2015年3月20日金曜日

「いかなる最終合意にも強固な知的財産権保護基準」を!─米国4上院議員からオバマ大統領にあてた書簡

米国政府の立ち位置を示す議会での面白いやり取りと、医薬品業界の強いロビ-活動を示す米上院議員4名連名の2015年3月11日付書簡を翻訳しました。この中で、TPP交渉で“12年間”を主張している米国が議会答弁では“7年間”としていることに製薬業界が怒っている様が、上院議員の書簡の中に見られます。

TPP交渉の大詰めを迎え、知財保護における医薬品デ-タ保護が米国対途上国の間の対立もあって最難航分野と言われています。途上国は現行の2年間を少しでも短くと主張する一方、米国は自国のル-ルである12年間を主張しています。そしてそれ故に、交渉の遅れを生じているともみられています。昨年も米国の医薬品業界は途上国に業界関係者を派遣したり、先般のハワイでの首席交渉官会合の際も大挙押し掛けて交渉に圧力を掛けていたようです。(翻訳:小幡 詩子/監修:廣内かおり)

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拝啓 オバマ大統領

現在TPPの交渉を進めている大統領のご努力に対し、我々は謝意を表するものです。しかし、本協定が参加諸国に経済的利益を与える可能性があるとはいえ、いかなる最終合意も、米国の知的財産保護を含む主要な優先事項に関するわが国の確約をより強固にするものであることが不可欠です。

つきましては、TPPが現在および将来に向けてこれらの基準を満たすようにするために、最終合意において知的財産権の高い基準―生物製剤データ保護期間を12年にすることなど―を維持するよう切にお願い申し上げる次第です。このようなデータ保護があれば、技術革新を進める人々による創意工夫の追究を可能にしつつ、必要となる相当額の初期投資を相殺するに足る十分な保護を与えることができます。

しかし我々は、特許権保護の維持、とりわけ生物製剤にのみ12年間データを保護するという約束は、オバマ政権にとって我々が思うほどには強固なものではないのではないかと懸念しています。米保健福祉省の2016年度予算案には、ここ数年、国内データ保護12年を7年に短縮する案が含まれています。上院財政委員会の公聴会で、保健福祉省長官のシルビア・マシューズ・バーウェル氏は本案と現在進行中のTPP交渉との関わりについて具体的に質問され、「オバマ政権の見解(立場)としては、思うに…7年でやって行くべきではないか」と言明しました。長官の発言は、政権が我々に何度か確約してき“12年基準”の維持という立場と矛盾します。

ご承知の通り、米国経済の活力ある部門は技術革新を伴う産業が支えています。これらの産業は、熟練の技術を伴う、高賃金の仕事を国内で創出するのみならず、活力に満ちた、急成長を見せる数多の産業において、米国を世界的な先導者となしています。TPPにおける標準以下の知的財産条項は、将来の貿易協定にとって危険な前例を作ることになり、グローバル市場における米国の競争力を弱体化させることになります。また、雇用や将来の技術革新も同様に危険にさらすことになりましょう。

わが国の活力ある生物薬剤部門は、しっかりとした知的財産権保護法が与える影響を示す優良な事例になっています。生物製剤産業は、推計340万人の雇用を支え、生産額として7890億ドルを生み出しています。これらの経済的成果は米国の強力な知的財産権保護法の直接的結果であり、生物薬剤産業は新しい画期的な治療薬を開発する研究に莫大な投資を続けることができているのです。本法律を、国内的にもまた国際的貿易取引の一環としても弱体化させるようなことがあれば、我が国の革新力および患者たちが画期的療法の恩恵を受ける機会に、重大な影響を及ぼすことになりましょう。

TPP交渉の進展に伴い、我々も大統領およびフロマン通商代表がいかなる最終合意にも強固な知的財産権保護基準が確実に盛り込まれるよう尽力されることを、求め続ける次第であります。

敬具
2015年3月11日
(自署)
上院議員Thomas R. Carper      上院議員Robert Menendez 
上院議員Maria Cantwell     上院議員Robert Casey

(翻訳:小幡 詩子/監修:廣内かおり)

2015年3月15日日曜日

TPPを考えるフォーラム「地域を破壊するTPPは止めよう!」に150人が来場

 
 「3.9TPPを考えるフォーラム実行委員会」が主催して、東京ウイメンズプラザ・ホールにて上記シンポジウムが150人の参加を得て行われた。

□まず呼びかけ人の「主婦連合会」山根香織会長が開会あいさつで、「秘密交渉を続け、政府がメリットやデメリットも示さないTPP交渉は国民の合意も得られていない。私たちは、グローバル企業中心の社会を作ろうとするこの動きに対して、「地域」を切り口に今日は討議しよう」、と提起した。

□基調講演では京都大学大学院の岡田知弘教授が「TPPは地域に何をもたらすか」と題して、TPPが締結された場合の地域経済・社会への影響をわかりやすく説明した。

 岡田さんは「TPPをめぐる日米それぞれの政治経済的背景」を振り返った後、TPP交渉が取り決めようとしている分野がサービス、投資などまで広範囲にわたることを指摘し、多国籍企業の資本蓄積欲求に対応した「いっそうのグローバル化」を求めている、と警鐘をならした。

 次に岡田さんは、今日の集会のテーマに沿って「TPPに参加した場合、地域でどのような問題が起こるのか」を説明した。関税が撤廃されれば政府の試算以上に10.5兆円の生産が減少すること、関連産業での雇用への悪影響が見込まれ、その数は190万人の減少となること(これは東京、神奈川、大阪などで著しい)、総じて地域経済を担う産業は「原則無関税化」の衝撃を受けるとした。また非関税障壁による影響も大きいことを指摘した。すなわちその悪影響は、農林水産業のみならず、あらゆるモノやサービス、取引、投資、労働、食品・医療・建築の安全基準にかかわること、医療・金融などサービス市場の開放を求められること、国・地方自治体がおこなう「政府調達」で「国際入札」が求められ、地域社会の仕事が地元企業と外国企業の奪い合いになること、条約が国内法に優越する日本の法制のあり方やISD条項によって国民主権が侵害される恐れがあることだという。
 また、地域社会への影響は「TPPを先取りする安倍流の構造改革」によってもたらされていることだという。アベノミクスの成長戦略を担う規制改革会議、産業競争力会議、財政経済諮問会議はそれぞれ、労働時間規制の緩和、農協・農業委員会制度の改革、混合診療を打ち出したり、医療法人の持ち株会社制度、原発早期再稼働などを打ち出したのである。さらに、3.11被災地に関する「復興特区制度」においては農外資本による水耕栽培(採算がとれず撤退した事例もある)など自然に反した事業、企業的農業だけが短期的に所得向上するしくみなどによって、日本の食料・エネルギー・国土の持続可能性が危機に陥っている、と警鐘をならした。
 さらにまた国家戦略特区による「岩盤規制」の撤廃と資本参入が始まっており、諮問会議や特区区域会議委員となった民間議員が事業者に有利な提案を行い、政策の運用をコントロールしている、と指摘した。これは東京、大阪においては都市再生、医療などにおいて、容積率緩和、外国人医師の登用、保険外併用などが実施され、兵庫県養父市では農業委員会の権限を市長に移管するなどの動きがあり、こうして「世界で一番ビジネスのしやすい環境」をつくろうとしている、というのだ。
  こうした事態に対し、岡田さんは、「小さくても輝く自治体フォーラム」に参加する各地の実践例をもとに、医療、保健、教育、産業、雇用、環境、国土保全などを地域で相互に関連させ、問題を解決する地域再生の取り組みが大切だ、と強調した。
 
