2013年2月26日火曜日

参加表明後に地方はどう動く!?─NZ首都オークランド市議会が注目の決議

 すでにTPP交渉参加国となっているニュ-ジ-ランドの首都・オークランドで注目の動きがありました。オークランド市議会はTPPに関する決議を起こし、その内容は地方におけるTPPの問題点を表したものになっています。

 日本国内では参加表明を前提とした議論が始まっていますが、日本が参加表明した後の地方の動き方として参考になるかもしれません。ぜひ日本の市民と共有すべく翻訳をしました。(翻訳:田所剛/監修:廣井かおり)

オークランド市議会決議 決議案番号RDO 2012/266
発議者:MA ハートレイ議員、賛同者:W ウォーカー議員
      
 地域開発運営委員会は、ニュージーランド政府がTPPおよびFTAの交渉においてオークランド市とニュージーランドにとって実質的に有益な内容、即ち以下のような目的を達成するような方法で妥結することを求める。

1.オークランド市議会そして他の地方議会の裁量において、地域優遇のために公共事業の調達を行う権限を引続き認めること、即ち特定のサービスや便益は地方議会が運営、もしくは契約する組織(CCOs)により地域内で提供されるものを選択すること、および国内もしくは国際的な最低水準よりも高い水準の健康と安全、環境保護、雇用の権利と条件、コミュニティの参加、動物保護と人権の水準を要求することなどである

2.オークランドおよびニュージーランドが協定締結国以外の、中国を含む他の国々とも外交面、貿易面で良好な関係を保つこと

3.自国、特にオークランド地域の農産品の米国市場への輸出機会を増加させること

4.医療費や薬価の高騰、タバコに対する規制(緩和)等公共の健康維持を脅かすような医薬品管理局(PHARMAC)(の機能)を蝕まないこと

5.投資家対国家間の紛争解決のための仲裁裁定制度の導入により海外投資家や資金提供者に対し国内投資家や資金提供者以上に大きな権限を与えないこと、および海外投資家や金融機関に対する規制権限を弱めないこと

6.現行法の範囲を超えた知的財産権の範囲拡大と法施行を行わないこと

7.公共サービスの弱体化や民営化、反民営化の動きの阻止、ニュージーランド政府やオークランド市議会および他の地方行政機関の営利化の促進を行わないこと

8.地方経済と産業の発展に対する柔軟な支援を損なわないこと、また市の研修制度、COMET(市民に教育機会と連携の場を提供する市議会運営の組織)、社会からはじかれた若者たちがより有意義な職に就けるような技能を習得するための市長による対策委員会など、良質な雇用と環境を促進するための取組みを促進すること

9.国際労働機関の条約を順守し、交易や投資優遇のために労働権を狭めることを防止する、強制力ある労働条項を含めること

10.交易や投資優遇のために環境基準を引下げることを防止する、強制力ある環境条項を含めること

11.人権、環境、ワイタンギ(Waitangi)条約(訳注:ニュージーランドとマオリ族との間の土地所有などをめぐる協定のこと)、そしてニュージーランドの経済と金融の安定を擁護するための一般例外条項を含めること

12.協定条文案の定期的な公開を行い国民に意見を求めることがなされてきてはいるが、意見公募(パブリックコメント)を含め社会、環境、経済等への影響調査結果を協定批准の条件とすること

可決

(翻訳:田所剛/監修:廣井かおり)

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