定の形成過程で議会から意義ある関与の欠落は、もはや環太平洋連携協定のような21世紀の貿易協定にとって適切なものではないということである。
もはやファスト・トラック権限は考慮に値しない。

我々の仕事は21世紀の仕組みを作り、より多くのアメリカ人の利益を保証し、賃金を低下させず、最低賃金を低下させず、国民とその家族を支えるために彼らに機会を与えるような貿易協定について協議することである。われわれは、環太平洋経済連携協定を認めることはできない。この協定は、これまでに失敗した貿易モデルと同じであり、勤労家庭に長期間痛みを与え、国内および海外の人々の健康を危うくし、そして我々が作成過程で何の関与もできないまま、将来に渡って議会における政策を拘束することになる協定なのである。

もし我々が有権者の信任を確保しようとするなら、彼らのために、我が国経済のために、そして我が国のために、もっとましな方法をとらなければならない。そしてTPPの内容とその進め方は、我が有権者またはアメリカの偉大な国民が進めようとするより良い方向とは合致しないのである。

この協定は、最初からやり直すべきものだ。このまま進めて年末までに終了するのではなく、われわれは再度努力を傾け、議会の関与を促し、われわれが奉仕する国民の生活を向上させられるようなものにする必要がある。
私はこの問題に焦点を当てるため、特別演説の機会を与えてくれたポーカン議員に感謝している。また彼も私も、われわれの思いや、国民とその家族の利益につながらないこの法律の内容について国民に明らかにする努力を続けたいと思う。これこそ、あなたも私も努力していることだ。私に関して言えば、この闘いを続けていきたいし、年末までに協定を終結させはしない。まだ非常に多くの障害がありそうだ。今晩の機会に私が参加させてもらえたことに感謝したい。

ポーカン(議員
デローロ議員は長い間、アメリカの労働者のためそして自由貿易のみならず公正な貿易のために闘ってきた方で、この国に流入する食料の問題についても本当に説得力のある説明をしてくれている。デローロ議員に感謝を申し上げたい。

デローロ議員
食料は何よりも重要な問題だが、普段は見過ごされがちだ。いまわれわれは、この問題を前面に押し出している。

ポーカン議員
そして、医薬品や、もちろん労働基準についても。ベトナムでは時給が28セントで、すでに非常に低下しているアメリカの現行最低賃金の4%にすぎない。それを考えると、我々は28セントの最低賃金の国との公正な貿易を如何にして行うことができるのかと思う。しかもそれすら保障されず、ベトナムの労働者は、安全要件について検査を受けた10回のうち8回違反しているような工場で働いている。1か月に最低4日の休暇も規定通りにとることができない。少なくともアメリカの労働者の状況を引き上げようとする貿易協定における貿易パートナーではない。単に状況を引き下げるだけだ。
ロサ・デローロ議員と私のもう1つの懸念材料は、政府調達についてであり、この協定における政府調達とは一体どういうものかということである。私はウィスコンシン州の州議会議員時代、州の米国製品優先購入法(Buy American laws)を起草し、税金が確実にアメリカ労働者に資する製品に使われるようにした。しかしこれらの貿易協定にまさに含まれている文言は、アメリカ製品を購入しようとする権能を取り上げることになるかもしれない。我々はそれを変える必要がある。改めてあなたのその努力に大いに感謝したい。われわれはファスト・トラック権限を打ち破るために、党派を超えて多くの同僚たちと活動していくつもりだ。

デローロ議員
その通り。議会を関与させる方向に変わらないのなら、この貿易協定反対への超党派の支持、およびファスト・トラック権限反対への超党派の支持があることは重要だと思う。苦しんでいる人々は党派にこだわらないからだ。最低賃金の低下は、民主党員、共和党員など党派にかかわらず影響を及ぼし、どこにいようが、誰であろうが、人々の生活、家族の生活に影響する。改めて(ポーカン議員に)感謝し、今後も共に頑張っていきたい。