□次に、本フォーラムの呼びかけ人でもある、「TPPに反対する弁護士ネットワーク」の中野和子事務局長がコーディネーターとなってパネル討論が行われた。


 まず、全国農協青年組織協議会の善積智晃理事が、「TPPは地域の崩壊をもたらす」ことを強調した。韓米FTAで明らかになったように、TPPにより農産物の低関税化が進めば、国民の命の基となる、食料供給も滞り、それらの安全・安心の確保ができなくなる恐れがある。また安倍首相のいう「地方創生」もそのねらいは大企業の活動を農村に持ち込むことであり、国土保全も立ちゆかなくなるであろう。これは農村社会の崩壊を意味する。国民の理解も得られていない秘密主義のTPPには反対する、と述べた。

  こうした事態に対して、善積さんは、熊本県では「熊本グリーン農業」を推進する条例を作ったり、学校給食の取り組みなどによって、有機農業、農薬を減らす試み、消費者との結びつきなどを試みている、と紹介し、全国でのTPPに対抗する運動の必要性を訴えた。

□福岡県歯科保険医協会の杉山正隆副会長が、「TPPが医療を壊す」ことを強調した。

  国民皆保険制度によって、日本国民はいつでもどこでも医療に自由にアクセスできる。政府は表向きはこの制度を堅持するというが、TPPによってこれが実質的に崩壊する。
 具体的には、医薬品の特許保護を強化し先発医薬品メーカーが新薬の臨床データの独占権を持ちジェネリック医薬品が普及しにくくなる、政府の医薬品の保険償還価格の決定に製薬会社を参加させ、価格が米国並みに高騰する、「診断・治療・外科的方法」が特許保護の対象である米国ルールが導入される恐れである。また政府の「国家戦略特区」構想により、すでに混合診療がひろがり金を出せる人だけが良い医療を受けられる流れが始まろうとしている。株式会社の病院参入によって、産科、小児科、歯科を軽視し収益を優先する傾向が高まり、医師・歯科医師・看護師などの免許の相互乗り入れによって、外国人スタッフが参加することで医療の水準の低下の恐れがあるのだ。
 これに対する批判的運動は2011年ごろから国際エイズ会議・学会での患者・感染者・医療者の怒りとなっている、と杉山さんは映像によって紹介した。

□討議では、フロアーから「著作権問題」に取り組んでいる、一般社団法人・インターネットユーザー協会から、TPPで著作権が著作者の死後50年から70年に延長される恐れ、著作権侵害訴訟の非親告罪化の問題点が訴えられたのをはじめ、パネリスト同士でもTPPの問題点が討議された。

□次に、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子事務局長が海外の地域から取り組まれている運動を紹介した。米国では連邦議会においてTPA(大統領貿易促進権限法)をめぐって慎重論があり、米国民の間でもTPPフリーゾーン運動も起きている。ニュージーランドでも今TPP反対の一斉行動が盛り上がっている、ということだ。
                                                         
□最後に本フォーラムの呼びかけ人の一人で「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の醍醐聡さんが閉会のあいさつをおこない、その中で、TPPへの「無関心」というより「無知」が問題だと感じていたが、今日は参加者とともにTPPに関する「知」を磨くことができた。4月の統一地方選挙ではTPPを争点化し、No!を突きつけよう、と訴えた。
(記 山浦康明)

2015年2月25日水曜日

3月9日TPPを考えるフォーラム開催!「地域を破壊するTPPは止めよう! 」

TPPを考えるフォーラム
地域を破壊するTPPは止めよう!
-公約も国会決議も踏みにじる「合意」はあり得ない-


 ◇基調講演:
「TPPは地域に何をもたらすか」
  京都大学大学院教授・岡田知弘

◇パネル討論・パネリスト
・農業を考える 
  善積智晃氏(全国農協青年組織協議会理事)
・医療を考える 
  杉山正隆氏(福岡県歯科保険医協会副会長)

◇資料代:500円

□ご参加については、できるだけ事前にお申し込み下さい。
*お申し込みは次のホームページから 
http://www.stop-tpp-forum.blogspot.jp/

日本政府は、この春、TPP交渉の「大筋合意」をめざして、国会決議で「除外あるいは再協議」とされている米、牛肉・豚肉まで譲歩を重ねていると伝えられています。これら農産品に限らず、TPPは地域経済・雇用、医療、さらには司法権など国家主権をも脅かすと心配されています。

4月は、統一地方選挙です。これまで多くの自治体議会が、TPPには「反対・慎重に」の決議をしてきました。「地域を壊すTPPはいらない」の声で、TPP推進勢力に審判を下しましょう。

いま、3~4月の「大筋合意」をめざした閣僚会合が取りざたされる中、地域を守るためにも、「情報開示もしないまま国会決議を踏みにじる合意は許されない」の声を、今一度発信しましょう。

日時:
3月9日(月)18時30分~20時50分(開場18時)

場所:
東京ウイメンズプラザ・ホール(渋谷区神宮前5-53-67/地下鉄「表参道」B2出口など)



主 催:3.9 TPPを考えるフォーラム実行委員会
よびかけ:醍醐 聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会)
     中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク)
     山根香織(主婦連合会)

連絡先事務局:アジア太平洋資料センター(PARC)
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453 
E-mail:office※parc-jp.org(※を@に変換して送信ください)

2015年2月12日木曜日

「主要な未解決事項の最も効果的な解決策」レビン米下院議員が“効果的な協定への道のり”を発表

1月22日に発表された民主党のレビン下院議員のTPPに対する提言です。レビン氏は民主党の重鎮で、かつ通商を扱う下院歳入委員会の有力メンバ-でもあります。USTRにも影響力を持っており、TPAの成立の可否に大きな影響を持つと見られています。また、彼自身、USTRが自分を納得させるまではTPAの審議には乗らないとしています。
TPAには多くの民主党議員が反対をしており、TPP交渉が大詰めを迎える中で議員・業界団体から更に強い圧力が掛けられ始めています。通商促進の立場の共和党も、オバマ大統領を批判する立場でもあり、そのため民主党議員の相当数のTPA賛成がなければTPA可決に積極的にはならないとも見られています。

