2013年11月15日金曜日

米国議員191名がオバマ宛にTPA大統領貿易促進権限に対する反対を表明

現地時間、11月12日付けで、民主党議員163名、共和党議員28名がそれぞれオバマ大統領あてに” ファ-ストトラック”TPA大統領貿易促進権限に対して強い反対の意を表す書簡を送りました。

しかもその反対はTPPに止まらず、今後交渉の進められる如何なるFTAに対しても同様であるとの強い意志を示すものとなっており、これまでの貿易協定の交渉過程における議会対応の全てに対して憲法上の議会権限を軽視したものであると強い批判と懸念を述べています。

なお、この経過・背景に就いて説明したパブリック・シチスンの文書についても近日中に作成予定であり、翻訳分をお送りすることを申し添えます。

また、以下に現地のウエッブサイトに掲載された全文(民主党)と署名議員リスト、及び署名入りの原文(共和党)のリンクを掲載します。

【民主党】
+ Democrats (151):
http://delauro.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=1455:delauro-miller-lead-151-house-dems-telling-president-they-will-not-support-outdated-fast-track-for-trans-pacific-partnership&catid=2&Itemid=21

+ House Ways & Means Democrats (12): http://www.larson.house.gov/images/11-8-13_TPA_Letter.pdf
・共和党
+ Republicans (22) : http://jones.house.gov/press-release/gop-house-members-oppose-fast-track-trade-promotion-authority
http://jones.house.gov/sites/jones.house.gov/files/11.12.13%20Fast%20Track%20Letter_0.pdf

+ Moderate Republicans (6): http://www.citizen.org/documents/joyce-fast-track-letter.pdf

【翻訳文書】(英文と日本語文の併記/翻訳:小幡 詩子)
・democratic letter
 https://dl.dropboxusercontent.com/u/1521351/207%40Democratic%20letter%20on%20fast%20track%20_1_%29.pdf

・Repubilican letter
https://dl.dropboxusercontent.com/u/1521351/227pRepublican%20letter%20on%20fast%20track%29.pdf

2013年11月13日水曜日

ジョセフ・スティグリッツ「南アフリカ 抜け出る」

世界の著名人が論調を発信するプロジェクト・シンジケ-ト(米国・ニュ-ヨ-クとチェコ・プラハに拠点)に、ジョセフ・スティグリッツが掲載した記事を翻訳掲載します。この間、途上国に対して深刻な影響経済連携協定の見直しの動きが出ていることを紹介しているものです。

ジョセフ・スティグリッツといえば、ノーベル経済学賞を受賞した代表的な経済学者でコロンビア大学教授。クリントン政権時代には大統領・経済諮問委員会の議長を務め、世銀の上席副総裁、上席エコノミストも経験しています。最近は格差や社会の分断についての著作を出版する人物です。(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)

☆ ★ ☆

南アフリカ 抜け出る(ニューヨーク発―2013年11月5日)


国際投資協定が今またニュースになっている。米国は2つの大きな、いわゆる“経済連携”協定の中で強固な投資協定を押しつけようとしている。その1つは大西洋、"bridging the Atlantic"もう1つは太平洋"the Pacific"をまたぐ協定で、現在交渉中だ。しかし、そのような動きに対して反対が高まっている。

南アフリカはアパルトヘイト撤廃後間もない時代に調印された投資協定を自動更新しないことを決定し、打ち切る協定もあると発表した。エクアドルとヴェネズエラはすでに協定を打ち切っている。インドは紛争解決の仕組みが変わらない限り米国との投資協定に調印しないと言っている。ブラジルはそのようなものにまったく関与したことがない。

こうした抵抗にはもっともな理由がある。米国内でさえ労働組合、そして環境保護、保健、開発、その他のNGOが米国の提案している協定に反対しているのだ。

経済連携協定は、途上国政府が、鉱山会社やその他の会社から自国の環境を守り、病気や死亡の原因となると知りながら製品を広めるタバコ企業から国民を守り、2008年の世界金融危機で非常に大きな役割を演じた破壊的金融商品から自らの経済を守る能力を著しく妨げるものだ。たびたび金融市場に大損害をもたらし、途上国の危機をあおった不安定な短期資本移動のようなものを政府が一時的に管理下に置くことさえ制限する。実際、経済連携協定は、債務の再編から積極的差別是正措置に至るまで政府のすることに異議を唱えるために使われてきた。

