2015年5月12日火曜日

5.20 TPP緊急国会行動を開催!「 閣僚会合での『合意』は許さない! TPP交渉、最大の山場へ。総力を結集しよう!」

STOP TPP!! 市民アクションも賛同団体となっている「5.20TPP緊急国会行動」を5月20日に開催します。前日19日には日比谷で「TPPを考えるフォーラム 」を開催します。閣僚会合前の行動です。ぜひみなさん参加下さい。
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5.20 TPP緊急国会行動
閣僚会合での『合意』は許さない!
TPP交渉、最大の山場へ。総力を結集しよう!

アメリカの大統領選の本格化を控えて、2015年夏前後に交渉「合意」は「時間切れ」を迎えざるを得ません。これを避けるため、515日からの首席交渉官会合に続いて5月26日からTPP閣僚会合の開催が取りざたされています。
日本政府は、一度は国会議員にだけは交渉テ キストを開示するかのように発表しながら、急遽これを取り消すなど、「合意」のためにはなりふりかまわぬ態度。国会決議違反、秘密交渉、そして人々の暮ら しもいのちも、地域も、そして主権さえ破壊するTPP「合意」は絶対に許されません。
この山場にあたって、これまで全国各地で多様な形でTPP反対の運動を進めてきた団体・個人がよびかけあって、「合意など許されない!」の声を、政府に国会に、社会に向けてアピールする緊急行動に取り組むことを呼びかけます!

5月20日(水)、国会へ、官邸へ、社会に向けて
私たちの声を強く強く届けましょう

<行動内容>
18:45 日比谷公園霞門集合
18:45 デモ出発に当たっての意思統一
19:00 デモ出発・請願
19:45 デモ終了→衆議院第2議員会館前へ移動
20:00 衆議院第2議員会館前アピール行動
=政府あてアピール採択(20:30終了予定)


<よびかけ人(50音順) 58日現在 内田聖子(アジア太平洋資料センターPARC事務局長)/加藤好一(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長)/坂口正明(全国食健連事務局長)/住江憲勇(全国保険医団体連合会会長)/醍醐聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)/中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局長)/庭野吉也(東都生活協同組合理事長)/藤田和芳(大地を守る会会長)/山田正彦(元農林水産大臣)/山根香織(主婦連合会会長)/山本伸司(パルシステム生活協同組合連合会理事長)

<賛同団体(順不同) 511日現在 STOP TPP!!官邸前アクション/STOP TPP!!市民アクション/TPPに反対する人々の運動/東都生活協同組合/日本消費者連盟/Mamademo/PPIネット・9条の会/フォーラム平和・人権・環境/全日本農民組合連合会/全日本民主医療機関連合会

※当日参加できない・遠方の団体もぜひご賛同ください。賛同金などは発生しません。賛同いただいた団体名はチラシやウェブサイトに記載する他、議員への請願書や政府への要請書に連ねさせていただきます。非公開を希望される場合は公開いたしません。
賛同団体申し込みは↑


<事務局連絡先>
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)
151-0053 渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館3
  ℡03-3372-6112 FAX03-3370-8329
E-mail : center@shokkenren.jp   5.20緊急行動ブログhttp://notppaction.blogspot.jp/

2015年5月11日月曜日

いよいよ公開!米国議会上程「TPA法案」の概要を翻訳


米国議会の両院委員会に上程された(修正前の)TPA法案の委員会スタッフによる節ごとの概要説明を「STOP TPP!! 市民アクション」翻訳グループが翻訳しました。

注目は第5節と6節です。通知、協議および報告」には、新聞等のメディアが報道している“妥結の◯日前”“妥結後◯日以内に”といった、議会や国民への公開に関わる詳細が書かれています。また「この決議によって、両院は共同で行動し、貿易権限手続きを手早く撤回することが可能になる」と、“権限はく奪”に関する詳細も述べられています。

全体を読んでわかることは、米国議会は国民への報告や協議など透明性に関する強い要求です。報道された以上に様々な要求が掲載されています。また、貿易交渉の目的もはっきりしています。米国の利害と覇権むき出しの様相を帯びているといえるでしょう。

市民アクションの翻訳グループは今後、米国シンクタンク「パブリックシチズン」による6枚ほどの詳細分析を翻訳し、当サイトで発表する予定です。
 
ここから見えるのは、いい意味でも悪い意味でも米国における議会の立場の堅持と、日本とは異なる「アメリカ民主主義」を感じさせられる点かもしれません。(15年5月11日/翻訳グループリーダー・近藤康男)(翻訳:田中久雄・田所剛/監修:廣内かおり)

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Bipartisan Congressional Trade Priorities and Accountability Act of2015: Section-by-Section Summary

2015年超党派連邦議会通商優先事項及び説明責任に関する法律:各節の要約

※原文へのリンクは以下に(法案の原文へのリンクはこの翻訳の末尾に)
概要
第1節: 略称
第2節: 貿易の交渉目的
第3節: 貿易協定に関する権限  
第4節: 議会による監督・協議・情報入手の権利
第5節: 通知、協議および報告
第6節: 貿易協定の履行
第7節: 交渉がすでに開始された貿易協定の取扱い
第8節: 主権
第9節: 小規模事業体の利益 
第10節:定義
第11節:改正手続き

第1節:略称

本節では、この法案を「2015年超党派連邦議会通商優先事項及び説明責任に関する法律」(法律)と称することとする。

第2節:貿易交渉の目的

本節は、3部で構成される: 全体的な貿易交渉の目的、主要な交渉目的および能力向上とその他の優先事項である。

第2節(a)項は、貿易協定における米国の全体的な貿易交渉の目的を定める。これには次が含まれる。米国の製品およびサービスに対する開放された、公平な、そして互恵的な市場参入を獲得すること;米国の貿易および投資を歪曲するような、貿易および投資と直接関係する障壁の縮小および撤廃を獲得すること;紛争解決を含む国際的な貿易および投資の規律と手続きを一層強化すること;経済成長を促進し、生活水準を向上させ、米国の競争力を高め、米国の完全雇用を促進し、そして世界経済を拡大すること;貿易政策と環境政策が相互補完的になるようようにし、環境の保護および維持とそのための国際的手段の強化を追及し、一方で世界の資源利用を最適化すること;労働者の権利および児童の権利に対する配慮を促進すること;環境および労働に関連する法律が、結果として貿易の促進を弱体化することがないようにすること;貿易協定が、小規模事業体に等しく国際市場に参入できるようにし、小規模事業体に不均衡に影響を及ぼす貿易および投資の障壁を縮小又は撤廃すること;最悪の形態の児童労働の禁止および廃止に関するILO条約182条の批准および完全な遵守を促進すること;貿易協定が、確実に貿易および投資の相関的で分野横断的特性を反映し、助長するものとなるよう保証すること;米国の貿易相手国のより開かれた民主主義社会の創生と国際的に認められた人権尊重の促進に寄与するものとして米国の貿易相手国が良好な統治、透明性および法の支配を強化すること;国際貿易の基盤としてのインターネットの重要性を認識すること;そして正当な健康や安全性の確保、極めて重要な安全保障や消費者利益の保護を含め、その他の正当な国内の目的に配慮すること、である。

