2015年1月23日金曜日

欧州委員会、透明性への取組みの一環としてTTIP条文を発表

欧州委員会が1月7日に公開した、米国とEU間の環大西洋貿易投資パートナーシップの条文を、翻訳チ-ムの田所さんが翻訳されました。解説書、政策文書、提案、今後も公開を継続することが以下のプレスリリ-スで述べられています、公開文書にはリンクが付いています。

TPPとは何と違った風景でしょうか…?特に日本政府の不誠実な対応と派雲泥の差です。

今、各国でTPPについても情報公開要求のい声が再度挙がり、私たちも日本で準備に入っています。大詰めに来た今こそ、改めて情報公開要求の声を挙げて行きましょう。(翻訳:田所 剛/監修:廣内 かおり)

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欧州委員会、透明性への取組みの一環としてTTIP条文を発表
ブリュッセル 2015年1月7日

欧州委員会は本日、米国との間で現在交渉中の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の条文に対するEU提案を記した膨大な文書を発表した。これは交渉における透明性向上の取り組みとして実施された。

EUのセシリア・マルムストローム通商担当委員は「1カ月前に公約した透明性向上の取り組みを明白に示し、新年を迎えられたことは大変に喜ばしい。TTIPの枠組みにおける我々独自の法規制に関する提案を整理した本日の発表は、EUの貿易政策における新たな一歩だ」と語った。

本日発表された、いわゆる「条文提案」では、TTIP草案の中で議論されてきた条文に対するEUとしての提案が記されており、規制および規則を含む合意の一部としてEUが期待する拘束力ある条文を実際の文言ととともに示している。
文書による8つの要求事項には、競争、食の安全と動植物の健康、税関、貿易に関する技術的障壁、中小企業(SMEs)そして国家間紛争(GGDS=政府間紛争解決であり、ISDS:投資家と国家の紛争解決と混同しないように。EUはTTIPではISDSを否定)が含まれる。

また本日、同委員会は技術、自動車、持続可能な開発に関するEUの考え方を説明したTTIP政策方針文書も発表し、その数は15になった。

委員会は、専門家以外の人々にとってインターネットに掲載されている文書がわかりやすくなるよう、「条文解説書」を発表し、本文が意味する内容を説明している。また、専門用語や頭字語の解説を行い、一連の「概要解説」では平明な言葉で、TTIPの各章とEUが目指すものと、その問題点を指摘している。
マルムストローム委員は「条文とともに、専門的でない言葉で法令の条文を解説できたことを大変に嬉しく思います。重要なことは、我々が求めていること、また求めていないことを全ての人が理解できることが重要なのです」と語った。

確かに、交渉中の二国間通商条約の条文提案を発表することは委員会にとって初めてのことだが、すでに数々の資料がオンラインに掲載され、TTIPの幅広い課題における委員会の立場は示されている。

EUによる貿易政策の一層の透明性向上という決定を受けて、委員会は交渉の経過に合わせ、より多くの文書や提案書を公開する意向である。

※本日発表された文書へのリンクはこちら: http://ec.europa.eu/trade/ttip-texts/

<背景説明>

今日の動きは、昨年11月に作成したTTIP交渉へのさらなる透明性確保という方針を実現した1つの例である。委員会はさらに以下のことを約束した。

・委員会が加盟国や欧州議会と共有するTTIPにおけるEUの交渉資料をさらに公表する   
・EUのTTIP交渉資料を欧州議会の全議員が入手できるようにする。そのために、「閲
覧室」での閲覧に限定されていて、これまで見ることができなかった資料も議員に提供する。

・「EU限定」として指定されるTTIP交渉の秘密文書の数を減らす。それにより「閲覧
室」の外でも欧州議会の議員がそれらの交渉資料を入手しやすくなるようにする

・欧州議会と評議会が共有するTTIP資料の公的リストを公表し、定期的に更新する

・政治家や政府高官と面会した人々に関する情報を公表する。

金融サービス、公共調達、制度的な一貫性、貿易における技術的障害、食の安全と動植物の健康、化学薬品、化粧品、医薬品、衣料、自動車、持続可能な開発、及びエネルギーと原材料に関する12の政策方針文書が既に発行されている。

<追加情報>
・全ての文書(条文提案書、政策方針書、条文解説書、概要報告書)はここから検索可能
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230
・セシリア・マルムストローム委員のツイッター
https://twitter.com/MalmstromEU

<以下はテキスト全文・関連資料>

ウェブサイトに掲載-TTIPでのEUによる交渉中の条文。
欧州委員会はできる限り公開性を保ちTTIPを交渉している。
最終的な合意は24章から成り、以下の3つの分野からなる。
1.市場アクセス
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#market-access
2.法制上の協同
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#regulatory-cooperation
3.規則
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1230#rules

また、我々の最新の透明性戦略の一環として、以下のものを発表する

・平明な言葉で書かれた2ページの新たな概要報告書 
・我々が米国の交渉官に手渡した以下の交渉文書
・TTIPの第2節、第3節に関してEUが提案した条文‐EUがどのように決着したいかを、1文ずつ示したもの
・欧州の政策方針書 - 各章において我々が達成したいこと

入手できしだい我々はこれからも文章を公表する

我々は交渉が妥結した場合、調印と批准の前に十分な時間的余裕をもって、全ての合意文書を公表する。

 最近妥結したEU貿易条約について、欧州‐カナダ自由貿易協定(CETA)text of the EU-Canada Free Trade Agreement (CETA)  を参照されたい。現在、まだ条文は法的再検討を実施中。

■text of the EU-Canada Free Trade Agreement (CETA)
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2014/september/tradoc_152806.pdf

政策方針書はTTIP交渉におけるEUの一般的な取組み方針を定め、記述している。米国との交渉の場に提出される。

条文提案書は、TTIPの議題に関する条文への欧州連合の基本的な要求である。米国との交渉で議論するために提出される。最終合意の実際の文章は、欧州と米国間の交渉の結果による。

Reader's guide 
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2015/january/tradoc_153034.pdf

※訳注:以下は既に紹介した文書へのリンクなので翻訳は割愛した。

EU negotiating texts, chapter by chapter
Part 1: Market Access
 Better access to the US market
 Trade in Goods and Customs Duties
 Factsheets
 Factsheet on Trade in Goods and Customs Duties  NEW
 Services
 Factsheets
 Factsheet on Services  NEW
 TTIP and public services
 TTIP and culture
 EU position papers
 Financial Services in TTIP
 Public Procurement
 Factsheets
 Factsheet on Public Procurement  NEW
 Rules of Origin
 Factsheets
 Factsheet on Rules of Origin  NEW