このような経済連携協定の支持者たちは財産権を守るために協定が必要だと主張する。しかし南アフリカのような国にはすでに憲法が保障するしっかりした財産権がある。自国民の所有する財産より外国企業所有の財産のほうを優先して守らなければならない理由はない。

さらに、もし財産権保護に対する南アフリカの約束を投資家に納得させるのに憲法の保障でも十分でないというなら、外国人はいつでも、多国間投資保証機関Multilateral Investment Guarantee Agency(世界銀行グループの一員)が提供する収用保険や同様の保険を提供するさまざまな国家機関を利用することができる。(たとえば、アメリカ人は海外民間投資公社Overseas Private Investment Corporationから保険を買うことができる。)

しかし投資協定を支持する人たちは、どちらにしても、財産権の保護について本当に心配しているわけではない。真の目的は、企業に規制をかけ課税する政府の能力を制限することにある。すなわち、権利を守るだけではなく、政府が企業に責任を課す能力を制限することにある。企業は、公開の政治的手順では獲得できないものを―秘密裏に交渉した貿易協定を通して―こっそり手に入れようとたくらんでいるのだ。

これが外国企業を保護するものだという考えさえ一種の策略である。A国を本拠地にする企業がB国に子会社を作りA国の政府を訴えることもできる。たとえば、アメリカの裁判所は一貫して規制の変更による利益の損失(いわゆる規制的収用)に対して企業に補償する必要はないと裁定してきたが、典型的な投資協定の下では、外国企業(あるいは外国の子会社を通じて事業を行うアメリカの企業)は補償を要求することができるのだ!

さらに悪いことに、投資協定は、まったく理にかなった当然の規制変更に関して、企業が政府を訴えることができるようにするものである。―たとえば、タバコの使用を制限する規制によってタバコ会社の利益が減じたときなどだ。南アフリカでは、人種差別政策の後遺症に取り組むべく策定された政策によって純利益が損なわれた可能性があると企業が確信すれば、訴えを起こすことができる。

これまで長期にわたってとられてきた「国家主権による免責特権(訳注:国家が外国の裁判権に服することから免除される国際法上の原則)」という考え方がある。つまり、国家が訴えられるのは限られた状況の下でだけであるというものだ。しかし米国が支持するこのような投資協定は途上国に対し、この免責を放棄し、21世紀の民主主義のあるべき姿からはかけはなれた手続きによる裁定を容認するよう要求している。この手続きには、複数の委員会から提出された相容れない決定を一致させるための体系的な方法もなく、恣意的で気まぐれなものであることがわかっている。支持者たちは投資協定によって不確実性が小さくなると主張するが、こうした協定の条項の曖昧さや解釈の対立によって、不確実性は大きくなっているのだ。

このような投資協定に調印した国々は高い対価を払ってきた。なかには、膨大な数の訴訟―そして莫大な額の支払いにさらされてきた国もある。非民主的で腐敗した前の政府が調印した契約について、国際通貨基金やその他多角的機関が無効とされるべきだと勧告してからも、国家はそのような契約を守るべきであるという要求すら出されている。

途上国政府が訴訟に勝っても(訴訟は過去15年間で大幅に急増した)、訴訟費用は巨額である。その(意図された)効果は、企業に規制、税、そしてその他の責任を課すことによって国民の利益を守り、前進させようという、政府の合法的な努力を委縮させることである。

さらに、そのような協定に調印するという愚行を犯した途上国にとって、たとえ利益があったとしてもわずかであることが証明されている。南アフリカ(政府)による再調査で、協定を結んだ国からは多額の投資を受けておらず、結んでいない国から多額の投資を受けていたことがわかった。

南アフリカが投資協定を慎重に見直した後、少なくとも協定は再交渉するべきであると決定したのも驚くことではない。そうすることは投資に反対なのではない;開発に賛成なのだ。そして、もし南アフリカ政府が国の経済と国民にもっとも役立つ政策を追求しようとするなら、見直しは必要不可欠のものである。