第2節(b)項は貿易協定に対する米国の主要な貿易交渉の目的を定める。
(1)物品貿易: 第2節(b)項の(1)で規定される物品貿易の主要な交渉目的は、世界的な価値連鎖(ヴァリュー・チェーン)の活用を通じることを含め、米国の輸出機会の拡大、および貿易のより公平で、より開放的な条件を獲得すること;米国製品に対する市場参入機会を減少させたり米国貿易を歪めるような、貿易に直接関係する外国政府の関税および非関税障壁を縮小又は撤廃すること;互恵的な関税および非関税障壁撤廃の合意を獲得することである。

(2)サービス貿易: 第2節(b)項の(2)で規定されるサービス貿易の主要な交渉目的は、世界的な価値連鎖の活用を通じることを含めて米国のサービスの機会の拡大、およびより公平で、より開放的な貿易条件を獲得することであり、そのために内国民待遇および市場参入を否定し、あるいはサービス供給事業者の設立または活動を不当に制限する規制およびその他の障壁を縮小または撤廃させることである。本節はまた、既存のサービスおよび新たなサービスの両方に対して高い基準のサービスを引き受ける意思と能力のある国々との多国間協定によるものを含め、あらゆる手段を通じてこの目標追求を促す。
(3)農産物貿易: 第2節(b)項の(3)で規定される農産物に関する主要な交渉目的は、以下のことを確実にすることにより、輸入品が米国市場において享受しているものと同様の競争的市場参入の機会を米国からの農産物輸出品に対して獲得し、より公平で、より開放的な貿易条件を達成する、という議会の指示を含むものである。それは、透明性、規制の調和、国際基準と科学的リスク評価の遵守を重視した、実効性のある衛生植物検疫措置(SPS)を確保する一方、各国は、それぞれの国際的責務と調和する方法で、人類、動物又は植物の生命ないし健康を保護してもよいことを認め;関税を縮小又は撤廃する一方で、米国にとって輸入に配慮を要する(センシティブ)産品には調整のための期間を与え;家族経営農場および地域社会を支えるための、しかし貿易をゆがめることのない施策は維持し;そして補助金、国営貿易企業による貿易を歪める活動、および不当な商取引条件のような市場をゆがめる慣行を縮小又は撤廃することによるものを含むものである。交渉官は、交渉相手国が農産品貿易に関して現存する責務を全うしているか否かを考慮に入れ、米国産品に対する市場参入を弱体化するために、貿易相手国が地理的表示の保護または識別のための制度を不当に利用しないようにすることを指示される。

(4)外国投資:第2節(b)項の(4)は、外国投資に関する主要な交渉目的を規定する。これには、米国における外国投資家に、米国における米国の投資家以上に重要な権利は決して与えられないようにする一方で、しかし外国投資の障壁を縮小し、米国内と同等の権利を米国の投資家の海外投資において確保する、という議会による指示を含む。そしてそのことには、内国民待遇に対する例外の縮小又は撤廃;投資に関する送金の自由;強制された技術移転および投資の設定と運用に対するその他の不当な障壁の縮小又は撤廃;収用及び収用に対する補償についての米国の法原則に合致する基準の確立;米国の法原則に合致する公正で公平な待遇基準の確立;そして透明性のための最大限の措置を保証する投資家対国家間の紛争解決のための改善された仕組みを含む、紛争解決のための意味ある手続きの提供ということを含むものである。

(5)知的財産権: 第2節(b)項の(5)は、知的財産権に関する主要な交渉目的を規定する。これには、貿易関連知的財産権協定(TRIPS)に関するWTO協定の完全な履行を保証し、知的財産権を統制しているあらゆる貿易協定の条項が米国国内法と同等水準の保護基準を反映することを保証することを通じて充分かつ有効な知的財産権保護を促進するという米国議会の指示を含むものである。つまり、正当なデジタル貿易の促進によるものを含む知的財産の送信およびと配信の新技術や方法の強力な保護の提供;知的財産権に関する差別の排除;(知的)財産保有者がインターネットを通した自身の作品の利用管理、およびその作品の無許可利用防止のための法的かつ技術的手段を有することの保証;知的財産権の強力な執行の提供;及びサイバー上の窃盗および海賊行為によるものを含む知的財産権侵害への政府関与の防止又は排除である。また、主要な交渉目的には、知的財産権の保護を期待する米国人が公正かつ公平で差別のない市場参入の機会を獲得すること、またTRIPS協定と公衆衛生に関する2001年宣言を尊重し、貿易協定によって革新を助長し医薬品入手が促進されるようにすることも含まれる。

(6)商品およびサービスのデジタル貿易と越境データフロー(国境を越えるデータの流出入): 第2節(b)項の(6)は、商品およびサービスのデジタル貿易と越境データフローに対する主要な交渉目的を規定する。これには、すべての貿易に関する合意はデジタル貿易および越境データフローに適用されるようにし;電子的に配送される商品およびサービスは、物理的な形態で配送される商品と同等に取り扱われ、また最大限に自由な貿易待遇を確保すべく分類されることを保証され;政府はデジタル貿易を妨害したり、越境データフローを制限したり、各ブラウザ-側でのデータ蓄積での記録の保管またはデータ処理を要求しないようにし;そして正当な政策目的により必要とされる国内規制は貿易に関して最小限度の制限に留められ、非差別的で透明性があり、開放された市場環境を促進するようにするという議会の指令が含まれる。この条項はまた、世界貿易機関(WTO)の電子伝送に関する関税の暫定不賦課が延長されるよう指示する。

(7)規制的慣行: 第2節(b)項の(7)で規定される米国の製品、サービスおよび投資に対する市場参入を弱体化するために使われる外国政府の規制的又はその他の慣行に関する主要な交渉目的は、次の通りである。規制の策定過程の透明性および策定過程への参加機会の向上を実現すること;提案された規制が信頼できる科学的根拠、費用対効果分析、リスク評価又はその他の客観的証拠に基づいていることを要求すること;規制慣行を改善し、規制の調和を促進させること;基準策定過程のより高い開放性、透明性および収斂を求めること;規制の調和、同等化又は相互承認を通じて規制の互換性を高め、世界的で相互利用が可能な基準の使用を促すこと;米国商品の市場参入を阻む価格操作および参考価格設定のような政策の撤廃を実現すること;政府の規制による補償制度に透明性があり、公正な手続きを提供し、差別的でないようにするとともに、米国製品が十分に市場に参入できるようにすること;公開されていない所有者の情報を政府が収集することは、適法で正当と認められる規制上の利益を満たすために必要なものに限定され、その情報は情報公開から保護されるようにすることである。