Part 2: Regulatory Co-operation
 Cutting red tape and costs - without cutting corners
 Regulatory Coherence
 Factsheets
 Factsheet on Regulatory Coherence  NEW
 EU textual proposal
 Available early 2015
 Technical Barriers to Trade (TBTs)
 Factsheets
 Factsheet on Technical Barriers to Trade (TBTs)  NEW
 EU textual proposal
 Technical Barriers to Trade (TBTs) in TTIP  NEW
 Food Safety and Animal and Plant Health (SPS)
 Factsheets
 Factsheet on Food Safety and Animal and Plant Health(SPS)  NEW
 EU textual proposal
 SPS in TTIP  NEW
 Specific industries
 Chemicals
 Factsheets
 Factsheet on Chemicals  NEW
 EU position papers
 Chemicals in TTIP
 Chemicals in TTIP - outline
 Chemicals in TTIP - examples
 Cosmetics
 Factsheets
 Factsheet on Cosmetics  NEW
 EU position papers
 Cosmetics in TTIP
 Engineering
 Factsheets
 Factsheet on Engineering  NEW
 EU position papers
 Engineering in TTIP  NEW
 Medical Devices
 Factsheets
 Factsheet on Medical Devices  NEW
 Information and Communication Technology (ICT)
 Factsheets
 Factsheet on Information and Communication Technology (ICT)  NEW
 Pharmaceuticals
 Factsheets
 Factsheet on Pharmaceuticals  NEW
 EU position papers
 Pharmaceuticals in TTIP
 Textiles
 Factsheets
 Factsheet on Textiles  NEW
 EU position papers
 Textiles in TTIP
 Vehicles
 Factsheets
 Factsheet on Vehicles  NEW
 EU position papers
 Vehicles in TTIP - examples  NEW
 Vehicles in TTIP

Part 3: Rules
 New rules to make it easier and fairer to export,  import and invest
 Sustainable Development
 Factsheets
 Factsheet on Sustainable development  NEW
 Sustainable Development in TTIP – approach, issues, questions  NEW
 EU position papers
 Sustainable Development in TTIP – issues, provisions  NEW
 Sustainable Development in TTIP
 Energy and Raw Materials (ERMs)
 Factsheets
 Factsheet on Energy and Raw Materials (ERMs)  NEW
 EU position papers
 Energy and Raw Materials in TTIP
 Customs and Trade Facilitation (CTF)
 Factsheets
 Factsheet on Customs and Trade Facilitation (CTF)  NEW
 EU textual proposals
 Customs and Trade Facilitation in TTIP  NEW
 Small and Medium-Sized Enterprises (SMEs)
 Factsheets
 Factsheet on Small and Medium-Sized Enterprises (SMEs)  NEW
 EU textual proposals
 SMEs in TTIP  NEW
 Investment Protection and Investor-State Dispute Settlement (ISDS)
 Factsheets
 Factsheet on Investment Protection and Investor-State Dispute Settlement (ISDS)  NEW
 Investment protection and ISDS in 2 pages
 Investment protection and ISDS in 8 pages Competition
 Factsheets
 Factsheet on Competition  NEW
 EU textual proposals
 Competition in TTIP – Anti-trust and Mergers   NEW
 Competition – State-Owned Enterprises (SOEs)  NEW
 Competition – Subsidies  NEW
 Intellectual Property (IP) and Geographical  Indications (GIs)
 Factsheets
 Factsheet on Intellectual Property (IP) and  Geographical Indications (GIs)  NEW
 Government-Government Dispute Settlement (GGDS)
 Factsheets
 Factsheet on Government-Government Dispute Settlement (GGDS)  NEW
 EU textual proposals
 Government-Government Dispute Settlement (GGDS)  NEW
 For further information
More on TTIP

(翻訳:田所 剛/監修:廣内 かおり)

2014年12月30日火曜日

「アメリカ経済を保護するための政府の権能をないがしろにするような通商協定を許容することはできない」ウォレン議員らがフロマン代表宛の書簡

先に日本からは、12月7~12日のワシントンでの首席交渉官会合に向けて、12月10日付けでUSTRフロ-マン氏に宛てた書簡が出されましたが、米国では17日付で3名の著名な上院議員がフロ-マン氏に宛てて、TPP交渉を批判する書簡を出しています。その一人ウォ-レン議員は破産法の専門家で金融界に対する厳しい姿勢の持ち主として知られ、でTPPの秘密交渉を批判しています。
九州大学大学院教員の磯田 宏さんが翻訳されたものを同氏の了解を得てブログ掲載・配信をさせていただくものです。(翻訳:磯田 宏/監修:廣内かおり)

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2014年12月17日

USTR フロマン代表殿

我々は、TPPによって、連邦議会や規制当局が金融危機を未然に防ぐことが今以上に難しくなることを懸念している。何百万もの家族がいまだに先の金融危機とその後の大不況から立ち直るために苦闘しているなか、アメリカ経済を保護するための政府の権能をないがしろにするような通商協定を許容することはできない。
我々が懸念しているのは、TPPに含まれる可能性のある以下の3つの条項に関するものである。

投資家対国家間紛争解決
投資家対国家間紛争解決制度において、外国企業はアメリカの裁判所を迂回し、いずれの国の法体系にも属さない民間弁護士で構成された陪審団に、アメリカ政府の政策を訴えることが可能になる。  またその外国企業が勝訴した場合、陪審団はアメリカの裁判所の再調査なしに、アメリカの税金による賠償金の支払いを命じることができる。このように投資家対国家間紛争解決制度は、外国企業に対してアメリカの企業よりも強力な対アメリカ政府訴訟権限を賦与していることになる。また、投資家対国家間紛争解決制度を利用できるのは(外国の)投資家のみであることから、この制度は、当該通商協定に利害を有する労働組合、環境団体、あるいはその他の、投資家でない利害関係者よりも、はるかに強力な政府の施策に対する訴訟能力を投資家たちに賦与している。