ポーカン議員
長年にわたりアメリカの労働者のために声をあげ、アメリカの労働者を代弁すべく、力強く、熱心な活動を続けられているデローロ議員に感謝を申し上げたい。ありがとうございます。
われわれが議論を進める中で問題になることの1つは、条項が数多くあるということで、労働条件、環境、調達、食品安全、知的財産権などなど、実に20を超える章が存在している。貿易取引のなかで対象となる様々な分野が含まれており、議会がファスト・トラック合意により発言の機会を失うかもしれないという事実は実にひどい間違いである。われわれは国民に選ばれ。自分たちの有権者を代表しており、自分の地域の労働者を確実に守らなければならない。もし議会の声が取り上げられないなら、民主党議員、共和党議員に関わらず、我々は発言の機会を持たなければならない。
我々を反貿易的だという人もいるかもしれない。しかし実際は貿易を大変に支持している。ただそれが「公正な貿易」であって欲しい。注意深く、間違いなく起草されて欲しいのだ。そしてそれは可能だと信じている。しかし、過去の協定や、またいくつかの漏洩した原文からみられるTPPのような協定を考えると、またもやグローバル企業の利益をアメリカ労働者の利益より優先しているかに見える。場合によっては外国所有の企業がわれわれの主権を有する法廷よりも優越し、アメリカ製品優先購入政策が弱体化させられ、企業が生産を海外に移転する気にさせる事態が生まれ、労働者保護、賃金、権利の底辺への競争に引き込まれる可能性がある。そして、アメリカ人労働者が取り残される。そんなことは許されない。
我々は貿易協定、とりわけ環太平洋経済連携協定のような広範囲な協定に含まれる内容について、議会が可能なかぎり発言できることを確認する必要がある。我々はこれらの法規の内容を知る必要があるにも関わらず、知らされていない。皆さんはデローロ議員と私が「この問題を追いかけている」と言うのを聞いたはずだ。われわれはこの協定で何が交渉されているのかもまったく知らない。質問したいことは山ほどあるが、答えはほとんどない。この協定は為替操作に取り組もうとしているのか? 分からない。協定には強制力のある環境や労働の基準が含まれているのか? 食品安全から金融規制、インターネットの自由まで、明らかに非貿易である事項について、どの程度扱っているのか? もう一度言うが、分からない、というのが答えだ。これだけ答えのない疑問があり、多くの議員が漏洩した文書の一部をかろうじて見たことしかない。この交渉が我が経済や労働者に永続的な影響を及ぶすにも拘わらず、再びファスト・トラックを試みて議会を通過させようとしているのでは、という噂がある。そんなことは決して受け入れられない。
環太平洋連携協定について、明らかになっていないすべての疑問を考えると、この法案を急いで通過させることは危険であり、無責任であると固く信じている。
ちょうど今年の始め、私は透明性について懸念を表明した書簡を35人の民主党新人議員と送付し、我々の有権者や労働者の最大の利益となる貿易交渉であることを確認しようとした。議長、議会における我々の仕事は、ここに送ってくれた人たちを代表することだ。自社の利益幅を拡大するために、できるだけ安い労働力を見つけたいとする外国企業や最高経営責任者の利益を代表するのは我々の仕事ではない。そして、最悪の貿易協定が議会を通過するのを傍観していることも我々の仕事ではない。世界の労働者と対等な舞台で競争ができることを保障する責任を、アメリカ労働者に対して負っているのだ。対等な舞台で競争すれば、我々は必ず勝つだろう。我々には労働について倫理感があり、能力もある。しかし対等な機会が与えられないなら、アメリカの労働者が公正かつ持続可能な方法で処遇されることはないだろう。仕事が海外に移転したり、賃金が生活できないほど引き下げられれば、かれらは競争することも出来ない。我々は労働者にもっと貢献できるし、そうしなければならない。