(8)国有および国営企業: 第2節(b)項の(8)は、国有企業に関する主要な交渉目的を規定する。これは、商業活動にまで国有企業を優遇するような貿易の歪みおよび不公正な競争を撤廃又は防止する責務を追及し、国有企業による関与は商業的観点にのみ基づくようにすることである。

(9)現地化という貿易障壁: 第2節(b)項の(9)で規定される現地化という貿易障壁に関する主要な交渉目的は、現地固有の革新を進める措置を含め、市場参入又は投資の条件として、米国の生産者およびサービス提供者に対して、施設、知的財産又はその他の資産を相手国内に置くように要求する措置を撤廃および防止することである。

(10)労働および環境: 2節(b)項の(10)で規定される労働および環境に関する主要な交渉目的は以下を含む。米国の貿易協定の相手国が、国際的に認められた中核的労働基準及び一般的な多国間環境協定の下でその責務を履行する措置を採用し維持していること;法律や規則の放棄または免除が1つでも国際的に認められた基準と矛盾する場合には、米国と相手国の間の貿易または投資に影響を及ぼすような方法で、国際的に認められた中核的労働基準を履行する法律又は規則の放棄や免除を行わないこと;環境法で与えられた保護を弱体化又は減少させる方法および米国と相手国との間の貿易および投資に影響を及ぼす方法で、環境法の放棄または免除を行わないこと、但し法律で適用されている場合と、一般的な多国間環境協定の下での責務と矛盾しないとされた場合を除くものとする;米国と相手国との間の貿易および投資に影響を及ぼす方法で、持続的又は反復的な一連の作為又は不作為を通して、必ず環境および労働の法律を効果的に実行させること、である。主要な交渉目的はまた、次のことを含む。環境に関して、締約国は検察的裁量権を行使し、より優先順位が高いと判断された他の環境法に関する執行のための資源の配分を決定する権利を有することを認めること;労働に関して、執行の資源の配分は、締約国の労働に関する責務を全うしない理由にならないことを認識すること;中核的労働基準に対する配慮を促進し、また持続的開発の促進を通じて環境を保護するため、米国の貿易相手国の能力を強化すること;持続的発展を不当に脅かす政府の慣行又は政策を縮小あるいは撤廃すること;米国の環境関連の技術、製品およびサービスの市場参入の改善を追求すること;米国との貿易協定の相手国における労働、環境、健康、および安全に関する政策および慣行が、米国の輸出品およびサービスを恣意的にあるいは不当に差別せず、又は貿易に対し形を変えた障壁として機能しないことを保証すること;法的規制のある労働および環境的義務が、他の法的規制のある義務と同様の紛争解決方法に従うようにすること;貿易協定が、米国領土内において、労働又は環境に関わる法の執行を引き受ける権能を締約国政府に与える、と解釈されないようにすることである。

11)通貨: 第2節(b)項の(11)で規定される通貨措置に関する主要な交渉目的は、協調的な仕組み、強制力のある規則、報告、監視、透明性確保、あるいは必要に応じてその他の手段により、米国との貿易協定の相手国が、有効な国際収支の調整を妨げるためや、不公正な競争力を得るために、為替レ-トの操作をすることをしないようにすることにある。

12WTOと多国間貿易協定: 第2節(b)項の(12)で規定される世界貿易機関(WTO)に関する主要な交渉目的は、情報技術協定、政府調達協定およびその他のWTOの多国間協定の拡大と強化を含め、WTOの多国間および数カ国間の協定の完全な履行を実現し参加国を拡大すること;貿易促進に関する条約を含む新しい協定を通して、世界的な価値連鎖の活用によつことを含め米国輸出品のための競争力ある市場機会を拡大し、そして貿易のより公正で、より開放的な条件を獲得すること;地域間の貿易協定がWTO規律に適合するようにすること;WTO諸機関への積極的な参加を通して、WTO加盟国の協力を高めること;そしてWTOとその他の国際機関の協力を促すことである。

13)貿易機関の透明性: 第2節(b)項の(13)で規定される貿易機関の透明性に関する主要な交渉目的は、WTO、その他の貿易協定により設立された機関およびその他の国際貿易の場における透明性の改善を追及することである。

14)腐敗防止: 第2節(b)項の(14)で規定される腐敗防止に関する主要な交渉目的は、外国政府の行為、決定又は不作為に影響を及ぼすために、金銭又はその他価値ある物品を使用する試みを禁ずる高い基準および効果的な国内の法執行の仕組みを獲得すること;米国人が貿易・投資活動を行う場合の条件を公平にすること;国際的な場における腐敗防止および反賄賂戦略の支援への関与を追及することである。
15)紛争解決および執行: 第2節(b)の(15)で規定される紛争解決に関する主要な交渉目的には次のことが含まれる。協定が一層遵守されることを目標に、効果的で、透明性のある、公平な方法で紛争の解決を規定する条項を追及すること;権限と責務を増やすことも、あるいは減少させることもなく、WTO小委員会と上級委員会が、明記されている通りにWTO協定を適用するそれぞれの権限と該当する検討基準を、遵守することを追及することである。
16)貿易救済法: 第2節(b)項の(16)に規定される貿易救済措置に関する主要な交渉目的は、反ダンピング、相殺関税およびセーフガード関連法を含む米国貿易関連の法を厳格に執行する権能;米国労働者、農業生産者および商業者が公正な条件で十分に競争ができるとともに、互恵的な貿易特権の利益を享受することができるようにするため、不公正貿易に対する規律やセーフガード条項の有効性を減ずるような協定を回避する権能;及びダンピングと補助金につながる市場の歪みに取り組み、救済する権能を、維持することにある。

17)国境税: 第2節(b)項の(17)で規定される国境税に関する主要な交渉目的は、歳入を間接税よりも直接税に主に依存している国々への不利益を軽減するため、内国税のための国境調整の扱いに関しWTO規則の修正を獲得することである。
18)繊維交渉: 第2節(b)の(18)で規定される繊維と衣類の貿易に関する主要な交渉目的は、米国市場において外国輸出品が享受している競争機会に実質的に同等な、外国市場において米国のために繊維および衣類の輸出機会を獲得すること、および繊維と衣類におけるより公正で、より開放的な貿易条件を達成することである。

第2節(c)項は、その他の優先事項を規定し、次が含まれる。貿易協定の下で米国の貿易相手国が責務を遂行できる能力を強化し;必要な場合は技術支援を供与し;適切な科学的知識に基づいた環境および人間の健康を保護するための基準の開発と履行を協議する仕組みを設け;多国間の環境協定への配慮を促してそれらの協定貿易措置とWTOの責務の間の一貫性について協議するための条項;そして貿易交渉と貿易協定に関連して引き受けた能力強化の取り組みについての年次報告である。