これまでの通商協定にも、外国企業が投資家対国家間紛争解決制度を利用して政府のさまざまな金融政策を訴えることが出来る条件が含まれていたことはある。例えば2006年に、投資家対国家間紛争陪審団がチェコ政府に対してオランダ投資企業に2億3,600万ドルの支払いを命じたが、このときはチェコ政府がそのオランダ投資企業が所有権を有する民間銀行を救済しなかったという理由であった(※翻訳者:注を省略し、その概要を盛り込んだ)。

TPPの類似の条項によっても、アメリカの多岐にわたる極めて重要な金融規制が、さらに多くの外国企業から訴えられるという問題が起きる可能性は十分にあるだろう。それにもかかわらず、最近の議会での説明でUSTRは、アメリカの交渉官はTPPにさらに広範な条項を含めることを望んでいると言明した。これはアメリカの金融規制に関連して、外国企業に「最低待遇基準」を保証しようとする条項である。これまでアメリカが締結したいかなる通商協定でも、アメリカの金融政策がこれほどあいまいな義務に晒されたことはなかった。「最低待遇基準」条項とは、アメリカの通商協定の下でおこなわれたこれまでの投資家対国家間訴訟における、ほとんどの勝訴の根拠にほかならない。この条項がTPPで金融政策にまで拡張されれば、一外国企業の期待を裏切ったという理由で、アメリカの金融規制が訴えられる可能性が出てくるだろう。

私たちは、TPPに投資家対国家間紛争解決制度を含めるべきではないと確信している。TPPにそのような条項が含まれれば、アメリカの納税者は巨額の損失に晒され、政府が外国の銀行に影響を及ぼす新たな規制の策定や施行を躊躇する可能性が出てくる。その結果、わが国の規制関係諸機関は次なる金融危機を未然に防ぐ手段を剥ぎ取られてしまうことになるだろう。

市場アクセス
私たちは、WTOによって明記されたものと類似の「市場アクセス」の規則を、アメリカの金融部門にも負わせる条項を含めることにも懸念を抱いている。アメリカの金融市場へのアクセスを阻むとして、こうした規則は、極めてリスクの高い形態の金融派生商品など略奪的または有毒な金融商品への基本的、非差別的な(米国の)規制すらも禁止していると解釈される可能性があるのだ。また、こうした「市場アクセス」の規則は、預金者の資金を高リスク取引から守るための(米国の)規制など金融機関の規模や事業活動に関する制限についても、禁止あるいは抑制していると解釈される可能性がある。

消費者を保護し、連鎖的金融危機の根源に対処するためには、連邦議会が有害な金融諸商品や、金融機関の行動あるいは構造を制限できる柔軟性を保持することが欠かせない。私たちはそうした柔軟性を制約する条項をTPPに含めることに反対する。

資本規制
私たちは、政府が資本規制を行使する権能を制約する可能性がある条項をTPPに含めることにも反対する。IMFおよび主導的な経済学者らは、金融危機を未然に防ぎあるいは緩和するための正当な政策手段として、資本規制を支持してきた。資本移転の無制限な自由を義務づけた過去の通商協定の条項がTPPに含まれれば、TPPが、資本規制のみならず金融取引税のような基礎的改革手段を立法化する連邦議会の権限までも制約する可能性が出てくる。TPPによってこのような手段が排除されてはならない。

従って私たちは、2014年(※2015年の誤植か)1月6日までに以下の質問に回答するよう要求する。
1.TPPにこれらの諸条項を含めることについて、USTRはいかなる立場にあるのか?
2.もしUSTRがこれら諸条項のいずれかでもTPPに含めることを支持しているのなら、UST
Rは、何故これらの諸条項が連邦議会および規制諸当局が将来の金融危機を未然に防ぐのに役立つと確信するのか?

加えて私たちは、本書簡で議論してきた3つの条項に関連するアメリカ政府の諸提案および未合意の交渉中の条文の全てを、フロマン代表から私たちに提供するよう要求する。この要求はTPPの投資、金融サービス、投資家対国家間紛争、および例外規定に関する、未合意の条文ならびに関連するすべてのアメリカ政府提案を含むものであるが、これに限定されるものではない。最近TPP参加各国が妥結は真近であると言及していることから、これらの資料を2015年1月6日までに提供するよう要請する。

私たちはこれらの決定的に重要な諸問題についてフロマン代表と協働することを望んでいる。

連邦上院議員
エリザベス・ウォレン(Elizabeth Warren、民主党・マサチューセッツ州選出)
タミー・ボルドウィン(Tammy Baldwin、民主党・ウィスコンシン州選出)
エドワード・J・マーキー(Edward J. Markey、民主党・マサチューセッツ州選出)

※ウォレン議員による書簡発表会見(写真も)および書簡本文についてのサイトは、
http://www.warren.senate.gov/?p=press_release&id=693
(翻訳:磯田 宏/監修:廣内かおり)

「通貨操作に関わる規則を提案しないこと、要求もしないこと」フローマン大使に宛てた通貨条項に関する書簡

現在米国議会・米国自動車業界において為替条項をTPPに入れる声が声高に叫ばれ、フローマン代表も上院において「最後の段階で提案する」と表明しています。漏れ伝わる内容によれば、経常収支黒字国でかつ6ヶ月分の輸入代金を支払い可能な外貨準備高がある国を対象とし、協定前の輸入関税に戻すという罰則を含むようです。

この場合対象となるのはまず日本、続いてマレーシア、シンガポールとなります。
12月7~12日にワシントンで首席交渉官会合という名目のミニ交渉官会合が開かれ、場合によっては通貨条項も議論されるのではないかとのパブリック・シチズンの判断と依頼があり、篠原孝衆議院議員(前農水副大臣として)及び山田正彦前農水大臣の連名でUSTRフローマン氏に書簡を送りました。

これは、当初マレーシアと日本の閣僚経験者数名づつによる書簡として準備していたものですが、首席交渉官会合の日程がバタバタと決まり、また日本の衆院解散・総選挙が重なり、急遽日本からお二方の連名で出すこととなったものです。1月末の首席交渉官会合からも目が離せません。

