2012年10月4日木曜日

交渉官と市民がTPP投資条項で質疑 リ-スバ-グ(米国)TPP交渉会合

9月9日に米国リ-スバ-グで行われたTPP交渉参加国の交渉官が出席して行われた、主として投資条項に関する説明、および市民団体と交渉官との質疑応答をまとめたものである。(翻訳:近藤康男  監修:廣内かおり)

☆ ★ ☆

投資に関する交渉の説明会
(米国リ-スバ-グでのTPP交渉会合)


出席:ハミッシュ・マコ-ミック(豪)、ロドリゴ・コン トゥレラス(チリ)、ジャヤシリ(マレ-シア)、デイビッド・ウォーカ-(NZ)、エドガ-・ヴァスケス(ペル-)、ングビー・キム (シンガポ-ル)、トゥラン・クォック・カ-ン(越)、バーバラ・ワイゼル(米) ブルネイ代表は欠席
※9日は会合開始後4日目

米国:
この場所に多くの利害関係者が来られ、また話をすることが出来て感謝している。私達の交渉は常に皆さんに開かれたものである。こうしてここで対話を始め、交渉会合の終わりにもまた対話を続けたい。それぞれの意見を表明されるため常に交渉会合の開催場所に参加されていることに感謝する。

現在の交渉の状況について簡単に説明をしたい。これまで の2年間、29の章をまとめるため多くの点で前進をしたが、9ヶ国での交渉でまだ残っている課題も多い。大半は既に米国と自由貿易協定を締結している国々である。交渉中の協定には、関税撤廃のようにすでになじみのある課題から、この協定で新しく取り上げているさらに複雑なものまで、多くの課題が含まれている。これらの課題は、利害関係者、議会との協力を得ながら注意深く検討されている。大変複雑な作業だが、我々は全員で、この新たな課題の解決に向けた、野心的で21世紀型の高水準の協定づくりに打ち込んでいる。

我々は先週の木曜日(9月6日)にこの交渉会合を始めたが、多くの関係者がすでに 我々と会合を持った。今後もその予定であり、草案の内容について出来るだけ進展させようとしている。7月の会合以降、各国の関係者は中間会合を持ち、草案の内容を磨き、修正してきたし、(中間会合に参加をしていない)他の国の懸案事項やみなさんのような方々から出され た懸念に応える代替案を提示するため、熱心に作業をしてきた。今回の交渉会合を通じて、これらの草案について出来るだけの進展を図りたい。比較的軽微な関心事項とそうでない事項がある。皆さんの多くは慎重な議論を要する重 要事項に取り組んでいるだろうが、充分に検討する必要があり、今回の会合でこうした全てが決着することは期待しないで欲しい。我々はこれらの重要な事項に関心を表明した皆さんと緊密に意見交換をするつもりである。市場への参入、工業製品分野、農産物、繊維製品、サ-ビス、投資、一般条項、等々について議論をする。これらは全て、どの分野にとっても野心的と言い得る調和のとれた包括案をまとめる上で重要な分野である。

(協定は)強固で深化したものであるほど好ましいというのが、各国の一致した意見であり、これまでのTPPに関する経済的分析でも確証されている。我々は通商担当閣僚の会合があったAPECより示された指針を考慮するつもりだ。では、このことについてニュ-ジ-ランドから少し話してもらう。米国の主席交渉官のワイゼルは腰痛のため出席できなかった。

ニュー ジ-ランド:
APECでは、TPP関連の閣僚が集まり、交渉の進捗状況を検討し、各国閣僚が何を求めているのか、また、首脳らが示した任務に対し我々交渉官が何を達成できたのかを評価した。閣僚は協定の核となるそれぞれの分野に目を通した。閣僚会合の報告は今日(2012年9月9日)、USTRのサイトに掲載される。より技術的で異論の少ない分野については相当の進展をしてきたと報告した。しかし、より慎重を期する重要関心分野については、首脳が示した目標を達成していると言えるためにはまだ作業が残っている。

APECではメキシコ・カナダと会う機会があったが、彼らは、TPP参加各国に対し、参加意向表明をした国の意見を聞くよう求めていた。ただ、各国とも国内手続きがまだ残っている。閣僚達はこの機会に、これら2ヶ国の閣僚の交渉参加に正式に歓迎の意を表し、全員がこ の野心的な協定に対する共通の責務を持っているとの期待と、新しく参加した国は積極的な貢献が出来るだろうとの考えを繰り返した。我々は、昨年ホノルルで示された使命に沿って、出来るだけ早く交渉妥結を図るつもりである。

米 国:
カナダとメキシコは10月8日の週から、それぞれ別の日ではあるが正式に参加する。2ヶ国とUSTRについては9月12日にITC米国・国際貿易委員会で公聴会があり、加えてメキシコについて21日、カナダについて24日に行われる。意見提出はもう締め切られているが、公聴会参加の如何に関わらず2ヶ国の交渉参加により生じる問題に関して何か意見があれば、この場で出していただいて結構である。正式な公聴会の一部と言えなくとも、出してもらって差し支えない。それでは、どうぞ。

Third World Network:
米国に質問したい。米国はマレ-シアに対して、ブミプトラ政策を崩すような、政府調達における内国民待遇を要求していた。そしてそれが両国のFTAを頓挫させた理由の一つだった。TPPの交渉を年内に妥結させるとした場合、米国がマレ-シア のブミプトラ政策について政府調達での保護を認めるのは確実か?