第3節:貿易協定の権限
第3節(a)項は、関税障壁に関する貿易協定の権限について規定する。この小節は、議会に対する通知の必要性と一定の制限を条件として、大統領が、2018年7月1日以前まで(貿易権限の手続きが延長された場合は2021年7月1日まで)、米国の貿易に対し過度に負荷のかかる関税や他の輸入制限を修正するため外国との貿易協定を締結すること、および貿易協定を実施する上で必要または適切であると大統領が判断した関税の変更を布告することを認める。 
これらの期日以降、当該貿易協定に対する実質的な修正もしくは追加はこの小節のもとでは認めない。この布告の権限は、本法律の制定日時点で5%以上の関税を半分(50%)以上下げるか、輸入の影響を受けやすい農産物の関税をウルグアイラウンドまたはそれに引続く協定のもとで適用できる関税率よりも下げるか、あるいは本法律の制定時点で適用される関税率以上に関税率を上げる協定には適用されない。
第3節(b)項は、関税と非関税障壁に関する合意のための貿易協定の権限について規定する。本小節は大統領に、関税および非関税障壁に取り組むために、議会との協議を条件として、貿易交渉に参加する権限を与える。
協定は、第2節の交渉目的に合致するための進展がみられ、大統領が第4節と5節に定められた条件を満たした場合にのみ、本小節のもとで締結されることができる。
本小節は2018年7月1日以前に締結された合意にのみ適用される(議会が貿易協定の権限を延長した場合は2021年の7月1日以前)。
これらの期日以降、本小節のもと、当該貿易協定に対する実質的な修正や追加は不可能となる。本小節は、本小節のもとで締結された貿易協定を履行する法律は、この法律がその貿易協定を承認する規定から構成され、そのような規定のみが貿易協定を履行する上で厳格に必要または適切である限りにおいて、1974年の貿易法の第151節に規定されている貿易権限手続きの資格を持つことを規定する。
第3節(c)項は、要請があった場合の大統領による貿易権限手続きの延長の手続きと、議会によりその延長が却下された場合の否認決議の検討のための手続きを定める。
1974年の貿易法第13節に基づき創設された貿易政策と交渉に対する助言委員会と国際貿易委員会もまた、議会に対し延長要請に関する報告書を提出することを指示される。
第3節(d)は、大統領に対し、全ての産業、製品、サービス部門に影響を与える関税と非関税障壁を対象とする交渉を追及し、それが実行可能で時宜を得ており、かつ米国の国益に適うのであれば既存の各分野の協定を拡大する交渉を行うことを指図する。また大統領に対し、その際、議会での全ての交渉目的を考慮することも指図する。
第4節:議会による監視、協議、情報入手の権利
第4節(a)項は議会に対する当該政権の協議の詳細な要件を規定する
交渉過程において米国通商代表部(USTR)は以下を行うことを明記する。要請があればいかなる議員とも会合をもつこと;機密扱いの資料を含む関係資料を提供すること;上院の財政委員会と下院の歳入委員会に対し緊密で時宜を得た協議を行うこと;各上下両院の交渉に関する助言グループおよび上下両院の貿易協定により影響を受け得る法律を管轄するすべての委員会と、緊密で時宜を得た協議を行うこと、上下両院の各農業委員会に対し、農業の貿易に関連した交渉と合意に関して緊密で時宜を得た協議を行うこと
本小節はさらに、協定の発効に先立ち、USTRは議会に対し、貿易相手国が協定の発効日に効力を発揮する規定を遵守するためにとった措置について、つねに知らせていなければならないことを規定する。
本小節はまたUSTRに対し、上院の財政委員会と歳入委員会の委員長及び筆頭理事と協議のうえ、発効から120日以内に議会との協調を高めるための文書化された指針を策定することを要求する。
本指針は、全ての議員に対する速やかな要旨説明と、文書および機密情報を含む議員、および必要であれば適切な機密事項取扱いの許可を得たスタッフ、そして委員会の責任上の観点から適切とされる、同様の許可を得た委員会のスタッフと情報共有を確実に行うためのものである。本指針は、貿易交渉によって影響を受ける可能性のある法律を管轄する全ての部局と機関に配付される。
第4節(b)項は、議会の貿易政策と交渉に関する助言者となる委員を任命し、その委員と協議する手続きを規定する。いかなる議員も議会助言者に任命されうるものとする。
貿易交渉の過程において、USTRはこれらの議会助言者らと緊密かつ適切な時期に協議しなければならない。助言者はUSTRから貿易代表団の公式な助言者であるとの信任を得ねばならない。 
第4節(c)項は各上下両院に、交渉に関する助言グループを設置し、助言者としての要件を明記するが、それには、貿易協定に影響される法律の条項を管轄するすべての委員会の委員長と筆頭理事の任命を含む。
本小節はUSTRに対し、助言者グループと協議し助言を求めることに関する要件についても概説し、また助言者グループに入っていない議員との調整を行う仕組みを規定する。助言者グループの議員は貿易代表団の公式な助言者としてUSTRからによる信任を得なければならない。
USTRは上院の財政委員会および歳入委員会の委員長および筆頭理事とともに、確定した日程に基づく詳細説明を含む、助言者グル-プとの最も実践的な調整のための指針を作成しなければならない。貿易協定締結後は、本小節は協定の遵守に関する協議を引き続き行うことを要求する。
第4節(d)項は一般市民に対しての協議手続きを定める。USTRは、上院の財政委員会および歳入委員会の委員長と筆頭理事と共に、一般市民の目にとまりかつ利用しやすい形での迅速な情報公開、連邦官報等を通じた市民の意見を求める機会を頻繁に設けることにより、透明性を高め、市民参加を促し、交渉過程での協力を促進するため、貿易交渉に関する市民の情報入手指針を策定することが求められる。この指針は、貿易協定により影響を受ける法律を管轄とする全ての部局や機関に配付されなければならない。   
第4節(e)項は1974年制定の貿易法により創設された貿易助言委員会との協議について言及する。USTRは、上院の財政委員会および下院歳入委員会の委員長および筆頭理事と共に、時宜を得た説明と、委員会が代表している部門および分野に関する事項についての意見を求める陳述の機会とを提供するため、助言委員会との関係強化の指針を作成することを求められる。  
本小節は、この指針が、機密資料を含む詳細且つ時宜を得た情報と資料を共有する手続を、助言委員会の各委員、および必要な場合には適切な機密事項扱い許可のある被任命者に対して提示することが必要であるとする。本指針は、貿易協定に影響を受ける法律を管轄する全ての部局や機関に配付されなければならない。 
第4節(f)項はUSTRの透明性に関する主任担当官を定める。その責任は、透明性の方針に関して議会と協議し、貿易交渉における透明性を調整し、市民を巻き込み、支援を行い、透明性の方針についてUSTRに助言を行うことである。
第5節:通知、協議、報告
第5節(a)項は、大統領が貿易交渉を発議する前に、議会が受け取らなければならない通知、協議、報告を規定する。第5節(a)項(1)は、貿易交渉への参加に先立ち、大統領は議会に90日前に書面による通知を提出し、上院財政委員会と議会歳入委員会、上下両院の該当する委員会、上下両院の交渉に関する助言者グループと協議しなければならないことを規定する。 
大統領はUSTRのウェブサイト上に、貿易交渉の目的の詳細かつ包括的な要約を掲載、常時更新し、またこの貿易協定がどのように目的を前進させ、米国に利益をもたらすかの説明を公表しなければならない。
5節(a)項(2)は農業に関する交渉に付随するものであり、大統領は全ての関連した関税の影響評価をしなければならず、また上下両院の各農業委員会と協議しなければならないことを明記する。魚介類の貿易、繊維や衣類のような配慮を要する輸入品については、追加的な協議と報告の要求が適用される。  