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拝啓
フローマン大使殿

 私たちは、2013年6月6日付の下院435名中の230名、及び9月24日付の上院100名中の60名による超党派の議員による、通貨操作に対する規則をTPP協定に求める書簡を承知しています。また合衆国憲法が定める政治体制のそれぞれの機関の役割によれば、TPPが発効するためには連邦議会の承認が必要であることも承知しています。
 そうであれば、TPP協定に通貨に関する規則が含まれない限り、議会の承認は得られず、発効も不可能であるということにもなります。その結果、仮に合衆国の交渉官がTPPの条文としてそのような条項を提案する意図が無いとしても、最終的には議会において通貨操作に対する規則を協定に含めることが求められるため、合衆国の交渉官によって、TPP交渉においてこのことが提案されることになるものと理解するものです。
 TPP交渉参加国は現在、市場アクセスの条件について交渉をしており、通貨操作の規則が求められることを想定すべき段階にあります。従って、交渉参加国にとって、合衆国が果たして通貨条項について提案をするのか、またそれはいつになるのかを知ることが喫緊の課題となっています。
 大使閣下、是非合衆国の交渉官が通貨操作に関わる規則を提案しないこと、要求もしないことを確約していただくことは出来ないでしょうか?そのような確約をいただけないとしても、通貨操作に関する規則がいつかは提案されるものと想定せざるを得ず、いつ合衆国の交渉官が提案を明らかにするのか知ることが出来れば、とも考えるものです。通貨操作に関わる規則は、我々の国にとってのTPPの功罪に深刻な影響を与えるものです。是非とも貴職から回答をいただきたい、きわめて重要な情報なのです。

2014年12月10日
敬具
前農林水産大臣
山田 正彦
民主党衆議院議員 
前農林水産副大臣
篠原 孝

12 December,  2014
Dear Ambassador Froman,

We are aware of the letter from 230 of the 435 US House Members dated 6 June 2013 and the 24 September 2013 letter from a bipartisan group of 60 of the 100 US Senators calling for disciplines on currency manipulation in the Trans-Pacific Partnership Agreement (TPPA).  And, we are aware that under the terms of the US Constitution setting forth the roles of each branch of government, the TPPA would have to be approved by the U.S. Congress for it to take effect.
Given this, it appears that the TPPA cannot pass the US Congress and thus cannot go into effect unless there are disciplines on currency manipulators included in the TPPA. As a result even if US negotiators have not yet proposed such terms for the TPPA text, we understand that ultimately inclusion of currency manipulation disciplines in the TPPA will be required by the US Congress and thus eventually will be proposed by US negotiators.
Since TPPA countries are now negotiating market access terms, a stage in negotiations that requires taking into account the prospective demand for such currency disciplines, it is critical that TPPA parties know if and when a U.S. currency proposal will be forthcoming.
Can you please assure us that US officials will not propose nor require terms disciplining currency manipulators within the TPPA context? If you cannot give us such an assurance, we must assume that such terms will be forthcoming and we would appreciate knowing when US officials intend to present their proposal. As this would significantly affect the costs and benefits of the TPPA for our countries, this is a crucial piece of information that we need from you.
Sincerely,

Masahiko YAMADA
Former Diet Member of Japan
and
Former Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries

Takashi SHINOHARA
Democratic Party of Japan
Member of the House of Representative
and
Former Vice Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries

2014年12月13日土曜日

EU委員会、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)は一層の透明性向上を

14年11月19日、欧州委員会は、TTIPにおける情報開示の一層の透明性向上について協議をしています。具体的なところはこれからですが、守秘義務への疑問、EU提案の公表、各国からのISDSへの反対など、日本政府にも少しは見習ってもらいたいものです。(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)

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EU委員会、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)は一層の透明性向上を

欧州委員会は本日、現在進められているEUと米国との環太平洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)交渉における透明性の向上や、交渉内容に関する市民への一層の適切且つ詳細な情報提供の方法について協議した。これは、ユンケル委員長率いる欧州委員会が優先的に取り組んでいる透明性向上の一環であり、セシリア・マルムストロムEU通商担当委員が最近発表したTTIPの「再出発」を反映するものである。

「TTIPは非常に重要な協定であり、雇用と経済成長をもたらし、さまざまな基準となる大きな可能性をもっています。しかし、このTTIPは、委員会によるこれまでのどの交渉よりも透明性が高く、開放的であるとはいえ、交渉内容についていまだに多くの不信を招いています」と、マルムストロム委員は語った。

「こうしたことから、TTIPについてもっと多くの人々と協議できることを望んでおり、また透明性という点でも進展させたいと考えています。 透明性をあげることで、私たちは一層明確に交渉内容を示すことができ、秘密性を取り除くことができるのです。これは、利害関係者や一般の人たちを広く巻きこむための基盤になるでしょう」と、マルムストロム委員は語った。

同委員は、透明性向上の主要な2つの提案の概要を述べた。

第1は、これまで欧州議会の国際通商委員会という限られた委員にのみ公開されていたTTIP原案をすべての欧州議会議員に広げること、

第2に、TTIPに関してEUが提案する具体的な交渉原案を公表することである。
本日の討論に続き、来週の委員会で今回の提案が採用される予定だ。

本日の全体会合での議論は、他の分野の透明性向上も対象にしており、欧州委員会委員、委員官房、総局局長らと、透明性登録簿(Transparency Registry)に登録している利益団体や個人が連絡をとる際には、公開が担保されることになる。
マルムストロム委員は、このTTIPの透明性に関する提案を12月3日に開かれる欧州議会の国際通商委員会に提出する。委員会は今年中にこの新たな措置を実施したい考えだ。
(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)

一挙公開!世界中からISDS等に対する反対の声

 パブリック・シチズンが、各国特に欧州でのTTIPのISDS条項に対する反対、そして既存の2国間投資協定におけるISDS条項に対する途上国からの反対の巻き返しの声を拾ってくれました。

 TPP交渉の政府説明会で繰り返される「日本が損をすることはない」「今までのEPA、FTA,投資協定で日本も受け入れてきている」という説明をそののまま受け入れる必要もないし、日本の損得ではなく、グロ-バル経済における公平・公正の観点で批判をしていくこと、更には必ずしも“投資家保護”が、その目的とする投資の増大にも結びついていている訳ではないことも、認識しておいていいと思います。(翻訳:池上明/監修:廣内 かおり)




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 TTP(環太平洋経済連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)    /TAFTA(環大西洋自由貿易協定) ISDS(国家投資家間紛争解決条項)に対して広がる反対の声