そのような文脈でレビン議員の提言を捉えておくことが必要かもしれません。ちなみに、レビン議員は前回シドニ-での閣僚会合に突然姿を見せたのですが、その際民主党の篠原議員と前職の首藤信彦氏が面談をされています。(翻訳:清水亮子・西本裕美/監修:廣内かおり)

米国下院歳入委員会幹部メンバー  
民主党 サンダー・M・レヴィン

2015年1月22日
環太平洋戦略的経済提携協定:効果的な協定への道のり

現在行われているTPP交渉は、この時代で最も重要なものだ。

加盟12ヵ国のGDPは世界全体の40%に相当し、世界最大の経済大国の中でも最も開発の進んだ市場中心経済の国から、小さくて最も開発の遅れた計画経済国家まで含まれている。加盟国には日本も含まれているが、米国はこれまで日本と農業、自動車などの重要分野で、公正な競争の場を作ることができなかった。また加盟国の中には、労働条件、人権、法の統治などに深刻な懸念を抱えた国もある。

交渉の範囲は、過去のいかなる多国間交渉もはるかにしのぐ広いテーマにわたっており、知的財産権、医薬品の市場参入、金融規制、食品安全措置、基本的労働・環境基準、国境を超えたデータの流出入、国有企業などが関わっている。

TPPによって、米国の企業、労働者、農家は、高い基準と新市場の開拓が可能になるかもしれない。あるいは、低い基準、非競争的なビジネス慣行、貿易のもたらす恩恵が広くいきわたらないシステムから抜け出せず、アメリカの家計を逼迫させる可能性もある。

交渉開始から4年が経過したが、多くの重要な問題が未解決のままで、TPPは重要な岐路に立たされている。これらの問題を解決できるかどうかで、TPPの利点やTPPが近年締結された複数のFTAの成果のよりも一歩進んだものになるかどうかが決まる。

これから説明するのは、主要な未解決事項の最も効果的な解決策と私が考えるものだ。これらについて成果が出れば、TPPは、とても重要で、多くの超党派の支持を得られる協定になるだろう。米国通商代表部がこれらの成果を出せると確信するまで、議会は今後も追及の手をゆるめてはいけない。

I. TPPの未解決事項
1. 農産物市場アクセス
問題点:米国の農産物輸出は、年間1400億ドルを超える。この額は、海外市場における市場アクセスの障壁を実質的に取り除くことができればさらに大きくなり、米国の家庭にもなんらかの影響をもたらすだろう。日本は600近い産品を関税撤廃から除外しようとしており、米国がこれまで交渉してきたどのFTAよりもその数は多い。他の国々、たとえばカナダも今のところ、農産物の市場アクセスの交渉に十分に取り組んでいない。昨年、140名の下院議員が大統領に書簡を出し、農産物市場アクセス交渉の現状について深い懸念を表明したが、それには正当な理由がある。

解決のための提案:TPP協定では、アメリカから輸出される事実上すべての製品に対する関税その他の諸経費を、ある決まった日までに撤廃すべきだ。関税の完全撤廃とならない限られた例外品目についてTPP協定は、関税率割当その他において、米国の輸出産業にとって有意義な新しい市場アクセスを確立すべきだ。正確な時間軸と限定的例外品目を政府が決める際には、議会と利害関係者たちはその決定に関与すべきである。

さらにTPPは、 (1) 各国政府が人間・動物・植物の生命と健康を守る正当な措置をとる権利を保持しつつ、衛生植物検疫措置(SPS措置)が不当な貿易障壁を作り出さないような履行可能な義務を含み、 (2)地理的表示保護のための国内システムの不適切な使用を通じた米国産品の市場アクセスの弱体化を排除・予防すべきだ。

2. 日本の自動車市場へのアクセス
問題点: 米国の日本に対する貿易赤字は、対中国に次いで二番目に大きく、そのうち4分の3近く(74%)が自動車産業の赤字だ。これによって米国の製造業と労働者は打撃を受けている。日本の自動車産業の閉鎖性は悪名が高く、米国が自動車輸入を何十年にもわたって開放してきたのに対し、日本の自動車市場における輸入車のシェアは、他のいかなる先進国よりも低い。1年に米国が日本車を100台輸入するごとに日本は米国産自動車を1台輸入する計算になる。米国は過去において、日本の市場開放のための交渉を何度か行ってきたがいずれも失敗に終わっている。この問題に効果的に取り組むには、新たなアプローチが必要とされる。

オバマ政権はこれまで、米国産自動車のいかなる関税引き下げも、TPP加盟の2ヶ国間で他の製品に関して交渉したいかなる期間と比べても、最長の交渉期間を伴い、(しかし)おそらくその結末は他の加盟国の手に委ねられることとなり、そのため米国においては、ある産業と他の産業が反目しかねないような立場をとってきた。オバマ政権は、段階的廃止がいつ始まっていつ終るのか、具体的な時期については明言していない。

解決のための提案:日本の自動車市場(乗用車・トラック・自動車部品を含む)に関して、そして歴史的に米国からの輸出品に対して閉ざされてきたその他あらゆる製品の市場に関して、日本が当該の製品の米国からの輸出に対して市場開放を確実に行うのに十分な期間、米国は、日本から輸入する同等の製品に対する関税を維持すべきだ。日本の自動車市場に関しては、米国は以下の2つのうちいずれかのアプローチをとるべきだ。 (1)日本が他の大半の先進工業国と同様の輸入に対する開放性を着実に示し次第、関税を段階的に撤廃する、あるいは、(2) TPP協定が施行されてから少なくとも25年は関税引き下げを行わず、少なくとも30年は関税を撤廃しない。

3. 為替操作
問題点:米国の上下院議員の過半数は、強力で実施可能な通貨に関する義務をTPP協定に盛り込むことをオバマ政権に対して強く求めてきた。TPP加盟国の中には、日本のようにこれまで通貨操作を行ってきた国が多く含まれる。オバマ政権は、まだTPP交渉のなかでこの件について提起していない。

国際通貨基金(IMF)は、すでに価格操作を禁止しており、どのようなケースを価格操作というのかを見定めるためのガイドラインを開発している。問題は、IMF には実施のための仕組みが欠けていることだ。TPP加盟国は、IMFの既存の規則を取り入れ、これらの規則を踏まえて、TPPで実行可能なものにすべきだ。

フレッド・バーグステンをはじめ、多くの貿易拡大の提唱者たちが、この行動を要求してきた。「格差なき繁栄に関する委員会」が最近出した報告書には実際、こう書かれている。「新たな貿易協定には、為替操作を防止するための規則を明示的に盛り込むべきだ。それらの規則では、相互の貿易特恵と、為替レートが他の国を犠牲にして、ある加盟国を利するようなことがあってはならないという相互理解とが、適切に結びつけられなければならない。」

解決のための提案:TPP協定には、TPP加盟各国が為替レートを操作して、国際貿易における不公正な競争優位性を獲得することがないよう、各加盟国が長年従ってきたIMFによって課される義務と一貫性のある、実施可能なルールを盛り込むべきだ。(IMFのルールは、政府が外国為替市場に介入する通貨操作と金融政策とを、明確に区別している。)