5節(a)項(6)は、大統領が、特定の国と交渉を開始するか否かの決定に際し、その国が米国に対する貿易と投資の関与をどの程度履行しているかを考慮することを要求する。
5節(b)項は大統領に対し、第3節(b)項に定めるすべての貿易協定の締結を行う前に上院財政委員会、下院歳入委員会、その他関連する議会委員会、上下両院の交渉に関する助言者グループと協議することを要求する。
この協議は、この協定の性格と、それが本法律の目的にどの程度適っているのか、そして現行の法律に及ぼす一般的な影響を含め、この協定の履行について取り扱う。
協定締結の少なくとも180日前に、大統領は、米国の貿易救済法への協定の影響に関して報告することも求められる。本小節は、さらに、下院または上院が、貿易救済法の改正案が、貿易救済に関する交渉目的と矛盾すると見なし、決議を検討するための手続きについて記述する。
本節は、大統領による貿易協定の締結の意向の議会への通知が提出されてから30日以内に、助言委員会が報告を提出することも求める。
5節(c)項は大統領に対し、締結前90日以内に国際貿易委員会(ITC)に協定の詳細を提出し、大統領の協定締結後105日以内にITCは大統領と議会に対し、協定が米国経済に及ぼし)影響を評価した報告書を提出することを求められる。この報告書は一般に公開されることとなる。
5節(d)項は、大統領が議会に協定の最終条文を提出する際に、上院財政委員会と下院歳入委員会に対し以下の報告書を提出することを規定する。能力開発を目的とした協議メカニズムの運用評価を含む、大統領が実施した協定に対する環境監査の報告書、協定が米国の雇用に与える影響に関する報告書、米国の労働法と慣行の修正が必要なすべての条項の記述とともに、協定に含まれる国に関する実質的な労働権報告書である。そしてこれらの報告書は公開されることとなっている。
5節(e)項は、大統領が議会に協定の最終条文を提出する際に、併せて国境における人事要件、管轄機関の人事要件、税関の基盤整備要件、協定が国家と地方政府に及ぼす影響、を評価する履行・施行計画の提出を規定する。この影響調査は公開されること。大統領の次回予算提出には、この案を実施するための財源要請も含まれなければならない。
5節(f)項は次に関する追加報告書の提出を要求する。貿易協定のもとで権利を執行するために米国が適用する罰則と救済の効果、1984年以降の貿易権限手続きのもとで執行されたすべての貿易協定の経済的な影響とその報告書の5年以内の更新、貿易協定に従ってとられる執行措置である。そしてこれらの報告書は公開される。この節ではまた、USTRに、貿易協定のもとで定められた義務に関する見直しあるいは執行措置の実施のための請願を受領後に、上院財政委員会、下院歳入委員会と協議することを求める。
第5節(g)項は、貿易協定案に関するあらゆる事項について、上下両院の議員は誰でも各々の見解を上院財政委員会と下院歳入委員会に提出することが出来)、関連する委員会はそれらの見解を参考として受け取ることを規定する。 
第6節:貿易協定の履行
第6節(a)項は、貿易協定締結の少なくとも90日前に、大統領は協定締結の意向を議会に通知し、また連邦政府の官報に公表しなければならないことを規定する。
少なくとも協定締結の60日前に、大統領は協定条文をUSTRのウェブサイトに公開しなければならない。協定締結後60日以内に、大統領はその協定によって必要となる現行法の変更に関する内容を提出しなければならない。
議会に公式に協定締結を提出する少なくとも30日前に、大統領は議会に対し、協定の最終条文の写しと協定の履行にあたり提案された行政措置の草案を提供しなければならない。
両院が議会の会期中に、大統領は、協定の最終条文、施行法案の草案、行政措置声明と必要な補足情報を提出しなければならない。
求められた補足情報には次の説明が含まれる。施行法案、そしてこの協定が本法律の目的達成を前進させることとその理由を明記している行政措置の声明が、どのように現行の法律を変更し、または影響を及ぼすのか;この協定によりこれまで交渉された協定の条項が変更されるか否か、またどのように変更されるか;どのようにこの協定が米国の商業利益に貢献するのか、どのように施行法案が第3節(b)項3で定められた(貿易協定の権限の)条件に適合するのか。この補足情報は公開されること。
本小節はまた、協定の利益と責務は、締約国のみに適用されることが協定と矛盾しない場合は、そのように適用されることを前提として、締約国以外の諸外国は、同国が協定で定められた責務の対象とならない限り、この協定のもとで決して利益を享受しないようにするため、施行法案に相互利益の規定が含まれることを求める。
さらに、施行法案が導入される前に公開されていない外国政府とのいかなる協定も、協定の一部と見なされず、米国法もしくはいかなる紛争解決機関にとっても効力がないことを規定する。
第6節(b)項は、大統領が本法律に従って通知または協議することを怠りまたは拒否した場合、貿易権限手続きの利用を否認するための方法と手続きを規定する。第6節(b)項(1)には、手続きの否認決議の方法が含まれる。この決議によって、両院は共同で行動し、貿易権限手続きを手早く撤回することが可能になる。第6節(b)項(3)と(4)は、協議と法令遵守決議の方法を定める。これにより、両院が単独で、貿易権限手続きを該当する議会から撤回することができる。
第6節(b)項(1)(B)(ii)は、即ち、本協定が本法律の目標、方針、優先事項、目的の達成に向けた前進が出来ない場合;大統領が第4、5,6節に従った協議を怠った場合;大統領が交渉に関する上下両院の各助言者グループと会合をしなかった場合;または第4節が求める協議や透明性の指針を実施しなかった場合に;大統領は通知や協議を怠ったか、または拒否したのである、ということを明記している。
これに加え、本小節は、大統領が2015年12月15日までに、WTO紛争解決委員会と上級委員会に関する議会の懸念を表明するための計画を定めた報告書を発行していなかった場合、貿易権限手続きは、WTOの保護のもとで交渉された合意のためのいかなる施行法案にも適用されないことを規定する。 
第6節(c)項は、本法律に基づく議会手続きは、議会下院および上院の法案作成権の行使として確立されていることを再確認し、どちらの議会にもいかなる時にも規則を変更する憲法上の権利があり、その議会のほかの規則と同じ範囲であることを認識する。
第7節:交渉が既に開始された貿易協定の扱い
第7節(a)項は、本法律の発効前に開始した特定の貿易交渉に対する履施行法案の貿易権限手続きの適用性に関するものであり、WTO関連の交渉、TPPEUとの貿易交渉、サービス貿易に関する交渉、環境に関連した商品に関する交渉が含まれる。
第7節(b)項は、第7節(a)項に記された交渉に関する特別の通知と協議手続きを規定し、具体的な手続きがその後行われた場合には、交渉開始に先立つ最初の90日間の通知の例外を認める。
第8節:主権
この節は、米国法と矛盾する第3節(b)項のもとで発効された貿易協定はどの条項の適用も効力を持たず、第3節(b)項のもとで発効された貿易協定の条項には、米国が米国の法律を改正または修正できなくなる条項はなく、第3節(b)項のもとで発効された貿易協定に従って召集された紛争解決委員会によって発行された報告書は米国法のもとでの拘束力はないことを規定する。 
第9節:小規模事業の利益
この節では、USTRは貿易交渉の過程において小規模事業者の参加を促し、小規模事業に関するUSTR担当官の役割はその担当官の役職に反映され、小規模事業、市場参入、産業競争力を担当するUSTR代表補は小規模事業の利益がすべての貿易交渉において確実に考慮されているようにすべきである、という議会の考えが表明されている。
第10節:改定
この節は改定について定める。
第11節:定義
この節は協定において重要な用語を定義する。
※以下は法案の原文へのリンク