 ISDSに反対するオーストラリア
「ISDSは法律より上位のものか」と題し、オーストラリア連邦高等裁判所(最上級の裁判所)の首席裁判官(高等裁判所長官)が、ISDSの国家の司法制度への影響を批判。
公共放送ABCラジオの「Background Briefing」(ドキュメンタリ番組)が、ISDSを「貿易協定に潜む悪魔」と批判。
野党、労働党のメリサ・パーク議員が議会でISDS反対の演説。

TTIP/TAFTAのISDSに反対するフランス
「フランスは、ISDSが交渉の対象になることを望んでいなかった。我々は、自国の基準を自国で設定して適用する権利を守り、司法制度の公平性を維持し、フランスおよび世界の人々がそれぞれの価値基準を行使できるようにしなければならない」。
―マティアス・フェクル外務・通商・観光振興・在外国民担当大臣。2014年11月17日

TTIP/TAFTAのISDSに反対するドイツ
「〔ドイツ〕連邦政府の見解では、アメリカとドイツはすでに国内の裁判制度の下で十分な法的保護制度を有している」。ドイツ政府は「EU-アメリカ間の貿易協定に紛争解決のための新たな規定は必要ないという立場をすでに明確にしている」。
         ―ジグマール・ガブリエル経済・エネルギー大臣。2014年3月26日
「わが国が、このような投資家保護の協定を拒否するのは自明だ」。
   ―ジグマール・ガブリエル大臣のTAFTAに関する国会討論での発言。2014年
9月25日

オーストリア議会がTTIP/TAFTAおよびCETA(包括的経済貿易協定)におけるISDS条項を疑問視
「今のところ、成熟した司法制度を有する国々(イギリス、アメリカ、カナダなど)との協定にISDS条項を含める意義は認められない」。
              ―多数決で採択されたオーストリア議会決議。2014年10月1日

欧州委員会がTTIP/TAFTAのISDSを疑問視
「(しかしながら)、私は自由貿易という祭壇に、ヨーロッパの安全、保健、社会保障およびデータ保護基準、文化的多様性などの生贄を捧げるつもりはないことを、欧州委員会の委員長として、明確にしておきたい…また、投資家紛争のための特別な制度によってEU加盟国内の裁判所の権限が制限されることも受け入れられない」。
        ―ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長。2014年7月15日
「ISDSはここでも、他の国の議会でも、非常に毒性の強い問題である…TTIPには自動的にISDSが含まれることになるのか?いや、そんなことはない。私は、この条項が最後の段階で除外される可能性もあると思っている」。
―セシリア・マルムストローム、新EU貿易担当委員。2014年9月29日

TTIPにISDSを含めるよう要請した書簡にEU加盟国の半数が署名せず
EU加盟国28カ国のうち14カ国は、マルムストローム欧州委員会貿易担当委員宛てのTTIP/TAFTAへのISDS導入を要請する書簡に署名をしなかった。非署名国はオーストリア、ベルギー、ブルガリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニアなど、主要加盟国が多く含まれていた。
                                                     ―2014年10月21日

欧州社会民主進歩同盟(EU議会第2の勢力)がTTIP/TAFTAのISDSに反対

「我々は、この制度(ISDS)が、法の支配を十分に尊重している二国間の協定には不要だと考える。ISDSを認めれば、大企業がEUの法規制に対して自らの利害を強要する道を開くことになり、国家が保健や環境など重要な領域で不可欠な政策を実施する機会を奪われることになる。我々が欧州委員会に望むのは、TTIPのISDS条項を今より良いものにするための交渉ではない。ISDS条項そのものをTTIPから削除することを求めている」。
        ―欧州議会における社会民主進歩同盟の意見表明。2014年1月21日

TTIP/TAFTAのISDSにアメリカの政治領域を横断する諸団体(実業界、労働界、自由主義者)が反対
「貿易協定が相当な反発を招いている主な原因の1つはISDSにある。ところが、ISDSは貿易の自由化に不可欠な条件ですらない。にもかかわらず、なぜこのように余分な荷物を引き受けなければならいのか?TPPおよびTTIPから ISDSを一掃することは、経済的にも政治的にも理にかなうものであり、これらの交渉に対する不安を軽減し、反自由化勢力を分断し、今以上に自由化された貿易への道を開くことになるだろう」。
     ―ケイトー(CATO)研究財団ダニエル・イケンソン。2014年3月4日          

「ISDSは国内の法廷(アメリカ合衆国憲法第3条、司法制度を含む)を通らず、直接、アメリカ政府を相手に国際仲裁機関に異議を申し立てる、国内の投資家にはない権利を外国投資家に与えている。ISDSの審査員団は、民主的に選出されたわけでも、国民に責任を負うわけでもなく、アメリカの法の基本原則を考慮することも求められていない…」。
      ―アメリカの労働、保健、消費者、実業、小規模農業、信仰およびその
他の利害団体(アメリカ産業協議会、アメリカ労働総同盟産業別組合
会議(AFL-CIO)、消費者組合、全米農業組合、自然資源保護委員会、
アメリカ長老派教会など)。2014年2月28日

大西洋両岸の市民団体の大勢力がTTIP/TAFTAのISDSに反対

「我々はつぎのような理由で、TTIPからISDSを除外することを強く求める。
・ISDSによって、政府は、公的保健、環境、労働およびその他の公益に資する
政策と実施に対して、納税者の資金を使って企業に補償しなければならなくなる。
・ISDSは、環境に優しいエネルギー、鉱業、土地利用、保健、労働、その他公
益に資する政策を攻撃するために使われている…ISDSは民主的な政策決定を脅かす。
・ISDSは、外国企業に対し、非公開の法廷で、直接、政府の政策や活動に異議
を申し立てる権利を認めている。その国の法廷を経ることもなく、外国企業および多国籍企業だけが利用できる新たな司法制度が作られる…ヨーロッパ諸国やアメリカの司法制度で投資にかかわる紛争に対応することは可能である。
・EU諸国とアメリカには、盤石な国内の裁判制度および財産権の保護制度があ
る。TTIPへのISDSの導入は、その国の法廷なら問題ないと思われる国内制度を攻撃する新しい手段を企業に与えることにしかならないだろう」。   
 ―労働、環境、保健、プライバシー、無料インターネット、金融、開発、小
規模家族農業、信仰および消費者などのアメリカとEUの178の団体。2013年12月16日