4.国有企業
問題点:今日の貿易は、特にアジア太平洋地域において「国家資本主義」の性格をますます帯びるようになってきている。国有企業への政府の支援、商業ベースに基づかない国有企業の行為などがこれに当たる。これらの行為は、米国の労働者や企業を犠牲にして、貿易を歪曲するものである。

TPP加盟各国が一般的義務の条文に関連して連帯し始めると、国有企業の定義を狭くしたり、各国ごとの例外をもうけるなどして、条文に書かれた義務が弱められる危険がある。

解決のための提案:TPP協定は、貿易の歪曲を排除・防止すべきであり、国有企業や国営企業の商行為への関与を優遇するような不公正な競争を排除・防止し、とりわけ差別と貿易歪曲的な補助金を廃止・防止するような規則や、透明性を高めるための規則などを通じて、国有企業と国営企業の関与が純粋に商業ベースだけに基づくことを確実なものにしなければならない。重要なのは、国家が支配するあらゆる企業(会社の株式の半分以下ではあるが、支配可能なだけの株式を国が所有する場合を含む)に対して国有企業の規則が幅広く適用されるべきだ。そして、TPP加盟国は、例外措置を最小限にとどめ、また全ての例外が、目的に沿って厳格に設定されることを確保しなければならない。

5.原産地規則
問題点:原産地規則とは、TPP地域以外を産地とする原料を最終製品にどのくらいまで使い、TPP協定の関税ゼロの適用を受けることができるのかを定めるものである。例えば中国のようなTPP加盟国でない国から輸入した原料がかなり含まれているかも知れない製品を、アメリカに関税ゼロで輸出できるような緩やかなルールを主張してきた国々もある。しかし、緩やかな原産地規則によって米国や他のTPP加盟国の生産や雇用が促進されることはない。そして、TPP加盟国でない国々が、TPP協定によって課される義務を引き受けることなく、TPP協定の利益を享受すべきではない。

解決のための提案:原産地規則は、特に米国産製品と米国産原料を使った製品について、TPP協定による利益を最大限にTPP加盟国が受けとることができるようなものでなければならない。原産地規則が決着する前に、政府は実証的証拠に基づく報告書を議会に示し、自動車製品、繊維、アパレル製品など原産地規則が重要な意味を持つ品目について原産地規則に関する説明をすべきだ。

6.労働者の権利
問題点: 環境分野や手頃な価格の医薬品へのアクセスなど他の主要な条項と同様に、2007年の“5月10日合意”には、貿易協定としてこれまでになく厳しく、かつ徹底した法的強制力をもつ労働分野の義務が含まれている。“5月10日合意”は、TPPにあますところなく反映されるべき根本的な原則であり、今後もそうあり続けなければならない。
 (訳注5月10日合意:2007年5月10日にブッシュ政権とペロシ下院議長との間にむすばれた、「FTAの議会承認を早期に得るために、FTAに労働権・環境保護に係る条項を付加する 旨の合意」)

TPPには、他の条項と同様の紛争解決メカニズムを適用している“5月10日合意”の労働条項が含まれるべきである。この条項の義務は、加盟国が交渉に取り組みはじめたばかりの分野でも、完全に履行されなければならないが、TPP加盟国のなかにはそれが簡単ではない国もあるだろう。特に、独立した労働組合が許されておらず、すべての労働者を代表するとみなされた、政府と結びつきの強い労働組合が1つだけ存在する共産国ベトナムにとっては厳しい規制だ。またブルネイ、マレーシア、メキシコにおいても履行は困難だろう。

解決のための提案: TPPには以下の義務が含まれるべきである:
(1)   国際的に認められている労働者の権利の保護手段を適用し維持すること
(2)   労働法の施行
である。これらの義務には、TPP協定における他の義務と同様の紛争解決制度が適用されるべきである。TPP交渉参加国は、以下のように、この義務を履行し、厳正に実施することに合意しなければならない。

 (i) 労働者は、彼らの選択によって、自主独立の組合へ参加・形成する権利を有し、組合は、特定の連合体に所属することを要求されず、どのような連合体を形成・所属するかに関して、組合自身が自由に選択できる、こととする。

(ii) TPP加盟国は、米国連邦議会に実施法案が上程される前に、TPP協定を順守するための法と規制を導入するために必要なあらゆる措置を採り、かつそのような法改正を実施するために必要な新たな手続きや制度変更を採択しておかなければならない。

 (iii) TPP協定における労働分野の義務を果たすためにその国の労働分野の体制を大幅に変革しなければならないTPP加盟国に関しては、TPP協定発効の日から、当該加盟国におけるTPP労働関連の義務を順守しているかどうか、専門家による独立した委員会(パネル)を設立し、定期審査および公開報告を行う。この際、当該加盟国及び関係者からの情報提供並びに他の関連情報・報告に基づく構造的な改革に焦点を充てることとする。上記委員会が、当該加盟国がその義務を順守していないと判断した場合、その判断は、紛争解決の章における調停委員会の最終報告として扱われる。例えば、合意により、第一審でTPP協定との不適合を排除する、もしくは、最終審として、TPP協定による便益を一時停止にするなど、TPP協定の一連の手続きに則って取り扱われる。

7. 環境保護
問題点: TPP交渉参加国は、過去の貿易協定の条文にそのまま7つの多国間環境協定を盛り込んだ“5月10日合意”とは異なる環境保護体系を検討中である。形式は内容に比べれば重要ではないが、TPPは、法的拘束力のある義務を含む“5月10日合意”を全体的に維持、発展させた水準にしなければならない。しかし、貿易相手国の多くは、保全のような重要な課題を含め、その基準にも満たない水準まで条文の規制を弱めようとしている。

解決のための提案: TPPには、貿易及び投資における環境保護の基準に関し、以下に示すように、少なくとも2007年の“5月10日合意”で確立された水準以上を確保する義務が含まれなければならない;

 (A) TPP加盟各国は、主要な多国間環境協定を履行する施策を採用、維持し、環境保護法を確実に執行すること、

 (B) 違法に捕獲された産品の取引及びサメのひれ切りを禁止すること。違法取引を許可することが知られている準政府組織による行為を含む。

 (C) 過剰に漁獲されている魚種の漁を推進する補助金を禁止すること、

 (D) 気候変動に対処する協調的な取組を推進すること、

 (E) 環境保護義務に対しても、TPP協定における他の義務と同様の紛争解決及び救済措置が適用されること。

8. 医薬品へのアクセス
問題点: WTO規則の下で要求される知的財産権を強化する一方、TPPには、手頃な価格で購入可能な医薬品へのアクセスを確実に確保できるようにした“5月10日合意”の条項が含まれなければならない。しかし、“5月10日合意”において合意された慎重なバランスにゆさぶりをかけている国があり、TPP協定下での医薬品へのアクセスが制限されることになるかもしれない。例えば、発展途上国に対して、ごく限られた移行期間のみ、“5月10日合意”の基準を適用させようとする圧力がある。