(翻訳:田中久雄・田所剛/監修:廣内かおり)

2015年5月4日月曜日

5月19日にTPPを考えるフォーラム を開催!「TPP 交渉 合意しないことこそ“国益” ─ 見逃せない問題の数々─」


TPPを考えるフォーラム
TPP 交渉 合意しないことこそ“国益”
─ 見逃せない問題の数々─

日時:5月19日(火)18時30分~21時(開場18時)
場所:日比谷図書館(地下)コンベンションホール
 千代田区日比谷公園1-4(最寄り駅:地下鉄「内幸町」「霞ヶ関」駅)

 日本政府は、日米首脳会談やアメリカ議会でのTPA法案協議をはずみに、5月末といわれる閣僚会合での「大筋合意」をめざして、秘密交渉を続けています。

 しかし、ここに来て、ISDS(投資家国会間紛争処理)、知的財産権などで多国籍企業の横暴がいよいよ明白になり、各国で反対運動が盛り上がっています。加えて、安倍内閣のコメを含む農産品での譲歩は、明らかに国会決議違反です。大義も無く、自らが掲げた“国益”も無視したTPP交渉は、即刻止めるべきです。

 TPPには「一利」でもあるのか・・いま一度ここから考え、思いを発信しましょう。

☆ ☆ ☆
 
◇パネル討論・パネリスト
・「一人ひとりに関わる著作権問題」
  香月啓佑氏(インターネットユーザー協会事務局長)
・「ISDSの実態と多国籍企業の論理」
  岩月浩二氏(TPPに反対する弁護士ネットワーク)
・「農産品の扱いはこれでいいのか」
  高橋一成氏(新潟県農協中央会常務理事)
・「TPP交渉の現局面と参加各国での反対運動」
  内田聖子氏(アジア太平洋資料センター・PARC事務局長)
 
◇参加費:500円
 
□ご参加については、できるだけ事前にお申し込み下さい。
*お申し込みは info※shokkenren.jp(←※を@に) あるいはFAX 03-3370-8329へ

主 催:5.19TPPを考えるフォーラム実行委員会
よびかけ:醍醐 聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会)
     中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク)
     山根香織(主婦連合会)
連絡先事務局:国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)
〒151-0063 東京都渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館3階
TEL.03-3372-6112 FAX.03-3370-8329 E-mail:info※shokkenren.jp(※→@)





 

2015年4月9日木曜日

米国「パブリック・シチズン」がTPP投資関連リーク文書を分析─ISDSで増加する米国の負担

ワシントンDCに拠点を構える米国シンクタンク「パブリック・シチズン」が、《2015年版の投資に関する漏えい資料》について、ISDSを中心に分析をしました。

その中で強調されているのは、これまで途上国中心に締結されてきた自由貿易協定(FTA)と異なり、米国自身が提訴される危険性があると喚起していること。また2012年の漏えい文書に載っていた公共政策を例外扱いする保護規定などが削除され、交渉経過の中でますます多国籍企業の利害を反映したものになってきている点です。

その上で、現在各国で情報開示要求やISDS批判が高まっていることや、米国議会でのTPA法案への反対も強いことなどを踏まえ、今回の漏えい文書は交渉を進める側には降って湧いたような災難だろうとコメントしています。(翻訳:池上明/監修:廣内かおり)

           ☆ ☆ ☆

パブリック・シチズンによる2015年1月版の投資に関する漏えい資料の分析概要の紹介(15.03.25ウィキリークスISDSリーク)
※原文と漏えい文書にアクセス可能→
http://citizen.org/documents/tpp-investment-leak-2015-release.pdf

TPP文書の漏えいにより、無数の外国企業がアメリカの政策に異議を申し立て、税金による賠償を要求できる強大な力を新たに獲得することが判明
外国企業が享受できる法的制度が明らかになれば、TPPに対する論争は激化し、オバマ大統領が推進するファストトラック条項(貿易促進権限)は、いっそう困難になるだろう

           ☆ ☆ ☆

【ワシントン発】漏えいした環太平洋経済連携協定(TPP)の投資関連文書により、次のことが明らかになった。(アメリカの)国内企業は就労機会を低賃金国へ移しやすくなり、多くの外国企業は国民に責任を負わない国外の仲裁機関においてアメリカ政府の決定、法律および裁判所の下した規制を訴え、税金による賠償金の支払いを要求する権限を新たに獲得するようになる。非公開のTPP交渉開始から5年が経ったいまウィキリークスが公開した文書は、TPPによって拡大される、物議を醸す「投資家対国家の紛争解決」(ISDS)制度に対する懸念の高まりが当然であることを立証している、とパブリック・シチズンは述べた。

漏えい文書が立法化されると、アメリカで操業する日本やその他TPP交渉国のおよそ9,000もの外国籍企業は、アメリカの国内企業と外国の企業とに同等に適用される政策についてアメリカ政府を提訴する新たな権限を獲得することになり、ISDSによるアメリカの負担はかつてないほど増加する。現在までアメリカは、ISDSに基づく攻撃に直面することはほとんどなかった。これはISDS条項が適用された過去の協定は、アメリカで投資活動をする企業がほとんど存在しない発展途上国と締結されたものだったためである。