米国:
両国のFTA交渉は失敗したわけではない。TPPに包摂されるのであり、両国とも地域協定に移行すること は大変結構だという立場である。まだこの部分についての交渉は決着していない、市場参入についてはまだ協議中で ある。マレ-シアも、対応を検討しているが、我々も政府調達に関して調和のとれた包括案を検討しており、その側面についてはまだ決定していない。

マレ-シア:
ここで交渉をするつもりはないが、交渉官はブミプトラ 政策・施策とその柔軟性を維持すべくうまくやっている。

EFF:知的財産権(IP)の章について質問したい。
我々はサン・ディエゴ会合以来、制限における例外措置 の問題に取り組んできた。USTRは、その立場として(草案の)第2項にある、他の国の制限における例外措置とも矛盾しないと言ってきた。しかし知財の公正利用規定の制度を持っていないTPP参加国において、3段階テスト(1.著作物の通常の利用を妨げず、2.著作者の正当な利益を不当に害しない、3.特別な場合)に基づく第2項によって、教育などの分野で本当に(知的財産権の規制 の対象か否か)選別が出来るのか懸念している。どのようにしてそれを調和させるつもりだろうか?

米国:
あなたが入手しているという草案について言及したくは ないが、交渉で提案されている案はあり、前回の会合で出されたばかりである。全ての課題が協議途中で、まだ今週までのところその問題にたどり着いていない。各国が懸念を抱いている点があれば聞かせていただき解決を図りた い。

Public Knowledge:課題に関心のある関係者とは緊密に協議すると言われた。
その協議とはどのような性格のものなのか?また今まで行われているものとは別なのだろうか?草案だけでなく交渉の細部についての情報も用意されておらず、これまでの協議の実態は適切なものではないと感じている。

米 国:
いろいろな見方があり、全ての同席者の立場を代表しての回答をすることにはならない。しかし少なくとも米国は出来るだけ幅広く意見を聞くよう可能な限りの努力をしてきた。議会とはこれまでの2~3年間に500回以上協議をし、非公式なものだが、その他の関係者とは300回以上協議を重ねてきた。USTRは意見を表明したいどのような人々からでも意見を聞くべく努力をしている。その努力は意味のある、真剣な、そして精力的なものだ。

もし議論の途上にある課題について興味を持ちながら も、意見を求められてこなかったと感じている方々がいれば、そのことを我々に伝えてほしいし、喜んで対応させて いただく。我々全員が、交渉を公開の場で行うことは不可能であると強く信じている。幅広い課題について交渉し、 一連の微妙な課題を含む合意を締結することは公開の場では無理だろう。しかしそれは意見を聞くことに真剣でない とか、詳細について話したくないとか、各界の色々な角度からの情報に耳を傾けないということではない。以前は交 渉の草案作成に積極的には関わってこなかった方々がTPPでは参加する機会を得ており、そうした参加の結果、新た な提案がたくさん取り込まれている。人々の心の中を想像することは出来ない。皆さんが建設的な意見を持っている のなら、我々にそれを聞かせてほしい。我々は今ここにある草案に固執しているわけではない。異なる意見を持つ皆 さんと議論することにより、我々が交渉に付す提案がより良くまた強固なものになってきたのだ。関心があるにも関 わらず、求めるものを得ていると感じられないのなら、そのことを気づかせてくれることが必要だ。USTRのサイトには、その方法について全ての情報が載ってい る。

ベ トナム:
この機会に、我々が、皆さんの希望する会合全てには応 えきれてはいないことを陳謝したい。数多くの会合の希望をいただいたが、時には何人かの方としか会うことができ ない。しかし皆さんのことを気に掛けていないということではない。我々は交渉に集中する必要があるのだというこ とを分かってほしい。皆さんの意見には注意を払っている。我々は直接皆さんと会いたいと思っているが、それがで きない場合は是非意見を送って欲しい。

Health GAP:知的財産権と医薬品の入手の問題が関連する 点について質問したい。
知財の章では、より長期の強力なそしてより広範囲の特 許権と独占権、より強力な私的権利と機会、逆に政府への新たな義務及び罰則とインタ-ネット規制を推奨してい る。そして今、知財の分野は明示的、暗示的な形で投資の章の中に含まれ、政府に対する投資家の提訴という新たな 権利を製薬会社に付与している。交渉官、特に発展途上国の皆さんに質問したい。あなた方は、直接政府に対して訴 えを起こすという私的権利行使(脅迫的な効果を含め)が意味するところを検討したことがあるのだろうか?特に、HIVや「顧みられない慢性疾患」のための手頃な後発薬に関わ るそのような脅威を考慮されたのだろうか?