実際、国内法で保障されている投資家保護の内容を明確にすることによって、南アフリカは、1996年の新憲法採択以来繰り返ししてきたように、法の支配に対する国の責任を今改めて行動で示している。民主的な意思決定を最も深刻に脅かすのは投資協定そのものなのだ。

南アフリカを祝福すべきだ。他の国も後に続くことを願っている。(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)

2013年11月12日火曜日

フロ-マンUSTR代表「何が未解決の問題なのか、みんなの頭にはっきりと描かれている」「満足のいく結果を二国間交渉で導き出す必要がある」

米政府機関の閉鎖は解除されましたが、まだ閉鎖中の時にワシントン・トレ-ド・デイリ-がUSTRフロ-マン代表に独占インタビュ-をしています。

勿論フロ-マン氏がマイナスのコメントをすることはない訳ですが、バリ島での首脳会合以降、年内合意の目標を維持するために議会対策にかなり集中し、かつ議会の各関係委員会を総動員して取り組んでいる様子が伺われます。年内妥結を優先するために合意の水準を切り下げることも許されないという事情け中で、一方で中間会合や2国間交渉で妥協点を探ろうとする動きも垣間見ることができます。

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2013年10月15日(水)
ワシントン・トレード・デイリー第21巻207号からの紹介
フロマン米国通商代表部代表との議論

マイケル・フロ-マン米国通商代表部代表は昨日、WTD(ワシントン・トレード・デイリー)との独占インタビューに応じ、進行中の貿易における重要な出来事について語った。インタビューでフロ-マン代表は、目下、米国政府が閉鎖されているが、多くの重要な貿易分野において進展していることを強調した。
彼は、終わったばかりのバリ島におけるTPP参加国の首脳による協議とそれに続く環大西洋貿易投資協定の交渉(先週のブリュッセルでの交渉第2ラウンドは延期)に触れた。(WTD, 10/11/13)

フロマン氏はまたジュネーブにおける「バリ」危機について語ったが、WTOのロベルト・アゼベド新事務局長は12月はじめのWTO第9回閣僚会議までに貿易構想をまとめるためにできることはすべて行っている、とも述べた(この号の関連記事参照)。

オバマ政権は(ほかにも喫緊の懸念を抱えるが) 、大統領貿易促進権限や米国一般特恵関税制度(GSP)の更新など今後も様々な貿易問題について議会と密接に協議を続けていく。

以下は30分のインタビューを書き起こしたものである。

Q:大統領貿易促進権限と米国一般特恵関税制度の更新については、どのように進んでいますか?オバマ政権はどちらも達成したいことと思います。議会との議論はどういう状況ですか?どちらも今年中の決着を望んでいますか?

A: 大統領貿易促進権限については、オバマ大統領はそれを望んでいることを言明しており、われわれは早期実現を目指し、幅広い超党派の支持のある法案をまとめたいと思っています。ですから、管轄の委員会と作業を続けています。下院歳入委員会と上院財政委員会がこの数ヶ月間、法案についての作業を行っており、私たちもそれに協力しています。私たちは必要に応じて技術的支援を提供しています。できるだけ早く、できるだけ幅広い支持を得るために、協力に意欲的であると彼らにはっきりと伝えてあります。

一般特恵関税制度についても、私たちは更新の必要があると明言しています。両院には現在、はっきりとした更新をめざす法案が出ていると思います。私が感じるところ、両院とも目下ほかの問題に集中しているようですが、私たちの目標は、両院にできるだけ早く上程してもらうことです。重要な開発上の利益があることはもちろん、輸入に頼っているがゆえに現在高いコストに直面している企業にとっても重要な利益があります。ですから、議会が一般特恵関税制度の問題に注意を向けることができるようになった時には、これを進めてくれることを私たちは望んでいます。

Q:TPAとTPPの関係についてはどうお考えですか?TPPに決着をつけるためには大統領貿易促進権限が必要と感じておられるのか、あるいはTPAはむしろTPPを議会で通すためのものなのでしょうか?