今回の漏えいにより、アメリカの過去の協定におけるISDS条項と同様のものがTPPでも採用されることは明らかである。(米国の過去の協定では)同条項によりこれまで(投資受入れ国における)土地利用規制や、水、エネルギーおよび森林資源政策、そして保健、安全および環境の保護、さらには財政安定化政策とその他諸々に関して攻撃され、海外投資家に対する36億ドル以上の賠償が法廷命令として下されてきた。ISDSの脅威に関する懸念を少しでも払拭すべく、オバマ政権は過去の協定で生じた問題点はTPPでは改善されると主張してきたが、今回の文書を見るかぎり、ISDS条項を採用したアメリカの過去の協定と比べても新たな保護規定は見当たらない。それどころか、合意されていない分野がほとんど残されていない今回の文書には、2012年に漏えいしたTPPの投資関連条項に含まれていた多様な保護規定も削除されている。

「秘密のベールがとり除かれるにつれ、TPPは強大な力を新たに多国籍企業に付与するものと理解せざるを得ない。我々の主権を脅かし、アメリカの納税者を、何十億ドルという新たな負担の脅威にさらし、アメリカ企業がアメリカの法律の下では持たない特別な権利をアメリカ国内で操業する外国企業に特典として付与している」と、パブリック・シチズンのグローバル・トレード・ウオッチ責任者、ローリー・ワラックは述べた。

「今回の漏えいは、企業のロビイストにとって、そしてTPPの議会通過を採決させるためにファストトラック権限の委任について議会の説得に努めている政権側にとっては災難だ」。この漏えいが起きる前から、アメリカやその他TPP交渉国の法律専門家、全米州議会議員連盟、ケイトー研究所そして議員や市民団体の多くは、ISDS制度に反対を表明してきた。外国の個別企業を主権ある政府と同等の地位に引き上げ、国内の法廷を回避して法廷外の仲裁機関に政府を「訴える」ことによって、公的な協定を私的に行使する権限を与えるものだと主張してきたのだ。ISDS仲裁機関の仲裁人には民間の弁護士が充てられるが、彼らは有権者に対して、あるいは判例に基づく制度および重大な利益相反規定に対して説明する責任を問われない。今回の規則には、本案に対する上訴がいっさい認められていない。多くのISDS弁護士は、互いにその役割を交代しあっており、「裁判官」と、会社のために政府を訴える弁護士との両方を務めるもので、本来的に利益相反関係を生じるのである。

TPPでISDS制度がさらに強化されれば、公共利益を侵害するISDS訴訟事件が頻発することになるだろう。南アフリカやインドネシアなど他の国々は、ISDS条項の盛られた条約から撤退し始めている。1960年代以降にISDSの協定が生まれてから最初の30年間で発生したISDS訴訟件数は世界全体でちょうど50件だが、それに比して2011年から13年にかけては、少なくとも毎年50件の外国投資家によるISDSの提訴が行われた。最近の訴訟事件には次のようなものがある。カナダでの医薬品特許制度上の経費節減政策に対するイーライ・リリー社の攻撃、オーストラリアでのたばこ規制という保健政策に対するフィリップ・モリス社の攻撃、カナダでのシェールガス水圧破砕法の停止措置に対するローン・パイン社の攻撃、アマゾンでの有害物大量汚染に伴う支払いを命じたエクアドル裁判所に対するシェブロン社の攻撃、そしてドイツでの原子力発電の段階的廃止政策に対するバッテンフォールズ社の攻撃である。

「当然ながら、多国籍企業だけがそれに見合った法律制度の恩恵を受けられるのであり、彼らは国内の法廷および法律を回避する権限を与えられ、そして我々の国内企業に適用されるのと同じ法律を順守したくないが故に、高給の企業弁護士を擁して法廷に臨み、我々の税金による無制限な賠償金を奪い取る」とローリー・ワラックは述べた。

※漏えい文書のパブリック・シチズンによる分析の原文はこちらをクリックして開く。(更に原文の1ページ、2行目”posted”から漏えい文書の原文を開くことが出来る。)
http://citizen.org/documents/tpp-investment-leak-2015.pdf

TPPによって外国投資家およびアメリカで操業している企業は、アメリカ企業がアメリカの法の下では利用できない広範囲の新しい実質的な手続上の権利と特権を与えられる。これは、国内と国外の企業に等しく適用されるアメリカの政策、裁判所の命令そして行政措置を順守することにより生じる費用に対する補償を、外国企業が要求することを認めるものである。

これには以下のものが含まれる:
・外国投資家は、あるべき待遇による「期待利益」が脅かされることを根拠として、国内及び外国の企業に等しく適用される新たな政策に対して提訴する権限を付与される。これには行 政措置(新たな環境政策、保健政策または金融政策など)に起因する損害、つまり外国企業の投資価値の減損(漏えい文書が「間接的収用」と呼ぶもの)または以前の政府の下では承認された外国投資家への規制水準の変更(同文書が外国投資家にとっての「待遇の最低基準」と呼ぶものに対する違反のこと)に対して、異議を申し立てる権利が含まれる。

・漏えい文書では、アメリカの以前の協定に見られた「待遇の最低基準」という条項とほぼ同様の文言が含まれている。この文言は仲裁機関が、最も警戒すべきISDS規制を発動したときに利用した文言である。仲裁機関はこのあいまいな「権利」を広義に解釈し、ISDS条項を持つ協定には実際には存在しない「投資が行われる国の法律上及び事業上の環境を変えることはない」というような新しい義務をねつ造してきた。このような拡大解釈に基づいて、アメリカの協定の下での「待遇の最低基準」という義務条項は、ISDS係争の全提訴事件の4分の3で外国投資家が「勝利」をおさめる結果を作った。

・この文書は、外国投資家がアメリカの法律で運用されているのと同様の権利に属する財産権よりも、さらに広い分野にわたる財産権が適用される、「間接的収用」であるという訴えに基づく賠請求を認めている。アメリカの法律で許容される「間接的収用」に基づく賠償の範囲は限定されており、一般的にその賠償は、物理的な不動産(例えば土地)を侵害する行政措置の場合にのみ有効となる。しかし漏えい文書では政府が、動産、知的所有権、金融手段、政府の許認可、金銭、少数株式権、その他不動産以外の形態にある財産を規制する時にも、外国投資家が「間接的収用」を訴えることを認めようとしている。

・外国企業は、財政の安定化を進めるための資本規制およびその他の裁量的なマクロ金融規制に対して、賠償を要求することができる。国際通貨基金ですら、資本規制反対から、財政危機を防止または緩和する目的で政策手段を立案する場合には資本規制の支持へとその姿勢を変化させているなか、この義務は資本規制または金融取引税の行使を規制している。資本規制のための「一時的保護規定」として提案された条項では、過去にTPP交渉国政府が金融危機を回避するために用いて成功したものも含め、多くの標準的な資本規制を守ることはできないだろう。