(長い沈黙、誰も答えようとしない)

ペ ル-:  
ペル-では注意深く検討し、公衆の健康と今日ここで出 されたような事項との間の微妙な関係に影響のないよう進めている。途上国としては、国民が医薬品を入手し易いよ うにすることが必要であるが、交渉の場では互いの意見、利害そして懸念事項を理解するよう真摯に努めている。 我々はこの両立を崩さないよう真剣に作業をしている。我々はあなたのご意見にかなり近いところまで来ていると感 じているのだが…

Public Citizen’s Global Trade Watch:
ひとこと言っておきたい。あなたがた交渉官とこの場の 聴衆の席とはかなり離れているので、あなたがたからは、大勢の人が“暗がりから出て来い、TPP”と書いたTシャツを着ているのが見えないかも知れない。Landsdowneの外では集会が行われていた。交渉の過程に高い関心を持 ち、ここに集まっているが、草案が公開されないままでは、我々が望むような合意のための意見を表明することは非 常に難しい、と強く思っている。それをぜひ知っておいてほしい。
一時入国のビザに関する具体的な質問をしたい。最近下院 司法委員会のスミス委員長と有力委員であるジョン・コンヤ-氏から手紙を受け取り、その中で彼らは今後のどのFTAにおいても、一時入国ビザには反対すると述べている。TPPには一時入国ビザに関する章があると理解している。TPP参加国への一時入国ビザに関して、USTRは実際に議会と縄張り争いをするつもりだろうか?(※米 国では移民関連の法令は議会の専門事項で、行政府に交渉権がない)そうでないとしたら、チリとシンガポ-ルのみ が既存の米国とのFTAで一時入国ビザを得ていることを、他の交渉参加国は受け 入れられるのだろうか?

米 国:
交渉中の協定における一時入国ビザの問題と議会の立場は 新しい問題ではない。チリ、シンガポ-ルとのFTA締結の直後に議会は立場を明らかにし、USTRに一時入国の問題を交渉させるつもりはないとした。方針 が変わったのだ。両国とのFTAはこれからも効力を持つし、TPPとも並存する。しかし議会の立場は明確である。我々は市 場参入を確かなものにするための一時入国手続きやその他の方法を含む一時入国の問題についての章に関して作業を している。これは他の国々にとって非常に重要なものであるが、我々は議会の明確な立場と相反することがないよう 解決策を求めている。

Sierra Club:
140万人の会員・支持者を代表して質問したい。我々はもっと 透明性を高めるよう求めている。会員は、市民団体、環境グル-プ、労働組合、家族経営の農業従事者などさまざま な分野から参加している。この協定には環境や資源に関して非常に多くの利害があり、関係者は環境に関する章を注 視している。我々は米国が強力な規制とそれを執行できる章を求めていると理解しているが、その通りなのか。もっ と詳しく説明してほしい。

米 国:
我々は、これまでのFTAにある環境に関する義務を基にし、さらに前進させるた め、多くの環境グル-プやその他のグル-プと非常に緊密に作業をしてきた。実際、この交渉参加国は環境保護の重 要性について非常に共通した観点を持っており、この章では環境保全やその他の課題について数多く提起されてい る。交渉は前進している。この章は複雑で長い章であり、これまでのFTAの内容に基づいて作られている。まだ合意に至るには少し 作業が残っているが、どのように進展するのか今週わかるだろう。

Health Gap:ド-ハ宣言の現状について質問したい。
米国政府の白書では、発展途上国にとって手頃な価格の 医薬品の入手方法が拡大していないことが徹底的に暴露されている。AIDS会議で米国は、我々と医薬品の入手についてその立場を見 直そうとしていると聞いた。米国はいまも特許付与前異議申し立ての制度をなくし、特許対象の範囲を拡大するつも りなのか?またその理由は何か?ド-ハ宣言では言及があり、そして米国の提案以外にはそれに触れられている文言 がないとしたら、他には何か途上国にとって手頃な価格の医薬品の入手を拡大させる提案はないのだろうか?

米 国:
まだこれらの問題を議論するところまで来ていない。交 渉中の課題の多くについて、関係者からの様々な意見に基づいて慎重に考えている段階である。真剣に内部で分析 し、どう進むべきか検討している。そのあと皆さんと議論し、それからさらに前に進むつもりでいることは保証す る。その過程が終わるころになれば、皆さんにもっと話すことができるだろう。

Health Gap:
それと、米国だけでなく他の国々も草案を前進させよう としているのか?どのようにしたら手頃な価格の医薬品の入手を拡大できるか検討しているのだろうか?