A: TPAは重要な手段であり、できるだけ早く通せればよいでしょう。私たちは全力を上げてTPP交渉を継続しており、年内の決着を目指しています。前のTPAによって認められた既存の手続きのもとで議会と協力しているので、提案内容は、下院歳入委員会と上院財政委員会だけでなく、管轄する他の委員会も前もって目にしています。たとえば、農業問題の場合は農業委員会に提示sぅるなどです。私たちは積極的に議会を巻き込んでいますので、この間、議会が驚くようなことをTPPで交渉しているということはありません。しかしとにかく、繰り返しますができるだけ幅広い支持を得た上でTPAを早急に可決することが望ましいと思います。

Q:TPPの他の参加国は米国政府がTPAを持っていた方がいいと思っているとあなた方は感じていますか?交渉はいま最も困難な問題にさしかかっているので、合意について議会が承認するという一定の安心感を持てるのでは?

A:TPP交渉参加国は、オバマ政権がTPPを決着させて議会を通すことに専念していることを承知しています。彼らは米国での私たちの政策過程についてよく理解しており、私たちが貿易政策を議会と政府のパートナーシップとしてとらえており、議会が交渉のプロセス全体を通じて関与していることを分かっています。ですから、私は、繰り返しになりますが、議会は安心感を持っていて、驚くことはないと思います。私たちの議会のパートナーたちは、私たちが進めている内容はすべて知っており、これまでずっと意見や提案を出す機会を持ってきました。

Q:バリでのTPP首脳会合を受けて、TPPの現状についてお話しいただけますか?交渉官たちに対して、交渉を年内に終えるための具体的な事項について明確な指示が出ているのでしょうか?

A:7月から数か月は、交渉に大きな進展があり、いくつかの未解決の問題を解決しましたが、それだけでなく、残りの解決すべき問題を整理し、解決のための道筋を打ち立ててきました。主任交渉官の会合と閣僚そして首脳たちの会合との間、ここ二週間に、全TPP交渉参加国は、すべての未解決の問題や、今後全体として討議される必要のある事項や妥協点について明確な道筋を描き、取り組むべき内容とその方法を具体的に把握したうえでバリを後にしたと思います。


今後は厳しい交渉を行なわなくてもいいという意味ではありません。そういった交渉は今後もあります。しかし、何が未解決の問題なのか、みんなの頭にはっきりと描かれていると思います。これまで、それらを解決するための政治的指針が示されたり、政治的指針が主な妥協点を探るために有用だったこともありました。しかしそうした点については今後、交渉官たちが取り組んでいくことになります。

Q:現時点で、技術的な面で残っている問題はあるのでしょうか。それとも今後はフロ-マン氏やそれ以上のレベルでの交渉となるのでしょうか?

A:実際はまだ、あらゆるレベルでの問題があります。技術的問題はほとんど解決しましたが、残された問題には、中間会合や二国間交渉で交渉官が取り組まなければならないこと、そして最終的には閣僚がこれから行なわなければならない重要な作業が依然として存在します。

Q:残された課題の中で、内最も難しい問題を処理していくための道筋はあるのでしょうか?

A:主な未解決事項については、それぞれに解決への道はありますし、それらを処理していくための包括的な提案もあります。TPP交渉参加国の間には、交渉の次の段階で私たちが目標とすべきなのは、個々の主要な未解決分野で高い水準を確立してから、次に、特定の国がセンシティブな問題として挙げている特定の問題に集中し、かつ、すでに確立した高い水準と矛盾しないで議論することだということについて、全体的な合意があります。現在、私たちは取り組みを始めているところです。私たちは二国間で、それぞれの国の固有な問題について理解を深め、同時に全参加国による多国間交渉で、高い水準を確立しようと取り組んでいます。

Q:包括的提案が明確になってきたと言われますが、章と章の間で交換条件が可能な分野が明らかになってきたということでしょうか?

A:あるいは、ひとつの章の中で複数の未解決の問題がある場合もあります。ある国がある方向に前進し、それによって他の国が他の問題において別の方向へ前進できるということはあります。この種の議論を私たちはバリで始めたわけで、現在も交渉が続けようとしています。

Q:バリの会合を受けて、TPP交渉に参加している12カ国がすべて、ゴールすると思いますか?