ジャレド・ポリス議員(民主党・コロラド州)
TPPを巡る問題の1つは、交渉内容の秘密性だ。実は数ヶ月前、党派的な懸念ではないことを示すため、超党派の書簡をダレル・イッサ(Darrell Issa)議員と共に用意し、透明性を高めるよう要請した。私は事務所で3回ほどTPPのテキストを検証する機会があったが、私のスタッフは、そこにいることさえ許されなかった。アメリカ国民は、秘密裏に行なわれる交渉だという理由でわが国の経済にとても重要なことについて適切な監視を行うこともできない。私の発言はこの辺で。

ポーカン議員
コロラド州のポリス議員、ありがとうございました。彼はアメリカ労働者のために精力的活動してこられた。また、私もこれらの章を見たが、そのときも私のスタッフは見ることを許されなかった。しかしもっと困ったのは、これらの協定の文言をメモすることが許されなかったことだ。この協定を見るかぎり過去の協定と比べ、明らかましなものではなく、特に労働条件やアメリカ製品優先購入法を容認している政府調達については、悪化しているようだ。(翻訳:池上明・田中久雄/監修:廣内かおり)

2013年12月12日木曜日

TPPと米国議会――ファスト・トラック権限がない場合(第三世界ネットワ-クから)

STOP TPP!! 市民アクションがつながる国際団体「第三世界ネットワ-ク」がまとめた小論を翻訳しました。これを読むと、米国議会の魑魅魍魎(ちみもうりょう)の様子が浮かび上がってきます。また、米国議会での審議の仕組みを垣間見ることができます。

11月には民主党166名、共和党28名がオバマ米大統領宛てにTPA(大統領貿易促進権限)反対の書簡を送っており、米国議会ではTPP反対の演説も行われています(近々翻訳予定)。 年明けには1月15日に暫定予算が期限切れ、2月7日には国債発効期限が到来します。しばらく米国議会から目が離せません。(翻訳:大谷一平/監修:廣内かおり)

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 TPPと米国議会――ファスト・トラック権限がない場合 
(第三世界ネットワ-クから)

アメリカ合衆国憲法では、連邦議会が“税金、関税、輸入税、物品税を課し、徴収し”、そして“外国との通商を調整する”独占的な権限を持つと定められている。米国を代表して他国と交渉する権限は行政府に与えられているものの、米国との貿易協定は議会の承認なしに発効することはない。これまでの米国の歴史において(下院と上院からなる)連邦議会は協定を承認するために様々な手続きを利用してきた。

ファスト・トラック権限

その手続きの1つがファスト・トラック権限だ。ファスト・トラック権限のもと、議会は大統領に対し、貿易協定に署名する権限と、その協定を正式に承認し国内法を適合させるための施行法を立案する権限を与えている。さらに同権限は、署名された協定及び施行法案が議会に提出されてから90日以内に、議会がその貿易協定の審議を終結することを保証している。下院については60日以内、上院についてはその期間に30日を足した期間内の採決が求められる。ファスト・トラック権限が適用された場合、議会は採決の通常の規則を適用しないことに合意しているとされる。したがって、施行法に対するいかなる修正案も、また署名された協定の変更も認められず、審議は20時間を上限に制限される。上院においても、通常、採決には特別多数決が必要だが、この場合は単なる多数決(過半数)が適用される。

ファスト・トラック権限が採用されていても、米国連邦議会の承認手続きが早まるわけではない。最終的な採決の手続き自体は加速するものの、多くの場合は協定を議会に提出する準備に1年かかり、その後、最終的な議決への90日期間が始まる。これは、ファス・トトラック権限が米国国際貿易委員会に対し、協定の米国経済にもたらす影響に関する包括的調査を要求しているためである。米国国際貿易委員会は施行法案が提案される前に、この調査結果および付随する報告書を議会に提出しなければならない。さらに、協定によって必要となる行政上の変更に関する包括的評価が行われ、その結果が施行法案と共に提出されなければならない。