・漏えい文書では、製薬企業に対して、知的財産権の創設、制限または取消しに関する世界貿易機関(WTO)の規則違反を根拠に、TPPのISDS仲裁機関を利用して賠償を要求することを新たに容認している。現在、WTO規則を私的に行使する権限は投資家に付与されていない。けれどもこの投資関連のTPP漏えい文書では、個別の外国投資家が、入手可能な薬品を確実に手に入れられるようにするための政府の政策を直接提訴する権限が与えられる。政府がWTO規則に違反しているとISDS仲裁機関がみなせば、企業はTPPの禁じる知的財産権の「収用」に該当すると訴えることができるのだ。

・外国投資家に対する政府の義務の拡大解釈を可能にし、それを根拠に賠償を命令するISDS仲裁機関の裁量を制限する新たな保護規定がない。漏えい文書には、2005年の中央アメリカ自由貿易協定(CAFTA)以来のアメリカの協定に見られるものと同様の「保護規定」に関する文言が盛られている。TPPでも「保護規定」条項が単純に模倣されているが、CAFTAの仲裁機関はそれを無視し、いかなる政府も同意していない義務に基づいて政府を規制し続けている。2012年に漏えいしたTPPの投資関連文書に見られた保護規定も、今回の漏えい文書では削除されている。間接的収用から公共利益を保護するための規制を削除した規定である。そこでは、「非差別的規制措置…つまり、国民の健康、安全および環境の保護のような、正当な公共の福祉を目的として設計され適用される政策は間接的収用にあたらない」という表明が行われている。今回の漏えい文書では、アメリカの過去の協定に盛られていたような決定的な抜け道が加えられたことによって、その保護条項は骨抜きにされている。

・アメリカを含むほとんどのTPP交渉国は、外国投資によるISDS提訴是認の決定を公開することを決めている。オーストラリア、カナダ、メキシコそしてニュージーランドは外国投資家を事前承認する権利を留保している。しかしアメリカは、計画された外国投資についてその投資が国の安全に対して脅威となるかを裁定するための外国投資委員会の検討結果に例外はないとした。

・ISDS仲裁機関が、外国投資家に対して賠償として支払うことを政府に命ずる金額は、「将来的な期待利益」を根拠とする。その期待利益とは、TPPで認められている投資家の実質的権利に対する違反だとして投資家が攻撃対象としている公共的政策がなかった場合に、投資家が取得できただろうと仲裁機関が推定する利益である。

・文書は、アメリカ政府を世界銀行及び国連による法廷の裁定権限に従わせるものとなろう。全てのTPP交渉国も、同様の最低権限に従うことに同意しているが、オーストラリアだけは「一定の条件次第では」同様の行動をとるかもしれないと表明している。

・ISDS制度に固有の構造的な偏向または利益相反関係は、いっさい矯正されない。ISDS仲裁機関の仲裁人には、有権者や判例に対していかなる責任ももたない高給の企業弁護士が充てられる。彼らは、「裁判官」としての活動と、投資家が起こした政府への訴訟事件を擁護するという役割を交互に務めることを容認されている。訴訟を起こした企業はさらに「裁判官」のうち1名を直接選ぶことができる。今回の文書では、仲裁人が公平であること、利益相反関係を明らかにすること、直接的な利害関係がある場合に自身を不適格であるとすること、が要求されていない。仲裁人の決定に対して、本案を上訴するための内部的及び外部的な機構はいっさいなく、また法定手続きの誤りに対する訴えは、企業弁護士で構成される他の仲裁機関で決定されることになる。漏えい文書では、投資家に支払うべき政府の賠償および仲裁人の料金のような費用の割り当ての金額を、仲裁機関が決定できるとしている。2012年に漏えいした文書には仲裁人の時間当たり料金について、現在支払われている料金幅での最低金額(何人かの仲裁人が受け取っている時間当たり700ドルと比較して、時間当たりおよそ375ドル)を標準とする条項が見られたが、今回これは削除されている。

・「投資」の定義が拡大されれば、TPPによる広範囲で実質的な投資家の権利は、「不動産」をはるかに越えた領域に拡張適用されるであろう。それは、金融手段、知的所有権、規制許認可などに関連した行政措置や政策に対するISDSの攻撃を許容することになる。2012年の漏えい文書の条項では、「投資」の定義、したがって提訴に服する政策の範囲になるのだが、それらを限定しようとしていたものが今回は削除された。また以前漏えいした条項では政府調達、補助金等に関するISDS提訴は容認されていなかったがそれも削除された。

・「投資家」の定義の拡大によって、TPPの非加盟国企業および実際に投資を行っていない企業が、TPPが外国投資家のために確立しようとしている強大な特権を利用することができるようになる。その結果、例えばヴェトナムにある多くの中国の国有企業も、この文書によればアメリカ政府を「訴え」、賠償を要求することができる。

・漏えい文書によると、アメリカの交渉団はいまだに、他の大部分のTPP交渉国の異議を無視して、外国投資家に対しTPP締結国政府と彼らの契約に関する紛争について、次に関する件を ISDS仲裁機関に持ち込める権限の付与を追求していることが明らかになった:国地における天然資源の採掘権、インフラ整備のための政府調達、公益事業の運営に関する契約など
(漏えい文書では、まだ合意に至っていない文言に大カッコがつけられている。パブリック・シチズンは、どの国がどの条文を支持しているかを列挙している文書を見つけている)。

ISDS制度の最終目的は、政府が外国投資家の工場または土地を収用し、国内の裁判制度では賠償されない場合に賠償を獲得する手段を外国投資家に与えることにあったはずだ。時間とともに、その規則と解釈は著しく拡張された。この問題点は、TPPによってさらに悪化することが漏えい文書から明らかになった。提訴を最後の手段として選択するのではなく、企業によるISDS制度の利用は激増し、攻撃の対象となる政策や行政措置が無限に拡大され、実際の収用に対する提訴の事例はほとんど見られない。

外国企業はこのような提訴を駆使して、たばこ、気候、鉱業、医薬品、エネルギー、公害、水、労働、有害物、開発など非貿易的な国内政策を攻撃してきた。政府が勝訴した場合でも、政府は法定費用の分担についての支払いを命じられることがある。ISDS訴訟事件で訴えられている政策が弁護士にかけた費用のみでも平均して合計800万ドルであり、たとえ政府が勝訴を期している場合でも、提訴だけで政府の政策立案に対する委縮効果をもたらすだろう。

アメリカおよび11の環太平洋諸国(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポールそしてヴェトナム)の交渉官は、ここ数ヶ月でTPPを完成させようと秘密交渉に必死になっている。
(翻訳:池上 明/監修:廣内 かおり)