解決のための提案: TPP協定は、カタールのドーハで採択されたWTOによる知的所有権の貿易関連の側面に関するTRIPS協定と公衆衛生に関する宣言、革新を育て、全ての人々のために医薬品へのアクセスを促進する“5月10日合意”を共に尊重すべきである。

9. 人権
問題点: TPPのような自由貿易協定により、貿易国間には非常に親密な経済関係が確立される。ほとんどの連邦議会議員もアメリカ市民も、基本的人権を無視する国とそのような関係を確立することを望んでいない。

解決のための提案: 交渉参加国それぞれと協定を結ぶかどうかを決定するにあたり、大統領は、当該国政府が、国際的に認知された人権に常に敬意を示しているのか、また懸念のある分野に対して対策を講じているのかという点を考慮しなければならない。

10. 国家主権: 独自規制の権利
問題点: 貿易は互恵的で水準を引き上げるとはいえ、米国や他のTPP交渉参加国が、主権国家としての規制の権利を放棄するよう要求されているわけではない。TPPの規則は、米国およびTPP交渉参加国が適切に規制する権利を維持できるように、慎重に策定される必要がある。

解決のための提案: TPP協定は、消費者利益、公衆衛生、安全、環境、プライバシー、金融システムの健全性と安定性、国家安全保障などの公益目的の正当な対策を講じる政府の権限を守るべきである。

A. 食の安全に対する対策
問題点: 過去の米国の自由貿易協定(FTA)には、加盟諸国の食の安全対策に関する規範は含まれていなかった。しかしながら、米国の農産物輸出業者は、産品を海外市場に輸出する際の越えられぬ障壁に、たびたび不満を感じてきた。その結果として、彼らは、TPPに対し、衛生及び植物検疫のより幅広い規範を強く要求している。同時に、米国は世界で最も利益を上げられる市場であり、他国の輸出業者が参入したいと考えていることは明白である。我々は、新しい規範が、我が国の規制に関する主権を脅かすことのないようにしなければならない。つまり、TPPの規則は、米国政府やその機関(米国農務省、食品医薬品局、税関・国境取締局)の決定権を護らなければならないし、我が国政府としては、それらの機関に対して、危険な輸入品から国民を守るために必要な手段と体制を確保しておかなければならない。

解決のための提案: TPP協定は食の安全を守るための正当な対策を弱めるものであってはならない。大統領は、TPP協定に従うことが要求される可能性のある米国の法令、規制、慣例に対するすべての変更を、連邦議会でのこの協定の討議の前に特定しなければならない。また、輸入食品が米国内で生産された食品と同程度に安全であることを確認するための費用に関する法令も制定されるべきである。

B. 投資と投資家対国家間紛争解決(ISDS)
問題点: この問題については、交渉担当者及び交渉参加国の幅広い層が、その内容を慎重に吟味している。TPPの交渉国のいくつかは、ISDSを支持せず、若しくは、国家による規制の権利を確実に担保できる予防策を求めている。エコノミスト誌、ケイトー研究所、ドイツ政府(ISDS発祥の地)もISDSに関する懸念を表明している。これらの紛争は近年激増し、公共の福祉や環境規制にとって、これまでにない費用のかさむ問題となっており、政府の行動に萎縮効果をもたらすことにもなるだろう。

解決のための提案: TPPに、以下のような国家の主権を守るための新たな条項が含まれるようにする。(1) 金融危機を予防又は緩和するための資金の越境移転を制限する政府の権利を認めること (2)いわゆる「最低待遇基準」の明確化(カナダの鉱山会社グラミス・ゴールド社がNAFTAのISDS条項により米国政府を訴えた事件の判決に倣って) (3) TPP諸国が投資分野の義務の解釈について合意するためのメカニズムの内包化。仲裁に持ち込まれた申立てが、裁判所によって原告に有利な賠償が認められるべきという申立てではないことの決定を含む、(4)“ 5月10日合意”の文言との結合――その文言に従えば、TPP協定は、国内法下の国内投資家に対するものより実質的に大きな権利を付与されるものではない、と明確に述べられている。つまり米国と同様に、国内法下の投資家の権利は、TPP協定と同等あるいはそれ以上に保護される。

C. 煙草規制
問題点: 最近の国際紛争の多くは、米国のクローブ入りタバコ禁止措置を含め、タバコ対策に対するものである。政府は2013年、それまで支持していた、タバコだけは紛争に巻き込まれない安全域とする方針を、TPP交渉においては求めないことを決定した。さらに、米国が締結する貿易協定の中では、タバコは通常の公衆衛生上の例外として扱われることを単に明示することを提案した。しかしTPPでは、より強固な対応が必要で、政府による行動が待たれる。

解決のための提案: TPP協定はその仕組みにおいて、タバコに関する無差別的な公衆衛生対策が、TPPの義務に矛盾するとして問題にされるようなことがあってはならない、と明確にすべきである。

II. 連邦議会議員と利害関係者に対する透明性
連邦議会の全議員が、交渉参加国の立場に関する情報を含む交渉文書に、完全かつ遅延無しにアクセスできるようにする必要がある。連邦議会の各議員は、適切な機密保持権限とともに、TPP交渉の提案文書をすべて、遅延無く入手できる担当者1人を指名出来るようにすべきである。

政府は諮問委員会のメンバーが、米国及び他国の交渉提案文を入手できるようにすべきである。これにより、諮問委員会は、時宜を得た実効性ある助言を政府に提供することが可能になる。

(翻訳:清水亮子・西本裕美/監修:廣内 かおり)

2015年1月23日金曜日

欧州委員会、透明性への取組みの一環としてTTIP条文を発表

欧州委員会が1月7日に公開した、米国とEU間の環大西洋貿易投資パートナーシップの条文を、翻訳チ-ムの田所さんが翻訳されました。解説書、政策文書、提案、今後も公開を継続することが以下のプレスリリ-スで述べられています、公開文書にはリンクが付いています。

TPPとは何と違った風景でしょうか…?特に日本政府の不誠実な対応と派雲泥の差です。

今、各国でTPPについても情報公開要求のい声が再度挙がり、私たちも日本で準備に入っています。大詰めに来た今こそ、改めて情報公開要求の声を挙げて行きましょう。(翻訳:田所 剛/監修:廣内 かおり)

           ☆ ☆ ☆

欧州委員会、透明性への取組みの一環としてTTIP条文を発表
ブリュッセル 2015年1月7日

欧州委員会は本日、米国との間で現在交渉中の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の条文に対するEU提案を記した膨大な文書を発表した。これは交渉における透明性向上の取り組みとして実施された。