議会により再交渉を強いられた過去の自由貿易協定

米国の貿易交渉官は多くの場合、議会の役割を軽視し、議会からの要求も無視する。これは、協定がファスト・トラック権限の恩恵を受け、最終的には議会でも強行採決できるとみているためだ。しかし米国交渉官といえども計算違いをすることもある。例えば、米韓自由貿易協定の交渉では、自動車と自動車部品に関する議会側の要求が無視された。しかしブッシュ政権下で2007年に協定が署名されてから3年後、ファスト・トラック権限を適用しても、米韓FTAが下院で過半数を取れないことが明らかになったのだ。すべての貿易協定は両院を通過しなければならない。結局、オバマ政権下において米国交渉官たちは韓国に対してさらなる譲歩を求めることになった。最終的に韓国側が譲歩し、この自由貿易協定は2011年に両院を通過した。

同様に米国・ペルー自由貿易協定は共和党が下院を支配していた2006年に署名された。2007年になると下院では民主党が多数になったため、ブッシュ政権は署名した協定が通らないことに気が付いた。米国交渉官たちはより厳しい労働・環境保護に関する条件の受け入れをペルー側に求め、元の協定に含まれていた医薬品特許に関するいくつかの極端な米国側の要求を取り下げた。そしてようやく、この自由貿易協定は通過した。

しかし、ファスト・トラック権限が適用されない、あるいは適用される可能性が低い場合でも、米国交渉官たちは議会の役割を重要視しない。これは、米国の交渉官たちが、確約された内容が議会の裁量の対象になることが他国の交渉官たちに知られた場合、重要分野の譲歩が引き出せなくなることを懸念しているためである。

ファスト・トラック権限を適用せずにTPPを議会に通す

議会がある協定に対してファスト・トラック権限の適用を拒んだ場合、その協定を議決で承認するためには通常の議会手続きと審議規則が適用される。まず、施行法案を立案するのは大統領ではなく、議会の委員会になる。このときが、署名済みの協定に議会が変更を加える最初の機会である。この手続きを開始するのは貿易に関して第一次管轄権を有する下院歳入委員会と上院財政委員会だ。次に、作成された施行法案は、協定の非関税側面を管轄し、貿易以外を担当する、議会の少なくとも10の委員会に照会される。法案の文書は1つの委員会でまず承認され、 次の委員会に回される。委員会のこの手続きを通して、下院と上院はそれぞれの施行法案を作成する。次に、各議会で法案が承認されると、両案の違いについて折り合いをつけるため、両院の議員からなる委員会が任命される。その結果として共通の文書である“協議報告書”が下院と上院の両院に提出され通過する必要があるが、委員会での手続きに再び戻されることはない。

ファスト・トラック権限が適用されない場合に考えられるシナリオ

施行法の立案に関していえば、連邦議員の大半が要求している条件を行政府が協定に含めていなかったり、大半が反対していたりするような条項が含まれている場合、議会が再交渉を強いる可能性がある。このシナリオが起こる可能性には様々なものがある:

・あらかじめ定められた期間内に決議を採らなくてはならないという定めがないため、要求している変更内容が得られるまで、委員会もしくは下院本会議や上院本会議が施行法の審議を拒否することができる。法案の審理・修正のために議題に採り上げるか否か、またその時期については各委員会の委員長の権限に任される。さらに委員長は、委員会が法案を承認するための採決をとるか、外部に報告として出すか否か、その時期をいつにするか、についても決定できる。修正案および法案を委員会から外部へ報告として出す場合の議決には、委員会の過半数を必要とする。

一方、特定の規定が含まれていること、または除外されていることに不満を持つ委員長は、その懸念が解消されるまでいかなる委員会の手続きも日程に入れないということも可能である。ある施行法案が下院、上院すべての委員会から取りまとめられて出されても、本会議場での審議とそれについての採決を採るか否か、いつ採るのか、については各議会の指導部に任されている。つまり、下院議長と上院与党の院内総務が、各議会での採決を日程に入れることに明確に合意しなければならない。それぞれの本会議場での採決は下院と上院でそれぞれ規則が異なるため、以下で説明する。 日本の農産物の関税はゼロにすべきだとか、強い通貨や国有企業の関連分野を含む問題のように超党派の合意がある場合、議会指導部は、交渉が行なわれ、議会が満足するように協定が変更されるまで、施行法の最終審議の手続きを単に保留にすることができる。