A:全参加国がそのために努力していると思います。最終的には、これによってそれぞれの国が核となる関心をもつ事項に充分に対処できるのか、各国が判断する必要があります。しかし、すべての国はこれから数ヶ月間集中して、未解決の問題に取り組むために協力することになると思います。

Q. TPP交渉参加国は、交渉の終盤にさしかかった今、通貨操作の問題を議論に持ち込みたくないことが明らかなようですが、議会は積極的です。通貨操作の貿易に与える影響への議会の懸念に、TPP以外で対処する方法はあるのでしょうか

A: まず、私たちは議会との間でこの関心事を共有しています。ですから現政権の発足以来、例えば中国との通貨問題は私たちの最重要課題となってきました。大統領の方からこの問題が提起され、我々は 中国政府とのあらゆる会合で、取り上げてきました。G-20でも、適切な場合はG-7でも、IMF、WTOでも追求てきました。ですから、私たちもこの課題を共有しているのです。
問題は、これらの問題を最善のかたちで進展させることであり、解決のための最善の方法を議員や利害関係者たちと協議をしているのです。

Q:日本について、日本は米国との二国間合意がなければTPPに署名できないことは理解しているのでしょうか。あるいは、二国間合意まではTPP合意そのものがないのでしょうか?


A:私たちは、日本を含むものとしてのTPPを決着させるために、自動車、保険、非関税措置に関する二国間交渉で満足のいく結論に至る必要があると明言しました。そして日本は概して、TPP交渉そのものについては、たいへん建設的な姿勢で交渉のテーブルについています。
二国間交渉は、とても重要です。私たちは二国間交渉で進展が見られるよう、大変な努力をしています。最終的に、TPPを日本と一緒に終結させるには、満足のいく結果を二国間交渉で導き出す必要がありますから。

Q:これら二国間交渉はどのような段階にありますか?

A. 現在、進行中です。正式には8月以降、東京で一連の会合を行い、米国でも一連の協議を持ちました。日本は7月下旬にTPP交渉に参加し、8月初めにはウェンディ・カトラー代表補が日本に行ってきました。それ以来、私たちは多くのやり取りをしてきました。ほんの2~3週間前にはアジアで茂木大臣と甘利大臣にも会いました。ですから、交渉は進行中であり、彼らとは、満足のいく進捗をはかるためにはよい結果をださなければならないという点を明確にしています。

(中略)
Q.連邦政府閉鎖が続くことは、貿易交渉の遂行にどのような影響を与えていますか?例えば、あなた方は環大西洋貿易投資協定TTIPの第二次会合をキャンセルしなければならなかったし、オバマ大統領はバリ会合に参加できませんでした。それによって、他の国々が、米国を信頼に足る貿易相手国と見るかどうかに影響が出ないでしょうか。

A. まず、米国通商代表部のスタッフは、信じられないくらい献身的かつ勤勉で、連邦政府閉鎖の間も私たちの優先事項が重視されるよう手を尽くしています。具体的にいうと、ここ米国通商代表部には最小限の人員からなる基幹的なチームがあります。私たちはTPPが進展するようその最小限のチームを派遣し、その結果、大統領不在にもかかわらずかなりうまくいったと思います。
確かに大統領がいればもっとよかったかもしれません。しかし、勢いは継続できたと思います。ニュージーランドのケイ首相とケリー国務長官には、首脳会合を成功させる上で重要な役割を果たしていただき感謝しています。
WTOでの課題もあり、これは延期できません。WTOが始まる前にジュネーブに法律の専門家を派遣してこれらのケースについての議論を行うか、あるいは概要説明を提出しなければならず、このスケジュールは変えられません。

しかし確かに、影響はあります。今のところ、多くの問題を保留にしなければなりません。環大西洋貿易投資協定の交渉会合の延期であったり、二国間交渉の中で持ち上がった重要な問題をフォローするための相手国への関与の延期であったり、優先的に実施すべき重要な事項の延期などです。ですから、私たちにとっては大きな影響がありますが、貿易相手国側は理解してくれていると思います。私たちが前進させようとしてきたTPPやバリでの合意の勢いは失われることはないでしょう。もちろん私たちはみな、閉鎖が終わるのを待ち望んでいます。そうすれば、私たちのスタッフを配置に戻すことができ、現行の交渉に取り組み、既存の協定や合意を監視して、私たちの貿易の権利と貿易法の全面的な実施による雇用創出、成長の促進、中間層の強化、にとって非常に重要と私たちが考える問題について取り組みを続けることができるのです。

WTD: ありがとうございました。
(翻訳:清水亮子/監修:廣内かおり)