(回答なし)

Health Gap:そうか…

Global Trade Watch:
色々議論を呼んでいるものの一つが投資である。多くの 国で法律家、市民団体、議会や政府が、投資家対国家間紛争条項が実施されることを懸念しており、またその規則が 政府による法支配の範囲を制限することを心配している。最低待遇基準及び公平で公正な協定に関して、いまどう なっているのか?付属文書についての最初の説明は企業による勝手な解釈を止める方法として推奨された。しかし、RDC社とグァテマラ間の問題ではその付属文書にもかかわらず裁判となり、明確にグァテマラ、米国、ホンジュラスの政府の主張が退けられ、企業の立場に立った裁定が行われ た。その点でも、今何が行われているのか、草案が同じ基準と付属文書であるとすれば(こうした事例が)TPP交渉にどのように影響したのか?基準を見直したり、もっ と例外規定が必要だという考えはあるのか?上述の事例は交渉経過にどう影響をしているのか?

(回答なし:マレ-シアとチリが苦笑)

Global Trade Watch:
付属文書については全くひどい解釈になっているがほか のプランは?

米国:
米国はその決定について見直し中で、どのような意味を 持つのか内部で議論し、草案の修正が必要なのか、どのように必要なのかを決断することとしている。

AFTINET:
フィリップモ-リスは、オ-ストラリアのプレ-ンパッ ケ-ジ法が議会を通過し、また最高裁で会社側の主張が退けられた にもかかわらず、オ-ストラリアと香港間の投資協定でのISDSにこだわっている。このフィリップモ-リスの挑戦につい て交渉官はどのように考慮するのか?とりわけ発展途上国ではどうなのか?

(オ-ストラリアは苦笑しながら頭をふる。米国は彼をつ ついて発言させようとしたがそのつもりがないので諦める)

ペ ル-:
その例は、事案によっては国家の権利に関して国際的な 場が優先されることがある、ということの明らかな例であり、そのことはペル-の既存のFTA全てに含まれている。TPPも同様である。独自の資本規制を策定すること、今のとこ ろそのことはここでの協議では要求されていない。我々は国際的経験におけるいくつかの事例を注視している。健康 やその他の目的のため独自の規制を策定する過程を維持することの重要性を考慮している。

メイン州下院議員:
私はスコウヘガン地域選出のメイン州下院議員である。 現在の履物への関税の維持についてどんな感じで進んでいるのか?

(米国は不機嫌そうに顔をしかめる)

米国:
担当交渉官に答えをまとめさせることとする。履物の関税 については、米国内で一連の微妙な問題を抱えているのは確かである。メイン州は、州経済にも、そこで働いている 人々にとっても、重要な履物製造業を抱えている。我々は何度もそして集中して、業界の利害を代表する州や地域の 代表、そして同様に米国の業界利害を代表する人々から意見を聞いてきた。米国内の産業界はこの問題では非常に意 見が異なっている。従って、これからも草案を策定する際には、協議をしていくつもりである。USTRのカ-ク代表がメイン州に行き、ニュ-バランスの施設を 訪ね、直接関係者から懸念を聞かせてもらうことになっている。包括的な協定を交渉しているという点には、皆合意 している。従って、メイン州の工場の利害を代表する関係者や他の工場の利害代表者との議論は、この協定の交渉で は包括的な成果を追求しているのだということに最終的には全員合意しているという基本に則って行われている。

ニュ -ジ-ランド:
我々は、業界が時間を掛けて調整出来るよう、関税を漸 減させる方法を採ってきた。どの国にも重要関心事項がある。我々は、業界が対応出来るよう何とか経過期間をおく べく頑張っている。

Oxfam America:
我々は、交渉に付された知財条項が、公衆の健康と医薬 品入手を保護する政府の権能を制約するということに関して深刻な懸念をいくつか提起してきた。(いまの)説明を 正しく理解したか確認をしたい。今回の交渉会合では知財条項についての議論は無いのだろうか?もしそうだとした ら、米国は中間会合で議論が進んだと言ったが、現在、医薬品入手に関わる知財条項の議論は進行しているのだろう か?二国間協議がおこなわれているのか、あるいは米国か他のどこかの国が、何らかの代替案や新提案を交渉に付す ことをいつ期待できるのだろうか?

米 国:
リ-スバ-グでは医薬品に関する知財問題の議論がない ことは確かだ。他の知財問題について議論し、医薬品に関してはこの先に予定される交渉会合で議論するつもりであ る。どのように進めるのかという更なる情報について、皆さんがいつ知ることになるのかは明らかに出来る状況には ない。我々は、既に示した提案に対する通商相手国からの反応を真剣に受け止めている。それらの提案をまとめるた め長い時間も費やした。個人的には提案は非常によく考えられ、十分にまとめられた提案だと感じている。もちろん 普遍的に共有された見方ではないので、我々は米国の利害関係者や貿易相手国からの一連の意見も踏まえて、見直し ているところである。非常に複雑な課題で、交渉参加国全てにとって重要な分野を含んでいるので、我々は代替案に ついて考えるため、時間をとって注意深く見直しを進めている。

チ リ:
我々は出来るだけ早く対処したいと思っている。この件 は協定でも、特に知財の章では、最も重要な課題の一つであり、早くすべきである。

Global Federation of Consumer Groups:
米国の食品、農業界は衛生・植物検疫措置に関してWTOの原則を超える強制可能な義務を求めている、と聞いたが 本当か?消費者の立場としては心配である。消費者は、予防的措置により被害を回避できるというのに、食料・食品 に関わる問題を科学的な結論が出るまで待たなければならないということを望んではいない。貴方がたは、TPP参加国が予防原則を適用する権能を取り戻せるということ を保証出来るのか?