・砂糖や乳製品が米国市場に参入するというような譲歩を回避するなど、特定の強力な利権が関わる問題については、関係する委員会の委員長が委員会の手続きを保留にすることができる。他方で、下院と上院で最終議決までの採決規則の違いがあるが、議会指導部の支持が得られない場合でも、下院の大多数もしくは上院の場合は少人数でも自らの票を保留するか修正を働きかけることができる(米韓自由貿易協定の際に下院で実際このようなことが起こっている)。
以下で説明されるように、上院の規則では、修正案を提出するための裁量が1人の議員にかなり与えられている。このことは、追加交渉により米国交渉官が協定文書に変更を加えたうえでTPPが発効することを条件とする方向へ、施行法案が本会議場で修正される可能性があることを意味する。これは、米国側が譲歩取り下げたり、特定の相手国から追加の譲歩を引き出したり、あるいは広範囲にわたる規則の変更を伴う場合もある。

ファストトラック権限が適用されない場合の下院と上院との手続きの違い

採決の手続きについて、下院と上院では別の規則が適用される。下院には運営委員会があり、そこで重要な議決の審議条件が設定される。委員会は、修正案の提出を禁じたり、審議に制限を設けたり、あるいは修正案をある程度許可し審議の時間を限定したり、各議員による修正案の提出を許可したり、等の決定を下すことがある。重要な貿易協定の場合、委員会は修正案の提出が許可される場合でも、広く支持されている修正案のみを許可することが多い。下院にて修正案を通すには、過半数を得ればよい。

上院はまったく別の仕組みになっている。ワシントンでは“立法の墓場”と言われており、上院は全会一致により事が運ぶ。上院議員が1人でも法案の審議に反対した場合、その反対を乗り越えて審議を始めるには、全会の5分の3の賛成票(全100議席が埋まっているとして60票)が必要になる。各上院議員はさらに法案に対して“保留”を申し立てる権限があり、これは全員一致に加わらないという事前表明になる。法案が最初の60票の壁を乗り越えたあとも、審議は無制限に行われる。審議を終わらせて採決に進むには、再び全会一致の賛成が必要となる。上院議員が1人でも反対すると、討論終結の請願が提出されなければならない。そこで、採決に進むには再び5分の3の賛成票が必要となる。討論終結の請願が通らない場合、その法案は廃案とみなされ、たいていの場合は、貴重な議会での時間を何日間も無駄にする可能性のある議事進行の意図的妨害を避けて、次の議題に移る。議事進行の意図的妨害は、上院議員がスピーチや適当な文書を読み上げて議場を占拠することによって行われる。(つい最近の例として、ケンタッキー州のティーパーティー派共和党上院議員であり、ファスト・トラック権限の反対者であるランド・ポール氏が家にいる子供たちに向けてDr. Seussの絵本を読み上げ時間を費やした例がある。)討論終結の採決が通ると、上院での法案審議中に修正案の提出が認められる。多くの場合、先の2つの圧倒的多数が必要な採決を通った法案について何百もの修正案が提出され、そのうちの何十かについては実際に討論が行われ、採決される。上院で修正案を通すには過半数の票が得られればよい。修正案の審議を切り上げて最終決議へ移るには再び5分の3の票が必要となり、最終決議自体は過半数を得られればよい。

法案が上院を通過するのは、賛成の60票が確保された場合である。この事は通常、様々な小グループや時に上院議員個人の票が必要とされ、彼らの要求する変更が認められたことを意味する。ファスト・トラック権限が適用されない場合、60票ルールは、貿易協定について様々な修正を求めるのがたとえ少人数の上院議員の集まりだったとしても、その協定を再交渉に持っていくための強力な力を持ち得るということを意味している。