法律学者、TTIP/TAFTAのISDSに反対
「TTIPにISDSを盛りこむことをそもそもなぜ考えるのか…投資家国家間の仲裁制度は、外国投資家に過度の特恵を付与する仕組みを与え、国内企業を犠牲にして市場を歪曲する危険性をはらむ。ここでの外国投資家にとっての特恵とは、次のようなものである。
特別な審判法廷を活用できる特権、権利および利害に影響がある関係者の関与がないまま当該事案および論調を展開できる特権、仲裁者の構成を決定する排他的な権限、主権国家に対する判決の強要、投資家または資本輸出大国に直接責任を持つ審判団を指名出来る機能、そして司法の独立性という制度的な不正予防措置の欠如だ。本来の司法の独立性とは、非対称的な裁定において、仲裁者を、仲裁を請求しようとする者との金銭的な関係から隔離するものである。そして、政治家、政府官僚、裁判所と外国投資家との関係から得られるその他の恩恵による、交渉における優位性も外国投資家にとっての特恵である。
根本的にこの制度では、巨額資産を持つ外国企業が優先され、代表者の選出も参加も民主的手続きと司法制度でのみ行われる人々の利益からはかけ離れていることを意味している。 
 ―アメリカ、EU加盟国及びその他諸国における120名の法律学者。2014年7
 月

EUとアメリカの消費者、保健、環境及び労働団体がTTIP/TAFTAの化学物質にかかわる書簡のなかでISDSに反対
「(さらに)投資家国家間紛争解決(ISDS)条項をTTIPに入れる提案は、企業が国内法廷を回避し、法廷外の仲裁機関にそのような保護規定に対して直接、異議を申し立てる権利を与えるもので、化学物質の確固たる規制制度を脅かすことになるだろう、」。
                   ―アメリカ及びEUにおける111の組織。2014年7月10日

米国の金融規制団体がTTIP/TAFTAおよびTPPのISDSに反対
「投資家対国家間紛争解決条項を拒否せよ。TPPおよびTTIPにおいて、アメリカの交渉団は、外国銀行が国内法廷を回避し、超法規の仲裁機関の前にアメリカ政府を引きずり出し、TPPまたはTTIPの約定違反であるという理由で、直接、国内の金融保護規定に異議を申し立てる権限を与える『投資家対国家』の紛争解決手続きに賛成している。これら仲裁機関は、通常3人の民間弁護士で構成され、銀行の『将来予測利益』の侵害になるとみられる金融規制について、納税者負担を伴う無制限の補償を命ずる権限を持つ。そのように強力な『投資家対国家』の規則は、すでにアメリカの一連の『自由貿易』協定に盛りこまれ、世界中で企業が何十億ドルもの訴えを起こしている。我々は、TPPおよびTTIP加盟国に複数の拠点を持つ金融機関が、アメリカの納税者が補償を支払わなければアメリカの金融規制を順守しないとする主張を押し通すために、アメリカの裁判所を回避する手段を持つことがないよう、議会に強く要求する」
  ―250団体からなる金融改革のためのアメリカ市民同盟による書簡。2013年
12月19日

全米退職者協会(AARP)、AFL-CIO、及びアメリカ最大の労働団体、消費者団体および保健団体によるTTIP/TAFTAおよびTPPのISDSに関する懸念の表明
「…我々はISDSに関して強い懸念を抱いている。アメリカの州議会、連邦議会そして公共機関が公的施策の中で薬価を管理するために用いている制度に対して、世界的な製薬企業が異議を申し立てられる制度を認めることになるためだ…保健施策をISDSの対象とし、何百万というアメリカ国民の健康の安全保障を危うくするとは無責任であろう」。
             ―アメリカの14の有力団体及び労働組合。2014年9月4日

投資家対国家間条項の制度に対し、世界的な反対行動が拡大
ボリビアとベネズエラがICSID (投資紛争解決国際センター)条約から脱退
ボリビアは2007年、ベネズエラは2012年にICSID条約からの脱退を公式に申し立てた。また、ベネズエラは2008年、オランダとの二国間投資協定(BIT)を解消した。
 典拠先:http://www.bilaterals.org/?icsid-and-latin-america-criticisms

ブラジル議会は、憲法規定に「合致しない」との理由で投資協定を拒否
ブラジルは外国との投資協定を1つも実施していない。ブラジルは1990年代末に14の協定を交渉したが、いずれも実施されていない。そのうちの6つは、間接収用および投資家対国家の紛争解決条項が憲法規定に合致しないという理由でブラジル議会によって拒否された。
典拠先:
http://unctad-worldinvestmentforum.org/wp-content/uploads/2014/10/Godinho.pdf

エクアドルはICSID (投資紛争解決国際センター)から脱退し、また10の二国間投資協定を解消。残りの二国間投資協定も審理中
エクアドルは2008年以降、10の二国間投資協定を解消し、また「市民審理委員会」を発足させた。この委員会は、二国間投資協定やその他の国際的な仲裁機関が国益を満たしているか否かの評価及び再検討を目的としている。エクアドルは2009年、ICSID条約から脱退した。
 典拠先:
http://www.latinarbitrationlaw.com/ecuador-evaluates-investment-treaty-framework/

クロアチア、ISDS体制の妥当性を疑問視
今日まで、海外投資の増加と国際投資協定の締結数に明確な相関関係は見られていない。反対に、投資家対国家の紛争は数多くの明らかな欠陥を露呈しつつ確実に増加している。
提訴された国が負う莫大な仲裁費用(とりわけ提訴が理不尽な場合で、最近は第三者による訴訟費用提供による安易な提訴をされる事態に追い込まれる国がある)と政策実施範囲の縮小はどちらも多くの国家にとって大きな懸念材料だ。しかし、それを別にしても、我々がつくったこの制度が法的確実性と安定性からはほど遠いという事実を無視することはできない。今日の制度は、数多くの矛盾する判決、そうした判決の執行に伴う問題、不透明な手続き、不十分な上訴の仕組みなどの課題を抱えている。
典拠先
:http://unctad-worldinvestmentforum.org/wp-content/uploads/2014/10/Alajbeg.pdf

インド政府は二国間投資協定の見直し/解消の議論を進めている
インドの通商産業大臣は、インドが調印している投資の推進及び保護に関する83の二国間協定全ての解消を推奨しており、経済関係局は条約の見直しと再交渉を要求している。
典拠先:
http://archive.financialexpress.com/news/ministries-for-scrapping-of-bilateral-investment-pacts/1269646/1