米 国:
私は、交渉参加国は必ずしも予防措置原則を支持してい るわけではないと思う。衛生・植物検疫措置の章における紛争解決については話すことが出来るが。現在のところWTOを超える事項をどう取り扱うかについては未だ何の提案も 挙げられていない。米国の利害関係者の意見を聞いてどう進めようか検討しているところである。これ以上言及でき ることは無い。

チ リ:
WTOでの規定を超える協定という問題は、非常に難しい問題で ある。衛生・植物検疫措置の分野に限らず協定そのものに言えることである。別の言い方をすれば、WTOの範囲に留まっていてはここにいる意味がない。我々がこ こにいるのは21世紀の協定を目指しているからであり、もっと野心的な提案が必要なのだ。

Doctors without Borders:
知財の章の条項について非常に懸念を持っている。特に 米国は、我々が密接に活動をしている途上国における治療活動の持続可能性について、交渉に関する要求を出してい る。我々は、特許水準の引き下げ、特許付与前の異議申し立ての禁止などを含む様々な懸念がある。したがって米国 の取っている立場をもっと理解しておきたい。国民の健康をどのように守ろうとしているのか、我々のような団体の 目的が守られるために、どんな手立てを講じるのか?条項の1つは、責任の問題を生じかねないと見るが、診断において も(特許を)必要としており、私の理解では、特許を認めている国だけが例外規定を持っている。例外は無いのか? 医師を保護し、治療の持続性を確保し、そして医薬品が継続的に入手し易くできるよう案は何かないのか?

米 国:
提案内容については言及を控える。内部での見直しが終 わった段階で言及する。今は付け加えることは何もない。

Voice of Vietnamese Americans:
米国には170万人のベトナム系の人々がいる。我々は、TPPも、ベトナムとの貿易の増加も同様に支持する。いくつか 質問したい。まず、草案は、市民が交渉の進展についていけるよう透明性を持つべきである。ベトナムにとってTPPは、通商を行なっている国として、国内外の国民を守るた めに国の仕組みを変えなければいけなくなるという点で非常に重要な課題である。ベトナム市場への参入についてだ が、米国内には多くのベトナム人向けのテレビ局がある。我々ベトナム系アメリカ人はベトナム国内でテレビ局を開 設し、新聞を発行することが出来るのだろうか?TPPで交渉のテーブルには乗せられているのだろうか?次は知 財の問題だが、ベトナム系アメリカ人の手による多くのものが使用料を払われないまま、ベトナム国内で利用されて いる。どうしたらこの使用料を要求出来るのか知りたいと思っている。3点目はインターネットの自由で、我々が進めている平等の 価値をベトナム人も進めており、多くのブロガ-がいる。TPP交渉開始にあたって、USTRの次席代表は言論の自由は守られると言った。労働者の権 利についても尋ねたい。USTRのポスナ-氏は、TPP交渉はベトナム政府が労働者や労働組合の権利を尊重する ことを確保するものだと言明したが、その件は交渉に乗せられているのか?我々は、ベトナムの労働者も全ての権利 を守られた労働組合を結成することが出来ることを願っている。

米 国:
あなたが今挙げた課題の多くは交渉の場に挙がっている が重要な関心事項である。ベトナム側は目指す成果を得るため、出来るだけの注意を払って乗り越えようとしており、今あなたが提起したような課題に取り組むために真剣な態度で交渉にあたっている。TPPは政治的な協定ではない、その目標とするところは他国の 政府の形を押し付けることではない。我々はあなたが言ったことに関連する貿易に関わる一連の課題に取り組んでい るのだ。ベトナムは真剣に取り組み、前に進めるべく政府の全ての段階で意見を求めている。

ベ トナム:
在米のベトナム人の数に関わる発言については答える必要 はないだろう。他の点では、貿易以外の事柄には答える必要があるとは思っていない。我々はベトナムから米国に向 けられる物品やサ-ビス貿易の市場参入を議論するためにここにいる。知財保護については、それぞれどこの国も執 行についての問題を抱えている。我々は、知財保護の仕組みを作り、知財保護を執行するという責務のために、他の 国々と共に取り組むことを委ねられている。それ以外の事についてもベトナムは同じ目標を共有している。我が国も 労働者を保護したいと考えている。しかし多分異なる方法にはなるだろう。労働者の保護は最大の関心事項と考えて いる。

Voices of Vietnamese Americans:
変革のために共に頑張りたい。

ベ トナム:
あなたの言う変革とはどんなものだろうか?