議会による承認後でも米国が譲歩を引き出せるもう1つの方法

法案が議会の両院を通過して大統領が署名した場合でも、貿易相手国の国内法と政策がFTAを遵守するうえで米国の期待に応えるものに変更されたことを大統領が確認するまで、米国は協定施行のための法的要件を満たしていることを伝える公式文書の通知を保留することを、米国が最近締結したすべての自由貿易協定の施行法案で求めている。言い換えると、たとえある貿易協定が議会により承認されたとしても、相手国の施行に米国が満足してからのみ、米国が発効を認めるということである。米国・パナマ自由貿易協定のための施行法の関連条項には、例えば次のように記されている: 「パナマ政府が、協定の発効日から効力を有する条項遵守のために必要な対策を講じている、と大統領が認めた時点で、大統領は、パナマ政府がアメリカ合衆国と2012年1月1日以降に協定を発効させるという書面を取り交わす権限を付与される。」

このような政策を実施するため、協定の発効を米国が認める前に、米国政府の当局者たちは米国政府が貿易相手国の国内法や政策に対して要求している変更点のリストを相手側に伝える。その後、米国政府当局は受け入れ具合を見守り、米国にとって必要とされる変化が認められるまで、貿易相手国の政府に法律や政策を変更するよう圧力をかける。2008年のInside U.S. Trade誌の記事によると、米国の役人が貿易相手国まで足を延ばし、米国の要求する国内法への変更に直接参加する例も明らかにしている。[1]当然、このような手法は米国の貿易相手国に相当な政治・政策面の問題を引き起こしている。貿易相手国の政府と民間部門が共に、ある協定で規定されている義務の意味するところや、国内法や政策をかえる必要性について米国の政府・民間部門とは相当異なる見解を持つこともある。

その結果、この仕組みを通して、しばしば意図的にあいまいで不明瞭、そして解釈が対立する貿易協定の条件や規則について、米国の商業利権と米国政府は、他国が米国側の解釈を採用し、国内法や政策を米国の解釈に適合するように変えさせる影響力を持つことができる。 このような手続きには、貿易協定の交渉が行われ、それが署名されて承認された後でも米国がさらなる譲歩を引き出すことにつながっているという批判もある。

当然、米国のこの一方的な承認手続きは、協定が議会に承認された後でも発効が大幅に遅れる結果につながっている。恐らくTPPを考えるうえで一番参考になるのは、中央アメリカ自由貿易協定(CAFTA)のメンバー国に対し米国が国別に発行した適合性証明である。これは米国の要求を受け入れた度合いにより、それぞれの国に対して違う時期に出されている。

一方、CAFTA発効までにとられた長い手続きは珍しくない。例えば、米国・パナマ間の自由貿易協定が署名されたのは2007年6月、パナマ議会が議決したのは2007年の7月である。しかし協定 が発効したのは2012年の11月5日からであり、米国議会が協定を承認して施行法案が米国の法律となった2011年10月から1年後のことである。これはパナマ議会を通過した5年後になる。米国が通達を保留したのは、適合性証明を受けるために必要であると米国が主張した特許、著作権、金融、電気通信、調達、関税、貿易救済措置その他の分野の法律や政策について、パナマが必ずしもすべての変更を行なっていなかったためだった。

米国・ペルー自由貿易協定が署名されたのは2006年4月12日だ。ペルー議会はそれを2006年の6月に批准し、修正議定書を2007年6月に承認した。米国議会がそれを承認し、施行法案を法律として成立させたのは2007年12月。しかし、協定が発効したのは、米国の仕様に適合させるためにペルーが知的財産権、労働、環境保護その他の分野の法律を変更したことを米国側が認めた後の2009年2月だった。(翻訳:大谷一平/監修:廣内かおり)