EUのセシリア・マルムストローム通商担当委員は「1カ月前に公約した透明性向上の取り組みを明白に示し、新年を迎えられたことは大変に喜ばしい。TTIPの枠組みにおける我々独自の法規制に関する提案を整理した本日の発表は、EUの貿易政策における新たな一歩だ」と語った。

本日発表された、いわゆる「条文提案」では、TTIP草案の中で議論されてきた条文に対するEUとしての提案が記されており、規制および規則を含む合意の一部としてEUが期待する拘束力ある条文を実際の文言ととともに示している。
文書による8つの要求事項には、競争、食の安全と動植物の健康、税関、貿易に関する技術的障壁、中小企業(SMEs)そして国家間紛争(GGDS=政府間紛争解決であり、ISDS:投資家と国家の紛争解決と混同しないように。EUはTTIPではISDSを否定)が含まれる。

また本日、同委員会は技術、自動車、持続可能な開発に関するEUの考え方を説明したTTIP政策方針文書も発表し、その数は15になった。

委員会は、専門家以外の人々にとってインターネットに掲載されている文書がわかりやすくなるよう、「条文解説書」を発表し、本文が意味する内容を説明している。また、専門用語や頭字語の解説を行い、一連の「概要解説」では平明な言葉で、TTIPの各章とEUが目指すものと、その問題点を指摘している。
マルムストローム委員は「条文とともに、専門的でない言葉で法令の条文を解説できたことを大変に嬉しく思います。重要なことは、我々が求めていること、また求めていないことを全ての人が理解できることが重要なのです」と語った。

確かに、交渉中の二国間通商条約の条文提案を発表することは委員会にとって初めてのことだが、すでに数々の資料がオンラインに掲載され、TTIPの幅広い課題における委員会の立場は示されている。

EUによる貿易政策の一層の透明性向上という決定を受けて、委員会は交渉の経過に合わせ、より多くの文書や提案書を公開する意向である。

※本日発表された文書へのリンクはこちら: http://ec.europa.eu/trade/ttip-texts/

<背景説明>

今日の動きは、昨年11月に作成したTTIP交渉へのさらなる透明性確保という方針を実現した1つの例である。委員会はさらに以下のことを約束した。

・委員会が加盟国や欧州議会と共有するTTIPにおけるEUの交渉資料をさらに公表する   
・EUのTTIP交渉資料を欧州議会の全議員が入手できるようにする。そのために、「閲
覧室」での閲覧に限定されていて、これまで見ることができなかった資料も議員に提供する。

・「EU限定」として指定されるTTIP交渉の秘密文書の数を減らす。それにより「閲覧
室」の外でも欧州議会の議員がそれらの交渉資料を入手しやすくなるようにする

・欧州議会と評議会が共有するTTIP資料の公的リストを公表し、定期的に更新する

・政治家や政府高官と面会した人々に関する情報を公表する。

金融サービス、公共調達、制度的な一貫性、貿易における技術的障害、食の安全と動植物の健康、化学薬品、化粧品、医薬品、衣料、自動車、持続可能な開発、及びエネルギーと原材料に関する12の政策方針文書が既に発行されている。

<追加情報>
・全ての文書(条文提案書、政策方針書、条文解説書、概要報告書)はここから検索可能
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230
・セシリア・マルムストローム委員のツイッター
https://twitter.com/MalmstromEU

<以下はテキスト全文・関連資料>

ウェブサイトに掲載-TTIPでのEUによる交渉中の条文。
欧州委員会はできる限り公開性を保ちTTIPを交渉している。
最終的な合意は24章から成り、以下の3つの分野からなる。
1.市場アクセス
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#market-access
2.法制上の協同
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#regulatory-cooperation
3.規則
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#rules

また、我々の最新の透明性戦略の一環として、以下のものを発表する

・平明な言葉で書かれた2ページの新たな概要報告書 
・我々が米国の交渉官に手渡した以下の交渉文書
・TTIPの第2節、第3節に関してEUが提案した条文‐EUがどのように決着したいかを、1文ずつ示したもの
・欧州の政策方針書 - 各章において我々が達成したいこと

入手できしだい我々はこれからも文章を公表する

我々は交渉が妥結した場合、調印と批准の前に十分な時間的余裕をもって、全ての合意文書を公表する。

 最近妥結したEU貿易条約について、欧州‐カナダ自由貿易協定(CETA)text of the EU-Canada Free Trade Agreement (CETA)  を参照されたい。現在、まだ条文は法的再検討を実施中。

■text of the EU-Canada Free Trade Agreement (CETA)
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2014/september/tradoc_152806.pdf

政策方針書はTTIP交渉におけるEUの一般的な取組み方針を定め、記述している。米国との交渉の場に提出される。

条文提案書は、TTIPの議題に関する条文への欧州連合の基本的な要求である。米国との交渉で議論するために提出される。最終合意の実際の文章は、欧州と米国間の交渉の結果による。

Reader's guide 
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2015/january/tradoc_153034.pdf

※訳注:以下は既に紹介した文書へのリンクなので翻訳は割愛した。

EU negotiating texts, chapter by chapter
Part 1: Market Access
 Better access to the US market
 Trade in Goods and Customs Duties
 Factsheets
 Factsheet on Trade in Goods and Customs Duties  NEW
 Services
 Factsheets
 Factsheet on Services  NEW
 TTIP and public services
 TTIP and culture
 EU position papers
 Financial Services in TTIP
 Public Procurement
 Factsheets
 Factsheet on Public Procurement  NEW
 Rules of Origin
 Factsheets
 Factsheet on Rules of Origin  NEW

Part 2: Regulatory Co-operation
 Cutting red tape and costs - without cutting corners
 Regulatory Coherence
 Factsheets
 Factsheet on Regulatory Coherence  NEW
 EU textual proposal
 Available early 2015
 Technical Barriers to Trade (TBTs)
 Factsheets
 Factsheet on Technical Barriers to Trade (TBTs)  NEW
 EU textual proposal
 Technical Barriers to Trade (TBTs) in TTIP  NEW
 Food Safety and Animal and Plant Health (SPS)
 Factsheets
 Factsheet on Food Safety and Animal and Plant Health(SPS)  NEW
 EU textual proposal
 SPS in TTIP  NEW
 Specific industries
 Chemicals
 Factsheets
 Factsheet on Chemicals  NEW
 EU position papers
 Chemicals in TTIP
 Chemicals in TTIP - outline
 Chemicals in TTIP - examples
 Cosmetics
 Factsheets
 Factsheet on Cosmetics  NEW
 EU position papers
 Cosmetics in TTIP
 Engineering
 Factsheets
 Factsheet on Engineering  NEW
 EU position papers
 Engineering in TTIP  NEW
 Medical Devices
 Factsheets
 Factsheet on Medical Devices  NEW
 Information and Communication Technology (ICT)
 Factsheets
 Factsheet on Information and Communication Technology (ICT)  NEW
 Pharmaceuticals
 Factsheets
 Factsheet on Pharmaceuticals  NEW
 EU position papers
 Pharmaceuticals in TTIP
 Textiles
 Factsheets
 Factsheet on Textiles  NEW
 EU position papers
 Textiles in TTIP
 Vehicles
 Factsheets
 Factsheet on Vehicles  NEW
 EU position papers
 Vehicles in TTIP - examples  NEW
 Vehicles in TTIP