インドネシアは60の二国間投資協定解消を計画

2014年の初め、同国の二国間投資協定のうち60の協定を解消する計画を発表した。インドネシアはオランダに対して、両国間の二国間投資協定を2015年7月に終結させる意向を伝えている。
典拠先:
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/3755c1b2-b4e2-11e3-af92-00144feabdc0.html#axzz30ezmIt5L

ナミビアはFDI(海外直接投資)と投資条約との相関性を疑問視:懸念を表明
「ISDSを含む各条約のなかで規定された投資保護の潜在的な利益と費用を考察した最近の経済的研究によれば、投資の流入と二国間投資協定の普及の間には全く相関性がないことが明らかであり、各国がその条約に参加することの根拠に疑問が残る。投資受け入れ国、とりわけ開発途上国にとって、ISDSは重大な負の影響をもたらすという事実は良く知られているとおりで、統計によると提訴側は圧倒的に先進国からの投資家である。また、弁護士費用および仲裁費用がかさむことは、特に開発途上国にとって大きな問題であり、当然、憂慮すべき事項である。最終的な判決内容および、必要不可欠な弁護費用や仲裁手数料などISDSにかかる巨額の費用は、多くの開発途上国にとって重大な財政的脅威となりうる。内国民待遇や投資設立前の権利のような二国間投資協定によくみられる条項により、規制する権利を制限され、開発途上国では自国の利害に基づくせ活動が阻害されるなど、政府が契約上の義務を負うことになる。仲裁および紛争解決に関する手続き全体がいまだ透明だとは言い難く、外国投資の保護と促進を目指す手段として投資条約および仲裁制度が今後も継続されるかどうかは疑問が多い」。
 典拠先:
http://unctad-worldinvestmentforum.org/wp-content/uploads/2014/10/Lindeque.pdf

南アフリカ共和国は二国間投資協定からの脱退手続きを開始
南アフリカは、ベルギー、ルクセンブルグ、スペイン、オランダとの二国間投資協定を解消する手続きを始めており、その他のEU加盟国との二国間協定からも脱退を始める意向を伝えている。南アフリカの通商産業大臣は次のように書いている。「現行の国際的な投資協定は50年前のモデルをもとにしており、先進国の投資家利益に主眼が置かれたままである。開発途上国にとっての大きな懸念材料は、二国間投資協定の交渉過程の中でいっさい取り上げられていない」。
  典拠先:
http://www.iisd.org/itn/2012/10/30/news-in-brief-9/ http://www.engineeringnews.co.za/article/sa-proceeds-with-termination-of-bilateral-investment-treaties-2013-10-21


スリランカが二国間投資協定からの「離脱」を検討
「スリランカは、a)二国間投資協定と国内向け投資増加額との関連性が希薄である、 b)国際仲裁制度から苦い教訓が得られた、c)二国間投資協定によって国内政策の実施が制限される傾向にある、という理由により「二国間投資協定から離脱」し、「国内に流入する海外直接投資(FDI)を保護するための適切な国内法を確立する」ことを検討している」。
 典拠先:
http://unctad-worldinvestmentforum.org/wp-content/uploads/2014/10/Malalgoda.pdf
(翻訳:池上明/監修:廣内 かおり)
              

2014年11月16日日曜日

11月7日に「いま言いたい!TPP交渉」開催!100名が参加しました

TPP交渉はできるだけ早期の「大筋合意」をめざして、各級交渉会合が展開され、中国で開催されるAPECに平行して閣僚会議も開かれる。米国議会の中間選挙で野党・共和党が上下両院で圧勝したこの時期に約100名の参加者を得て上記院内集会が開かれた。

 主催は「リレートーク いま言いたい!TPP交渉」実行委員会で、その共同代表には「TPP交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の醍醐聡、「TPPに反対する弁護士ネットワーク」の中野和子、「主婦連合会」の山根香織の3名が名を連ねた。

1)まず、本実行委員会共同代表の醍醐聡さんより開会あいさつがあり、各国の規制を「非関税障壁だ」として撤廃しようとするのがTPPの本質であること、日本も高齢化時代の老後破産に象徴される貧困化の状態はTPPによって拍車がかかる、と危機感を訴えた。11月8日を中心に反TPP国際共同行動も行われており、その一環として今日はTPP阻止のために闘おうとの行動提起があった。国会議員も駆けつけ、グローバル化の問題点を指摘した。共産党の紙智子議員は日豪EPAが11月6日に参議院の外交防衛委員会と農林水産委員会の合同審議の後、外交防衛委員会で採択され(その後参議院本会議で採択の後、国会で批准した)、豪州産牛肉の関税が早くも2015年4月から10%も引き下げられ、国内の牛肉価格が下落する恐れがあること、関税はTPPの関税率に合わせて引き下げられる条項もあることを批判した。

共産党の田村智子議員は、TPP交渉の中で医療面において医薬品メーカーの意向をうけ規制緩和され、健康保険制度が保険会社の意向を受けて改悪されようとしている、と訴えた。
 同じく共産党の吉良よし子議員は、安倍政権は地方再生を掲げているが、TPPは本来あるべき地方再生を破壊するものでしかない、と批判した。


 民主党議員で「TPPを慎重に考える会」の篠原孝会長は、韓国でも韓米FTAに盛り込まれたISD条項は主権の侵害だ、との批判が多く出ている。先進国間の日豪EPAにはないが、日本は新興国とのEPAには盛り込み、現地の暴動による進出企業の利益を図るためなどとしている。しかしISD条項は、日本国憲法76条の司法権を侵害し各国においても主権を侵害するものであると、TPPに盛り込むことは問題だとした。同日参議院本会議があり、参加予定の、社民党の吉田党首、民主党徳永議員、民主党郡議員、生活の党畑こうじ議員は参加できなかったが、それぞれの秘書の方々も本集会に参加した。