2013年12月9日月曜日

「これでいいのか?!TPP12.8大行動」に2700人参加─集会に寄せられたマハティ-ル元首相メッセ-ジ


12月8日、日比谷野外音楽堂(東京)にて「これでいいのか?!TPP12.8大行動」が開催され、約2700人が参加しました。

当日の集会には、マレーシアのマハティール元首相からのメッセージが読み上げられました。メッセージの翻訳文と原文を掲載します。

☆ ★ ☆

TPPに関するマハティ-ル元首相メッセ-ジ

第2次世界大戦後、常に世界貿易を秩序あるものにする試みが行われてきました。まずそれは、最終的には金の価値に基づいて通貨間の交換レ-トを固定するための、ブレトンウッズにおける合意から始まりました。

 通貨の金本位制が消えた時、ガットの協議が始まりました。しかしそれも失敗し、貿易のため各国の市場開放を目指してWTOが創設されたのです。

 その後、欧米の貿易大国から、国境に妨げられない、とりわけ輸出入関税という障壁のない貿易のための、国境にとらわれない世界を求める要求がされました。

 ヨーロッパ諸国はEUを作り、北米ではNAFTAが作られました。そしてこれらの強大な国々から他の国々に対し、投資、技術、専門ノウハウの自由な市場参入の圧力が高まってきました。

 豊かな貿易国によってさえ、依然、保護主義が行われています。国境の無い世界についての合意を得られないため、西側諸国からは個別の国同士の自由貿易協定が示唆されました。そして多くのFTAが国ごとに、異なる条件で締結されました。

 ASEANでは拡大した市場から利益を生み出すべくASEAN自由貿易地域構想を決議しました。また、APECは米国の支持を受けた豪州の主導により設立され、ロシアと中国もメンバ-として受け入れられました。

 そして、米国が密かにTPPを提案したのです。繰り返しになりますが、TPPは自由貿易協定として提案されたのです。

 TPPの場合、29の膨大で詳細に渡る章があり、参加国の貿易や商取引を規制しています。その内容は具体的で、国や企業が違反すれば、多額の費用が掛る訴訟に巻き込まれてしまいます。企業は、TPPで決められた条件が守られていないと考えれば、国家を提訴するかも知れません。仲裁法廷は何億ドルもの罰金を課すかも知れません。そして控訴を認める条項はないのです。

 TPPが自由貿易に関するものでないことは明白です。TPPは、その条項を参加各国が順守しなければならない、いわば規制された貿易です。その意味でFTAは全て、貿易を自由化するものではなく、実際は貿易に規制を課すものです。

 どうしてTPPが必要なのでしょうか?TPPが無くても、世界は、非常な貿易拡大をこれまで目にして来ました。マレ-シアは小さな発展途上国ですが、かつて世界17位の貿易大国でした。

 現在私たちは、2国間自由貿易協定及び域内協定を持っています。これらの国々がTPPに参加すれば、明らかに従来のFTAとTPPとの条件との間で矛盾が生じてきます。

 このような矛盾が生じる場合、どの協定が優先されるべきでしょうか?そうでなければ、TPP参加各国は先に締結された2国間、多国間の協定を廃止すべきと思います。

 国内の産業や事業を守ることは国民経済を運営する上で本来的に必要なことです。米国は高額の補助金で自国の農業を保護しています。日本は自国の米生産を守らなければなりません。世界の国々についても同様です。

 真に自由な国際貿易体制があり得ないことは明白です。そのようなものが無くとも、世界の貿易は非常な成長を遂げて来ました。TPP含め、まさに所謂自由貿易協定は必要のないものなのです。(翻訳:近藤康男)

【原文】

SPEECH BY H.E TUN DR MAHATHIR BIN MOHAMAD

THE TRANSPACIFIC PARTNERSHIP

Ever since the end of WWII attempts have been made to bring order to world trade.  It began with the Bretton Woods Agreement to fix the exchange rates between currencies, basing them ultimately on the value of gold.