2013年11月9日土曜日

「TPPフリーゾーン(無効地域)」をアメリカで初めて公式宣言、ウィスコンシン州デーン郡

米国では過去1~2年の間に、50州の州議会が何らかの形でのTPP反対決議を上げていると聞いています。まるで日本の市町村会などがTPP反対決議を上げているのと同じことが米国でも起きていることを最近知りました。その中にあって、下記のデ-ン郡による「TPPフリ-ゾ-ン宣言」はユニ-クであり、今回紹介したいと思った次第です。(翻訳:池上 明/監修:廣内かおり)

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ウィスコンシン州デーン郡、「TPPフリーゾーン(無効地域)」をアメリカで初めて公式宣言

ウィスコンシン州デーン郡(※)の郡委員会(郡の最高機関)は、全会一致(2名棄権)で環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する強力な決議を可決し、「デーン郡のTPPフリーゾーン(無効地域)」を決定した。さらに、たとえTPPが制定されたとしても、郡は「住民、労働者及び地域ビジネスに最善の利益をもたらす政策を実行し、生命の基盤となる生態系を守ることを放棄しない」と宣言した。

郡委員会はまた、郡内の全市町村にもTPPフリーゾーンとなるよう呼びかけた。

この案はとりわけ郡委員会委員長John Hendrick氏、郡議会長の Chris Schmidt氏及びマディソン市長の Paul Soglin氏に支持された。

TPP交渉は長年にわたり行われているが、いまだにほとんどの人は交渉が行われていることすら認識していない。これはアメリカの交渉当局が提案内容の開示に消極的なためだ。TPPは現在、ベトナム、日本、オーストラリア、マレーシアを含む最大且つ、最もハードルの高い自由貿易協定となっている。Citizens Trade Campaign(市民団体)が最初に漏洩した条項案によると、交渉当局は国と地方の政策立案について深く介入できるような提案内容を推進していることが明らかとなっている。

「地方自治体は、多国籍企業が仲裁機関を通し、地方条例に異議を唱えられることに特に不安を感じている」と郡委員会委員長 Hendrick氏は述べた。「例えば、マディソン市とデーン郡の『地消主義』や生活保証賃金についての条例は、企業利益にとっての障害と見られかねない」。

デーン郡の決議はまた、通商協定の交渉及び承認に関するファスト・トラック・プロセス(大統領に対して与えられている通商協定に関する一括的取扱いの権限)を批判している。企業のロビーグループの一部は、通常の議会による検討、修正及び討議の手続きを回避できる新しいファスト・トラックを可決するよう議会を後押ししている。

透明性こそ市政府において、我々が重視し要求していることだ」とマディソン市長の Soglin氏は述べた。「我々が反対したNAFTAのときにもそうだったが、もう同じことはさせない。支持することはできない」。

「もしこれ(TPP)が良いものならば、公開の場で議論されるはずだが、実際のプロセスは秘密裡以外の何物でもない」とウィスコンシン公正貿易連合委員長でありAFL-CIO前ウィスコンシン支部長の David Newby氏は語った。「連邦政府は交渉に関する文書を報道関係者にも国民にも出したがらない。それにもかかわらず、600社以上の企業ロビイストはこれを入手できる。良い統治だとはとても言えない」

「TPPは多国籍企業の利害と利益を優先している」と群議会議長の Schmid氏は語った。「TPPは我々の雇用、環境そして食料までも犠牲にし、多国籍企業による賃金の搾取や海外労働者に対する保護の欠如を可能とするものである。これは我々の生活水準を低下させる恐るべき公共政策であるだけでなく、経済的クーデターである」。(翻訳:池上 明/監修:廣内かおり)

(※注)ウィスコンシン州デーン郡
ウィスコンシン州はアメリカ中西部の最北にあり、五大湖のミシガン湖西岸に位置する(アメリカ合衆国50州の中で面積は第23位、人口は第20位)。デーン郡は、人口約49万人を擁し、州内72郡の中で人口はミルウォーキー郡(95万人)に次ぐ。郡都はマディソン、面積は3,113㎢(東京都の1.5倍弱)。(出典:ウィキペディア)

2013年11月6日水曜日

「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」への賛同と参加のお願い

「STOP TPP!! 市民アクション」も実行委員会として関わっている「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」の賛同と参加の呼びかけです。ぜひよろしくお願いします!