2)次に、各界代表からのリレートークに移った。
全国農協青年組織協議会からは、TPPで地方は衰退し、疲弊してしまう。政府はTPP交渉においては不退転の決意で臨んでほしい、とのメッセージが届けられた。
 全国保険医団体連合会の住江会長は、TPP交渉では事前交渉を含め、新薬の薬価を市場価格で高く設定すること、SPS協定分野でも新薬の危険性に対して予防原則による事前規制を認めないル―ルがまかり通ること、知的財産権分野では、また特許の範囲を薬だけでなく診断方法や手術方法にまで拡大すること、すでに日本で実施され始めた混合診療によって事業者が儲ける仕組みが作られており、今後国民の健康・生命を米国に引き渡すことになる、特許の保護期間に関して日本政府は昨年の態度を変えて米国とともに特許保護期間の延長を主張している、と批判した。
 千葉県農民連の大木会長は、農家は安全・安心な米作りを続けてきたが今年の米価暴落はTPPの先取りであること、米価安定のための「ナラシ対策」は農家が参加しておらず、現実的ではないこと、農協は米代金の概算金を農家に払うだけで、追加金の支払いは全く期待できず、農家は販売しても生産コストをまかなえない。このままでは後継者もおらず耕作放棄地は増え地域は疲弊する一方だと、現状を訴えた。
 建設政策研究所の村松専務理事は、国内企業は海外への進出傾向が高まり、地域社会や労働者にとってもその悪影響が出ている。その状況に加えて、TPPは公共調達の開放を促そうとしており、自治体の公契約条例への介入、PFIへの米国企業の参入、入札において資材の品質基準を相互承認できるなど基準の緩和を行おうとしているなど、国内建設業への影響は大きい、と危惧した。
 郵政産業労働者ユニオンの須藤書記長は、米国USTRの外国貿易障壁報告書などで以前より郵政民営化への攻撃が続いてきたが、すでに保険・貯金の新商品の販売は禁止され、米国アフラック保険は日本へ進出している。今や、郵便貯金、簡保生命の約300兆円の資産が米国企業によって狙われている。労働分野においては労働者派遣法の改悪、労働法の改悪によって「限定正社員」の導入、成果主義の給与制度などが強引に行われようとしており、これらはTPPの先取りといえる、と訴えた。
 主婦連合会の河村事務局長は、消費者団体として一貫してTPPに反対してきたが、それは、競争市場ルールによって不公平な貿易ルールが押しつけられ関税が撤廃され、暮らしの安全が損なわれるからだ。またTPPの秘密交渉も大問題だ。これは日本の消費者にとってもメリットはなく、今後も国際連帯行動を伴う反対運動を展開したい、と決意を述べた。
 大学教員の会の大西慶大教授は、TPPをめぐる利害対立は日米などの国益ばかりでなく、日本国内における自動車など輸出を拡大している産業と農業、保険、医療などとの対立がその背後に存在することをみなければならない。また日本の輸出産業はアベノミクスが進める円安によって利益を得ていることを忘れてはならない、と分析した。
 星野全農協労連書記は、共済研究会として、共済制度に対してTPPからの攻撃が激しくなっている。国内法的にも適用除外とされる農協共済などとは異なり、とりわけPTA共済や障害者共済などの助け合い、相互扶助の理念が強い制度は、無認可保険だなどとの攻撃がしかけられ民間保険への誘導が進められている。TPPは助け合い精神を破壊するものだ、と訴えた。
 弁護士ネットワークの和田弁護士は、米国からは司法制度への攻撃がすでにかけられてきたが、中間選挙で圧勝した共和党の主張はレームダック化したオバマ政権に日本への強い攻撃となって現れてくるだろう。これに対して弁護士ネットとして反対を続けていく。国民の貧困化をいっそう進めるTPP交渉の差し止めを求めて、個人の取り組みにおいても、「違憲訴訟」も進める、と述べた。

3)会場との意見交換では、TPPのメリット・デメリットをめぐって、TPPの先取りである国家戦略特区制度、ISD条項批判、11月8日を中心とした国際反TPPデイの状況、などが討議された。

4)最後に本実行委員会の事務局の坂口さんより、今日の議論でTPPの内容として人々にはメリットがないこと、手続きとしても交渉の秘密主義が問題であることが明らかになった。これまでTPP交渉を合意させなかったのは、人々の協働の成果でもある。まず年内の妥結を阻止しよう、との閉会挨拶があり集会を締めくくった。
(記 山浦康明)


2014年11月4日火曜日

11月4日(火)18:30〜STOP TPP!! 官邸前アクション TPP反対!国際統一アクションデー

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STOP TPP!! 官邸前アクション
TPP反対!国際統一アクションデー

“なし崩しの交渉妥結は許さない!
  官邸前でSTOP TPP!!”

2014.11.4(火)18:30~20:00
※時間が変更になっていますのでご注意ください

http://tpp.jimdo.com/2014/10/31/11-4-kanteimae/
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 9月23日、24日の日米関税協議が物別れに終わって以降、10月のオーストラリアでの首席交渉官会合と閣僚会合が開かれましたが、ここでも交渉に大きな進展はなかったと報じられています。
 しかし、11月4日の米国中間選挙、そして中国でのAPECなどの動きの中で、年内に妥結をめざそうとする動きは完全に止まったわけではありません。また並行する形で、国会では日豪EPA採択の流れがさらに進められています。
 一見、停滞しているかのように見られる交渉ですが、秘密交渉の中でどのような議論がされているか、また日本は日米協議にてどこまでの譲歩案を米国に提示したのか、私たちは知ることができません。日米関税協議が進めばTPP交渉が大きく進展してしまう危険性もあります。これ以上、無理な交渉を重ねて国民を裏切ることは許せません。
 国際的にも、TPP交渉の山場が11月の米国中間選挙後ととらえ、11月8日を「国際統一アクションデー」として、米国やオーストラリア、ニュージーランドで市民による大規模なアクションが予定されています。今回の官邸前アクションは、この国際アクションの一環として、より幅広い方々への参加を呼びかけます。


●日時:2014年11月4日(火)18:30~20:00
  ※通常より開始時間が30分遅くなっていますのでご注意ください。

●場所:首相官邸前(国会記者会館側)
    丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前」駅 3番出口(徒歩1分)
    地図:http://yahoo.jp/v1pfet

●内容:呼びかけ人、ゲスト、国会議員によるスピーチ
    路上演劇 他

●呼びかけ人
安部芳裕(プロジェクト99%)/内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉)/こみねまいこ(プロジェクト99%)/坂口正明(全国食健連)/まつだよしこ(TPPって何?)/安田美絵(『サルでもわかるTPP』著者)

【主催・お問合せ】
STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会
〒101-0063 千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
アジア太平洋資料センター(PARC) 気付
TEL.03-5209-3455
FAX.03-5209-3453