Voices of Vietnamese Americans:
多くの在米ベトナム人が帰国しているが、その多くが資産 や投資の損失を支払うよう求められている。ベトナムで事業を起こし、5年ほどして花を咲かせると刑務所に入れられてしまっている。我々がベトナムに行って仕事をする場合、米国はこれらの米国市民を保護してくれるのだろうか?

米 国:
あなたとは後ほど議論しよう。

所属不明の質問者:
我々の経済の問題。透明性の欠落したTPPの問題への取り組みでは苦闘をしてきた。情報漏洩のたび に怒りが込み上げる。今日話をしてきたことのいくつかは、巨大な製薬会社の利益を保護することに限って言えば、 人々の必要よりも企業利益を優先させるこの協定の典型だ。金融規制の欠落、“企業の法廷”の一層の拡大、これら はこの国に怒りを生み出そうとしている。我々は全面的な見直しをしてほしい。議会を通じたファ-スト・トラック (無修正一括承認手続き)ではない。我々は開かれた討論を求める。民主主義の問題である。しかし詐欺的な民主主 義を求めているのではない。USTRはファ-スト・トラックを求めようとはしていないことを 約束して欲しい。更に、決定された内容についてはTPPの内容を公開して欲しい。そうすれば我々は漏洩情報に頼 る必要がなくなり、あなた方が何をやろうとしているのか実際に知ることが出来る。透明性の欠如が、この協定が広 く受け入れられないようなものであることを示している。あちこちの都市で抗議運動が広がっているのが見られる。 どうか草案の公開を始めて欲しい。この交渉会合の進行を遅くして欲しい。透明性の欠落したものでない民主的な進 め方を始めて欲しい。

(聴衆は拍手、米国代表は顔をしかめ、交渉官たちからの 回答はなし。)

Economist, CWA(Communication Workers of America全 米通信労働者組合)
何も言及なしだって?いいだろう。都市から都市へと何 百の人々、組織による抗議が広がっているが、これは環境。労働、暮らし向き、民主主義に懸念を抱いている何百万人もの米国市民を代表しているのだ。人々が懸念している多くことの一つが、通商協定がどん底への競争を益々悪化 させるのに利用されてきたということである。そこにおいては最も低賃金で最も労働権の与えられていない地域に投資するために、権利・保護という点で大企業の権能が守られ、人権・労働権が排除されている。特にベトナムの代表 に尋ねたい。あなたは、あるいは貴国政府は、独立した労働組合の形成を認め、また集会の自由や言論の自由を認める強い強制力を持つ労働基準を支持するだろうか?

ベ トナム:
我々は政府であり、そして労働者の権利を擁護する立場 である。労働者の権利擁護は優先事項である。我々は必要かつ適切と考える方法で労働者を守る。

Economist, CWA:
ということは強制力を持つ労働基準を支持するというこ とだろうか?

ベ トナム:
(マイク無しで)そんなこと…(マイクで)既に答えて いると思うが。

米国:(CWAの経済学者に関して)
我々は労働組合を含め多くの利害関係者と共に緊密に取り組みを進めてきている。あなたの組織はそこに含まれていない。そして今日のこれまでの議論から、あなたは非常 に具体的な関心事項を持っているようだ。あなたの組合の具体的関心は議論には含まれていなかったし、あなたのような意見は今まで聞かされなかったので、出来れば組織代表の方の参加をいただいて提起していただいたらどうか?

Economist, CWA:
結構だ。しかし我々はAFL-CIO全米労働総同盟傘下の組合でもあり、あなたは全米労働総 同盟とは何度も会われていると思うが。

所 属不明の質問者:
公開の議論を認めるのかあるいはファ-スト・トラックを求めないことに同意するのか?そうすれば議会の委員会による意見聴取も出来る。交渉された部分について公開す るつもりはあるのだろうか?

米 国:
ファ-スト・トラックの問題は政府が決めることであ る。まだ決まっていないが時期が来れば決められるだろう。予断を持つわけにはいかない。草案も公開は9ヶ国が一緒に決めることである。まだ括弧で括った未合意 事項を外に出す用意は出来ていない。ここにいる皆さんや本当に議論に参加することに興味を持つ方々には、細かい議論をすることは難しくはないだろう。公開の議論をしようではないか?と言うことは容易である。しかし実際のところ、本当に交渉で行われていることについて議論したい人々には、これまで我々はその機会を提供すべく非常な努 力を払ってきているし、扉は開かれている。

Global Justice for Animals and the Environment:
交渉官の皆さんが環境条項について系統的にまとめていることを喜ばしく思う。その概要に関連する白書を読んだが、過去のチリのFTAやCAFTA中米自由貿易協定での経験から判断して、環境規制が投資 家対国家間紛争条項とそこで想定される法廷に優先することをどのように知ることが出来るのか?特に潜在的な遺失 利益により起こされる訴訟。そしてこれらを考慮した場合、環境規制がどのように執行されるのか?液圧破砕、鉱山 採掘、また、豚インフルエンザや鶏インフルエンザのような家畜の疾病のように、人間や家畜の健康も損なう環境上の問題が考慮されているのだろうか?また、農産物工場やパ-ムオイルプランテ-ションや熱帯雨林の破壊のような 農業の問題も、同様に環境上の問題である。

ニュ -ジ-ランド:
あなたの質問はどこに境界があるのかハッキリしない。 我々がこの協定を説明する場合、各国に、環境、公衆衛生・保健、安全等々の規制をする能力を、条項の内容や関連 する例外事項を通じて提供する方法をとっている。これらは全て、政府が協定の構成を通じて維持しようとする政策 の領域である。

Global Justice for Animals and Environment:
投資家対国家間紛争条項により、貿易協定に加わってい る他の国々で主権の弱体化を目にしている。

ニュ -ジ-ランド:
投資家対国家間紛争条項では、政府は規制の権限の調和 を図ろうとしている。あなたが環境協定についての議論を超えて主権の問題について議論するのなら、国によって は、自らの環境政策を策定するのは主権の問題だと言うかもしれない。調和させることが必要なのだ。一つの協定が 全てを解決する必要はない。政府が問題に対処出来るよう政策の領域を創るようにすることが大切なのだ。

Research Center Copyrightか?:
文化の多様性について質問したい。文化の多様性は社会の基本であり、自由貿易協定が、これまで各国が独自の産業を創出し芸術を奨励する余地を弱体化させてきたことを見て取ることが出来る。著作権だが、これが協議されているのか確認したい、またどの章に含まれているのか。我々 は米国が3段階テストにより制限の例外を許容するという基準を提案したことに驚いている。米国はTPP交渉参加国の中で、WTO規則において2000年にこの3段階テストを侵害したただ一つの国でありながら、法令を変えることもできていない。WTOにおいて遵守できていないのに、何故3段階テストが調和を見出す上でよい方法と考えるのか?

チリ:
この協定でハッキリしている点の一つは多様な文化とい う要素だ。我々は大変に異なる国々であり、文化的要素をそれぞれの参加国の文化のために包含しようとしている。 もちろん自国の文化を守るという意味だけで捉えているわけではなく、他の参加国で奨励し取り入れるという点でも 捉えている。そうすることで、この協定において自国の創造物を守りまた自分の国の文化を他の参加国で取り入れる 余地を持つことが出来るのだ。各国は例外を設けることも出来る。サ-ビスとその例外についても協議が進んでいる し、我々は各国の懸案に対応する余地はあると考える。

Friends of the Earth:
Friends of the Earthは、76の国々に組織を持つ世界でも最大の環境グル-プのネット ワ-クの一部であり、TPP交渉参加9ヶ国の内7ヶ国でも組織されている。
まず意見の表明をする。交渉官に対して問題にしたいの は、意見を求めるということは公開すると言うことと同義ではない、ということだ。我々は20年以上貿易交渉に関わって来た。交渉官に個別に話が出来 るということと、法律家の参加を得て草案、例えば投資家対国家間紛争条項、を見ることが出来るということは全く 異なる。皆さん、例を挙げるが、ペル-におけるRenco社、エルサルバドルでのPacific rim社の場合と同じような交渉の仕方がTPPにおいても始められている。世界の人々や国々に与えられ るべき権利が与えられないでいる。透明性という問題を質問したい。あなた方はいつの時点で我々に草案を公開し意 見を述べさせてくれるつもりなのか?議会にも仲間がいる。この協定を通過させるのは楽ではないだろう。FOEの代表者として請け合ってもいい。透明性は好ましいし、 公開すればもっと良い。そして公開の議論こそ皆が必要としていることであり、我々のグル―プもそれを必要として いる。

米国:
多くの人々がここにいる。投資家対国家間紛争条項を含め、非常に幅広い意見がある。全て公平にというわけではないが、多分大半の人々と、投資家対国家間紛争条項の草 案について様々な利害関係者や議員の意見を考慮するために、非常に長い時間を費やしてきた。疲れ果てるまで、調和を確保出来るよう課題に対応し、それを反映した修正をしてきた。しかしそれでもあまりにも意見が違うため、誰 をも満足させることにはならないだろう。交渉を続け更に意見を聴取し、草案の見直しをする。最終的には、何らかの方法で全ての意見を公正に反映しなければならないからだ。これは新たな課題ではない。10年前にも原文を検討し見直したし、2年前にも、調和を確保するため、公示をし、充分に公開の 議論を考慮することをした。原案をそのままにしておくわけではない。全ての要素を真剣に推し量ってきた。透明性 の質問についてだが、このように複雑な協定を公開しながら交渉するというのは非常に難しい。多くの人々が文言について関心を持っていることは理解できるが、適切な段階では入手可能となるだろう、しかしそれは交渉の今の段階 ではない。

Friends of the Earth:
NAFTA以来ずっと注視してきた。しかし(透明性の問題が)改善は無く、より後退してきたと言いたい。あなたとは大きな見解の相違がある。

Missionaries Society of St. Columbine:
我々は世界の貧しい人たちと共に働き暮らしている。ペル-での最近の投資家対国家間紛争の事例だ。鉛の精錬所が事業から撤退した後、毒性を持ったまま多くのものが放 置された。除去を会社に求めたら逆に訴えられてしまった。今ペル-で我々が目にしているような悲劇的な状況にま で至る前に、投資の最初の段階から地域の人々が参加する方法についてどのように取り組むつもりか?もし企業が容 易に訴訟に持ち込むことが許されるとしたら、政府はどんな方法で国民に正義をもたらすことが出来るのだろうか?

ペル-:
ペルー政府は、自国の法規制が尊重されるよう、全ての手立てを講じているとだけ言いたい。これは環境分野に限った事ではない。法の尊重は政府の主要な目的であり、政府として全ての権能を使って、違法な行為から環境と国民の健康を守るということは明白なことである。この事例に おいてペル-は適切に対処したが、しかしあなたも当然承知しているように、若干支障は生じてはいる。この件につ いてはこれ以上言えないが、ただ、ペル-は政府として全力を挙げて、ペル-を含め国民のための規制についてその 自由を確保してきたと言いたい。

Missionaries Society of St. Columbine:
このような問題がTPPにおいて、地域の参加と地域にとっての正義という意味で どうなるのか説明をしてもらえないか?

米 国:
意味がよく分からないが…

Missionaries Society of St. Columbine:
現時点では地域社会が関与する道筋は無いようだ。しか し彼らこそが環境被害などの影響を受ける。TPPが施行される段階で地域社会はどのような役割を果たせる のか?企業が政府よりも保護されることはないという点に置いて、今回は今までとどう違うのか説明をして欲しい。

チ リ:
投資における規範とTPPでの章についていくつかのことを注意深く統合させる必要 がある。ペル-の代表は、労働と環境における公約と履行の問題はそれぞれの国の国内問題であり、外資だから問題 である、と考えることは出来ないと言った。TPPで言えば、我々が環境と労働についてきちんと交渉をしていれば、それは環境と労働の多国間協定の観点から、より強固な義務を順守する責務を負うという形で各国が平準化 される、ということである。逆ではない。もう一点、別のことであるが、義務・権利と投資の章で交渉出来る約束、 その中には投資家対国家間紛争の条項が含まれている。しかし、あなたの言っていることは多分国内法を順守するこ とと国際関係に関する国内問題であり、必ずしも自由貿易協定に関する問題ではないように思われるのだが。

Global Trade Watchi:
資本規制に関して質問したい。皆さん承知のように、資 本規制の問題は重要な問題である。ご承知のようにIMFは最近この問題での歴史的な方向転換をし、資本規制を受 け入れることとなった。米国議会においてもその形跡が見られ、有力議員であるバ-ニ-・フランク氏とレビン氏が、重要な政策手段としての資本規制を守らなければTPPを支持しないと脅迫している。この観点から、TPPにおいても方向転換はあるのだろうか?この件に対応する ため何をしているのだろろうか?

米 国:
それは今回の交渉では結論の出ないもう一つの件だ。私はこの件について、合意形成が進んでいる問題とは見ていない。一定の意見調整、いや、確かではないが、IMFがこの(資本規制の)問題であなたが示唆したようには明 確な言及はしていないと見ている。( TPP交渉でも)議論がまだ進行中で、我々は現時点では立場を 決めてはいない。

EFF:
我々はデジタル化における権利擁護にこの20年間取り組んできた団体である。米国でどのようにしてデ ジタル・ミレニアム著作権法(10年10月施行の米国の著作権法)が、作品の利用者と所有者とに 対して不公平な形でその重点を移してきたかを見て来た。ACTA模倣品・海賊版防止条約はヨ-ロッパでは一ヶ月前に葬り 去られた。世界中の利用者は、言論の自由を制限するような形でなされた、著作権所有者のための国際的な場での ネット規制にはウンザリしている。ネット利用者の権利制限においてACTAを超える協定を進めることをどう正当化出来るのか?

米 国:
私は、我々がしていることを利用者規制とは見ていない。 他の章のように。知的財産の制作者と利用者との間の調和を見出すようにしたと考えている。デジタル・ミレニアム 著作権法は、合意された多くの貿易協定で米国も通過させた法律で、我々が進めたFTAの多くでも同様だ。課題が徹底的に議論され法律となり、 あるいは協定交渉での我々の立場として反映されてきている。議会で利害関係者の意見に基づき米国における合意に 変更があれば、交渉での我々の立場にそれは反映されるだろう。

EFF:
もう一点。米国には判例法に順ずる著作権法での公正使用 規定があり、他の国では公正使用規定が無く、3段階テストにより他国における独自の公正使用条項制定を 制約している。

米 国:
みなさん、ありがとうございました。非常に興味深い意見を聞かせていただいたと思う。と言っても限られた課題ではあった。もちろん、さらに意見交換を続けたいと思っ ている。譲歩できない、議論を呼ぶ課題が数多くあり、今後も意見交換を続ける必要があると考える。ありがとうございました。(翻訳:近藤康男  監修:廣内かおり)

0 件のコメント:

コメントを投稿