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このままTPP交渉妥結はおかしい
と考えておられるすべての団体のみなさんへ

「これでいいのか?!TPP 12.8大行動」実行委員会

よびかけ団体
・TPPに反対する弁護士ネットワーク
・参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会
・主婦連合会


「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」への賛同と参加のお願い

 連日のご活躍に敬意を表します。
 さて、ご承知のように、TPP(環太平洋経済連携)交渉では、政府は、秘密保持契約を盾に、日本としての提案も含めて、交渉内容を国民にも国会にも一切明らかにしないまま交渉を続けています。その一方で、年内妥結をめざして、交渉は大詰めを迎えていると伝えられています。
 このままでは、安倍首相が交渉参加に当たって約束した丁寧な議論もないまま、結論だけが押しつけられる事態になりかねません。衆・参農林水産委員会決議が求めている情報開示が行われないままでは、「聖域」を守ることを含めた交渉内容に関わる決議も守られる保障はありません。
 私たちは、いまこそ、TPP交渉に反対する声、あるいは秘密のまま進められている交渉に疑問を持っている声を総結集して、政府に対して「国民的な議論もないまま交渉妥結でいいのか」の声を突きつけ、このことを広く社会にもアピールすることが必要ではないかと考えました。そこで、私たちは、呼びかけに応えた多くの団体とともに、集会とデモ行進からなる「大行動」を、128()に開催したく、準備を始めました。
 貴団体におかれましても、別紙「大行動の趣旨」等にご賛同いただき、下記により行動にご参加・ご協力いただけますよう、要請申し上げます。


1. 行動への参加と賛同などお願いしたいこと。

(1)   別紙(文末にリンクあり)「大行動」の趣旨・原則にご賛同いただき、貴団体の構成員はじめまわりの方々に参加を呼びかけていただくこと。

(2)   賛同に当たって、運営経費に充てるため、賛助金を拠出いただくこと。
(一口2,000円で何口でも)

(3)   賛同していただいた団体には、行動の準備状況を逐次お知らせします。賛同団体は実行委員会に出席して、意見を述べることができます(出席が義務ではありません。念のため)。
  
2.       賛同の可否など、以下の内容でご回答をいただければ幸甚です。
(1) 団体名
(2) 住所
(3) 賛同の可否
(4) 賛同いただける場合、賛助金の口数
(5) 12.8大行動への参加の予定(参加する、参加できない)
(6)チラシ・ポスターの必要枚数
(7)担当者・連絡先など
(8)ほかにご意見や要望があれば。

3.別紙回答用紙にご記入いただき、EメールかFAXで、下記連絡先にご回答ください。

4.賛同し、賛助金にご協力いただける場合は、下記にご送金ください。
  (金融機関名)ゆうちょ銀行 (記号)10120 (番号)67178361
*ゆうちょ銀行以外の金融機関から送金の場合
(店名)〇一八(ゼロイチハチ) (店番)018 (普通口座)6717836
  (名義はいずれも)「これでいいのかTPP実行委員会」

5.賛同の締め切りについて
  賛同は、125()まで受け付け、当日のポログラムに掲載し紹介させていただく予定です。なお、あまり期日がありませんが、1111()までに賛同をご連絡いただいた団体については、チラシに掲載させていただく予定です。

6.「大行動」のチラシ・ポスターの配布について
  11月中旬には、チラシとポスターを発行します。ただし、経費の都合で団体の買い取り制(チラシ@6円、ポスター@100円、送料込)とさせていただきますので、必要な場合は枚数をお知らせ下さい。代金は、賛助金と同じ口座に送金をお願いします。
  なお、チラシのPDF版は賛同団体にメール送信させていただきますので、ご活用下さい。

7.連絡先:TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局
  〒104-0061 中央区銀座6丁目12-15 COI銀座612 七階 東京市民法律事務所内
宇都宮健児弁護士気付 TEL: 0335716051(代表)/FAX: 0335719379/Eメ-ル: kznakano45※gmail.com(担当・中野和子弁護士/※を@にして送信下さい)

以上

※ 賛同依頼の文書は以下からダウンロードできます
(PDF版)