Part 3: Rules
 New rules to make it easier and fairer to export,  import and invest
 Sustainable Development
 Factsheets
 Factsheet on Sustainable development  NEW
 Sustainable Development in TTIP – approach, issues, questions  NEW
 EU position papers
 Sustainable Development in TTIP – issues, provisions  NEW
 Sustainable Development in TTIP
 Energy and Raw Materials (ERMs)
 Factsheets
 Factsheet on Energy and Raw Materials (ERMs)  NEW
 EU position papers
 Energy and Raw Materials in TTIP
 Customs and Trade Facilitation (CTF)
 Factsheets
 Factsheet on Customs and Trade Facilitation (CTF)  NEW
 EU textual proposals
 Customs and Trade Facilitation in TTIP  NEW
 Small and Medium-Sized Enterprises (SMEs)
 Factsheets
 Factsheet on Small and Medium-Sized Enterprises (SMEs)  NEW
 EU textual proposals
 SMEs in TTIP  NEW
 Investment Protection and Investor-State Dispute Settlement (ISDS)
 Factsheets
 Factsheet on Investment Protection and Investor-State Dispute Settlement (ISDS)  NEW
 Investment protection and ISDS in 2 pages
 Investment protection and ISDS in 8 pages Competition
 Factsheets
 Factsheet on Competition  NEW
 EU textual proposals
 Competition in TTIP – Anti-trust and Mergers   NEW
 Competition – State-Owned Enterprises (SOEs)  NEW
 Competition – Subsidies  NEW
 Intellectual Property (IP) and Geographical  Indications (GIs)
 Factsheets
 Factsheet on Intellectual Property (IP) and  Geographical Indications (GIs)  NEW
 Government-Government Dispute Settlement (GGDS)
 Factsheets
 Factsheet on Government-Government Dispute Settlement (GGDS)  NEW
 EU textual proposals
 Government-Government Dispute Settlement (GGDS)  NEW
 For further information
More on TTIP

(翻訳:田所 剛/監修:廣内 かおり)

2014年12月30日火曜日

「アメリカ経済を保護するための政府の権能をないがしろにするような通商協定を許容することはできない」ウォレン議員らがフロマン代表宛の書簡

先に日本からは、12月7~12日のワシントンでの首席交渉官会合に向けて、12月10日付けでUSTRフロ-マン氏に宛てた書簡が出されましたが、米国では17日付で3名の著名な上院議員がフロ-マン氏に宛てて、TPP交渉を批判する書簡を出しています。その一人ウォ-レン議員は破産法の専門家で金融界に対する厳しい姿勢の持ち主として知られ、でTPPの秘密交渉を批判しています。
九州大学大学院教員の磯田 宏さんが翻訳されたものを同氏の了解を得てブログ掲載・配信をさせていただくものです。(翻訳:磯田 宏/監修:廣内かおり)

★ ☆ ★


2014年12月17日

USTR フロマン代表殿

我々は、TPPによって、連邦議会や規制当局が金融危機を未然に防ぐことが今以上に難しくなることを懸念している。何百万もの家族がいまだに先の金融危機とその後の大不況から立ち直るために苦闘しているなか、アメリカ経済を保護するための政府の権能をないがしろにするような通商協定を許容することはできない。
我々が懸念しているのは、TPPに含まれる可能性のある以下の3つの条項に関するものである。

投資家対国家間紛争解決
投資家対国家間紛争解決制度において、外国企業はアメリカの裁判所を迂回し、いずれの国の法体系にも属さない民間弁護士で構成された陪審団に、アメリカ政府の政策を訴えることが可能になる。  またその外国企業が勝訴した場合、陪審団はアメリカの裁判所の再調査なしに、アメリカの税金による賠償金の支払いを命じることができる。このように投資家対国家間紛争解決制度は、外国企業に対してアメリカの企業よりも強力な対アメリカ政府訴訟権限を賦与していることになる。また、投資家対国家間紛争解決制度を利用できるのは(外国の)投資家のみであることから、この制度は、当該通商協定に利害を有する労働組合、環境団体、あるいはその他の、投資家でない利害関係者よりも、はるかに強力な政府の施策に対する訴訟能力を投資家たちに賦与している。

これまでの通商協定にも、外国企業が投資家対国家間紛争解決制度を利用して政府のさまざまな金融政策を訴えることが出来る条件が含まれていたことはある。例えば2006年に、投資家対国家間紛争陪審団がチェコ政府に対してオランダ投資企業に2億3,600万ドルの支払いを命じたが、このときはチェコ政府がそのオランダ投資企業が所有権を有する民間銀行を救済しなかったという理由であった(※翻訳者:注を省略し、その概要を盛り込んだ)。

TPPの類似の条項によっても、アメリカの多岐にわたる極めて重要な金融規制が、さらに多くの外国企業から訴えられるという問題が起きる可能性は十分にあるだろう。それにもかかわらず、最近の議会での説明でUSTRは、アメリカの交渉官はTPPにさらに広範な条項を含めることを望んでいると言明した。これはアメリカの金融規制に関連して、外国企業に「最低待遇基準」を保証しようとする条項である。これまでアメリカが締結したいかなる通商協定でも、アメリカの金融政策がこれほどあいまいな義務に晒されたことはなかった。「最低待遇基準」条項とは、アメリカの通商協定の下でおこなわれたこれまでの投資家対国家間訴訟における、ほとんどの勝訴の根拠にほかならない。この条項がTPPで金融政策にまで拡張されれば、一外国企業の期待を裏切ったという理由で、アメリカの金融規制が訴えられる可能性が出てくるだろう。

私たちは、TPPに投資家対国家間紛争解決制度を含めるべきではないと確信している。TPPにそのような条項が含まれれば、アメリカの納税者は巨額の損失に晒され、政府が外国の銀行に影響を及ぼす新たな規制の策定や施行を躊躇する可能性が出てくる。その結果、わが国の規制関係諸機関は次なる金融危機を未然に防ぐ手段を剥ぎ取られてしまうことになるだろう。

市場アクセス
私たちは、WTOによって明記されたものと類似の「市場アクセス」の規則を、アメリカの金融部門にも負わせる条項を含めることにも懸念を抱いている。アメリカの金融市場へのアクセスを阻むとして、こうした規則は、極めてリスクの高い形態の金融派生商品など略奪的または有毒な金融商品への基本的、非差別的な(米国の)規制すらも禁止していると解釈される可能性があるのだ。また、こうした「市場アクセス」の規則は、預金者の資金を高リスク取引から守るための(米国の)規制など金融機関の規模や事業活動に関する制限についても、禁止あるいは抑制していると解釈される可能性がある。