When currencies went off the gold standard, negotiations were started for a general agreement on tariff and trade.  That failed and a World Trade Organisation was created for the purpose of opening up countries to more trade.

Subsequently, the demand was made by the great western trading nations for a borderless world for trade to be free of national barriers, especially taxes on imports and exports.  But the need to protect certain industries by all nations caused the borderless world to be a non-starter.

The European countries had formed the European Union while North America set up the North America Free Trade Area (NAFTA).  Pressure was brought on by these powerful blocs for the free access of their capital, technology and expertise into the other countries.

Still protectionism continued even by the rich trading nations.  Unable to get general agreement on a borderless world the West suggested free trade agreements between individual countries.  A large number of these FTA were concluded, each with different terms.

The Association of Southeast Asia decided on AFTA (ASEAN Free Trade Area) to benefit from their enlarged markets.  The Asia Pacific Economic Cooperation was set up on the initiative of Australia, backed by the US, Russia and China were accepted as members.

Then the US secretly proposed the Trans-Pacific Partnership (TPP).  Again this was billed as a free trade agreement. 

In the case of the TPP, there are 29 long and detailed chapters which would regulate trading and business transactions between the member countries.  They are very specific and breaches by any country or trader can lead to costly litigation.  The corporations involved may sue a country should it consider that the conditions laid out in the TPP had not been adhered to.  The Tribunal set up to hear this may impose fines of billions of dollars.  There is no provision for appeal.
  
Clearly the TPP is not about free trade.  It is about regulated trade as the trading partners and countries must abide by the provisions of the TPP.  For that matter all FTAs, far from freeing trade, actually impose regulations on trading.

Why do we need the TPP?  Without the TPP the world has seen tremendous growth of trade.  Malaysia, a small developing nation was once the 17th biggest trading nation in the world.

Currently we have free trade agreements between individual countries and within regions.  Obviously if these countries join the TPP, there would be conflicts between their old FTAs with the conditions of the TPP.

Should there be such conflicts, which agreement should prevail?  If this is not going to happen it will be necessary for members of the TPP to annul their previous bilateral or multilateral agreements.

The need to protect local industries and businesses is inherent in the management of a country’s economy.  The US protects its highly subsidised agricultural industry.  Japan has to protect its rice production.  And so do all the other countries of the world.

Clearly it is impossible to have a truly free international trading regime.  Despite its absence world trade has grown tremendously.  There really is no need for free trade agreements including the TPP.

2013年12月6日金曜日

【12/8東京】これでいいのか?TPP 12・8大行動



1.主催:

「これでいいのか?!TPP 12.8大行動」実行委員会

呼びかけ団体:
・TPPに反対する弁護士ネットワーク
・TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会
・主婦連合会
 ほか多くの賛同団体で構成されます

2.日時:

2013年12月8日(日)13時~16時を予定      

3.場所:

日比谷野外音楽堂(千代田区日比谷公園1-5)、ほか

4.行動内容:

集会とデモ行進(日比谷野外音楽堂での集会と銀座デモ・東京駅近くで解散のコースを予定。*なお、集会の内容、デモ行進の内容は、今後実行委員会で話し合います。

5.本「大行動」の趣旨

  TPP交渉の現状は、秘密交渉のまま、国会決議も自民党の決議も守られないままに年内合意・妥結があり得る状況にあります。したがって、そもそもTPP交渉からは即時脱退すべきと考えている人々・団体も、国会等の決議を守らせるためなお運動強化をと考えている人々・団体も、あるいは、TPPはよく分からな いが、秘密交渉のまま何らかの合意をするのはおかしいと考えている人々・団体も集まれる、「秘密交渉のまま、国会決議が守られないTPP交渉妥結なんてと んでもない」の思いを集めて、この集会・デモ行進は行われます。

※本行動の経費は、賛同団体からの賛助金と当日の運営協力金カンパなどでまかなわれます。