消費者を保護し、連鎖的金融危機の根源に対処するためには、連邦議会が有害な金融諸商品や、金融機関の行動あるいは構造を制限できる柔軟性を保持することが欠かせない。私たちはそうした柔軟性を制約する条項をTPPに含めることに反対する。

資本規制
私たちは、政府が資本規制を行使する権能を制約する可能性がある条項をTPPに含めることにも反対する。IMFおよび主導的な経済学者らは、金融危機を未然に防ぎあるいは緩和するための正当な政策手段として、資本規制を支持してきた。資本移転の無制限な自由を義務づけた過去の通商協定の条項がTPPに含まれれば、TPPが、資本規制のみならず金融取引税のような基礎的改革手段を立法化する連邦議会の権限までも制約する可能性が出てくる。TPPによってこのような手段が排除されてはならない。

従って私たちは、2014年(※2015年の誤植か)1月6日までに以下の質問に回答するよう要求する。
1.TPPにこれらの諸条項を含めることについて、USTRはいかなる立場にあるのか?
2.もしUSTRがこれら諸条項のいずれかでもTPPに含めることを支持しているのなら、UST
Rは、何故これらの諸条項が連邦議会および規制諸当局が将来の金融危機を未然に防ぐのに役立つと確信するのか?

加えて私たちは、本書簡で議論してきた3つの条項に関連するアメリカ政府の諸提案および未合意の交渉中の条文の全てを、フロマン代表から私たちに提供するよう要求する。この要求はTPPの投資、金融サービス、投資家対国家間紛争、および例外規定に関する、未合意の条文ならびに関連するすべてのアメリカ政府提案を含むものであるが、これに限定されるものではない。最近TPP参加各国が妥結は真近であると言及していることから、これらの資料を2015年1月6日までに提供するよう要請する。

私たちはこれらの決定的に重要な諸問題についてフロマン代表と協働することを望んでいる。

連邦上院議員
エリザベス・ウォレン(Elizabeth Warren、民主党・マサチューセッツ州選出)
タミー・ボルドウィン(Tammy Baldwin、民主党・ウィスコンシン州選出)
エドワード・J・マーキー(Edward J. Markey、民主党・マサチューセッツ州選出)

※ウォレン議員による書簡発表会見(写真も)および書簡本文についてのサイトは、
http://www.warren.senate.gov/?p=press_release&id=693
(翻訳:磯田 宏/監修:廣内かおり)

「通貨操作に関わる規則を提案しないこと、要求もしないこと」フローマン大使に宛てた通貨条項に関する書簡

現在米国議会・米国自動車業界において為替条項をTPPに入れる声が声高に叫ばれ、フローマン代表も上院において「最後の段階で提案する」と表明しています。漏れ伝わる内容によれば、経常収支黒字国でかつ6ヶ月分の輸入代金を支払い可能な外貨準備高がある国を対象とし、協定前の輸入関税に戻すという罰則を含むようです。

この場合対象となるのはまず日本、続いてマレーシア、シンガポールとなります。
12月7~12日にワシントンで首席交渉官会合という名目のミニ交渉官会合が開かれ、場合によっては通貨条項も議論されるのではないかとのパブリック・シチズンの判断と依頼があり、篠原孝衆議院議員(前農水副大臣として)及び山田正彦前農水大臣の連名でUSTRフローマン氏に書簡を送りました。

これは、当初マレーシアと日本の閣僚経験者数名づつによる書簡として準備していたものですが、首席交渉官会合の日程がバタバタと決まり、また日本の衆院解散・総選挙が重なり、急遽日本からお二方の連名で出すこととなったものです。1月末の首席交渉官会合からも目が離せません。

          ★ ☆ ★

拝啓
フローマン大使殿

 私たちは、2013年6月6日付の下院435名中の230名、及び9月24日付の上院100名中の60名による超党派の議員による、通貨操作に対する規則をTPP協定に求める書簡を承知しています。また合衆国憲法が定める政治体制のそれぞれの機関の役割によれば、TPPが発効するためには連邦議会の承認が必要であることも承知しています。
 そうであれば、TPP協定に通貨に関する規則が含まれない限り、議会の承認は得られず、発効も不可能であるということにもなります。その結果、仮に合衆国の交渉官がTPPの条文としてそのような条項を提案する意図が無いとしても、最終的には議会において通貨操作に対する規則を協定に含めることが求められるため、合衆国の交渉官によって、TPP交渉においてこのことが提案されることになるものと理解するものです。
 TPP交渉参加国は現在、市場アクセスの条件について交渉をしており、通貨操作の規則が求められることを想定すべき段階にあります。従って、交渉参加国にとって、合衆国が果たして通貨条項について提案をするのか、またそれはいつになるのかを知ることが喫緊の課題となっています。
 大使閣下、是非合衆国の交渉官が通貨操作に関わる規則を提案しないこと、要求もしないことを確約していただくことは出来ないでしょうか?そのような確約をいただけないとしても、通貨操作に関する規則がいつかは提案されるものと想定せざるを得ず、いつ合衆国の交渉官が提案を明らかにするのか知ることが出来れば、とも考えるものです。通貨操作に関わる規則は、我々の国にとってのTPPの功罪に深刻な影響を与えるものです。是非とも貴職から回答をいただきたい、きわめて重要な情報なのです。

2014年12月10日
敬具
前農林水産大臣
山田 正彦
民主党衆議院議員 
前農林水産副大臣
篠原 孝

12 December,  2014
Dear Ambassador Froman,

We are aware of the letter from 230 of the 435 US House Members dated 6 June 2013 and the 24 September 2013 letter from a bipartisan group of 60 of the 100 US Senators calling for disciplines on currency manipulation in the Trans-Pacific Partnership Agreement (TPPA).  And, we are aware that under the terms of the US Constitution setting forth the roles of each branch of government, the TPPA would have to be approved by the U.S. Congress for it to take effect.
Given this, it appears that the TPPA cannot pass the US Congress and thus cannot go into effect unless there are disciplines on currency manipulators included in the TPPA. As a result even if US negotiators have not yet proposed such terms for the TPPA text, we understand that ultimately inclusion of currency manipulation disciplines in the TPPA will be required by the US Congress and thus eventually will be proposed by US negotiators.
Since TPPA countries are now negotiating market access terms, a stage in negotiations that requires taking into account the prospective demand for such currency disciplines, it is critical that TPPA parties know if and when a U.S. currency proposal will be forthcoming.
Can you please assure us that US officials will not propose nor require terms disciplining currency manipulators within the TPPA context? If you cannot give us such an assurance, we must assume that such terms will be forthcoming and we would appreciate knowing when US officials intend to present their proposal. As this would significantly affect the costs and benefits of the TPPA for our countries, this is a crucial piece of information that we need from you.
Sincerely,

Masahiko YAMADA
Former Diet Member of Japan
and
Former Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries

Takashi SHINOHARA
Democratic Party of Japan
Member of the House of Representative
and
Former Vice Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries